
人の可能性に、着火する。
きざしデザイン第二創業 Vol.3|Will
人が変わっていく姿を見るのが好き。
今までできないと思っていたことに挑戦する。自分でも気づいていなかった可能性を見つける。そして、意思決定が変わり、行動が変わっていく。
そんな瞬間に立ち会うと、私自身もワクワクする。
これまで事業の立ち上げや再生、経営支援、人材育成など、さまざまな仕事に関わってきた。
一見すると異なる仕事だが、振り返ると、私が最も面白いと感じてきたのは、事業の数字が変わることだけではない。
その背景にいる「人」が変わっていくことだった。
人の可能性は、今の能力だけでは測れない。
昔、一緒に働いていた後輩がいる。
彼と最初に出会ったのは、私が新規事業の立ち上げに向けて採用活動をしていた頃。
当時の彼は、歌舞伎町の飲食店で店長をしていた。
正直、最初はビジネスマナーすら大丈夫か?と思った記憶がある(笑)。
ただ、成長意欲だけは強かった気がする。
そんな彼は今、ワインのインポーターでブランドマネジメントを担当する傍ら、副業でコミュニティを運営し、地方の優良企業の事業開発まで支援している。
自分の世界を広げながら、人を巻き込み、さまざまな場所で新しい価値を生み出している。
初めて出会った頃の彼からは、今の姿を想像できただろうか。
おそらく、できなかったと思う。
もちろん、彼の今があるのは、彼自身が挑戦し、努力し、積み重ねてきた結果だ。
私が育てた、なんて言うつもりはない。
ただ、かつて一緒に働いた人が、自分の可能性を広げ、想像もしなかった世界で活躍している。
その姿を見ると、たまらなく嬉しくなる。
こういう姿を見てしまうと、やめられないのだ。人の支援は。
可能性を生む、3つのエネルギー。
人の可能性は、今の能力や経歴だけでは測れない。
むしろ、私が可能性を感じるのは、その人を突き動かす何かがあるかどうかだ。
劣等感でもいい。使命感でもいい。
今の自分を超えたいという思いや、どうしても実現したい何かがある人には、強いエネルギーがある。
劣等感は、必ずしもネガティブなものではない。
悔しさや、自分に足りないものへの自覚が、成長の原動力になることもある。
使命感も同じ。
誰かのために、社会のために、あるいは自分が信じる未来のために、どうしても成し遂げたいことがある。
そんな思いは、人を動かす。
そして、もう一つ大切なのが好奇心。
知らない世界に興味を持ち、これまでの常識を疑い、新しい経験を通じて自分自身を変化させていけるか。
原動力があっても、過去の価値観や経験にとらわれ続けていては、可能性は広がりにくい。
劣等感や使命感を原動力に、好奇心を持って自分を更新し続けられる人には、大きな可能性がある。
私はそう思っている。
かつての後輩にも、そんな可能性の種があったのだと思う。
そして、人がどこまで変わっていけるのかは、出会った時点では誰にもわからない。
だからこそ、人と関わることは面白い。
着火は、目的ではない。
一方で、私はすべての人を起業家や経営者にしたいわけではない。
誰もが挑戦し続けなければならないとも思っていない。
会社員として働くことも、経営者になることも、ものづくりに没頭することも、家族との時間を大切にすることもある。
人にはそれぞれの価値観があり、幸せの形がある。
大切なのは、自分が何を望んでいるのかを知り、自分の意志で選択できることではないだろうか。
その人が本当にやりたいことを見つけたとき、まだ自分では気づいていない可能性があると感じたとき、私はその背中を押したい。
ただし、本人が望んでいない方向へ無理に動かすことは違うと思っている。
着火することが目的ではない。その人が自分らしく可能性を発揮することが目的なのだ。
機会をつくり、あとは本人を信じる。
これは仕事だけではなく、子育てでも大切にしてきた考え方だ。
親だからといって、子どもの人生を決めることはできない。
どんな学校に行くか、どんな仕事をするか、どんな生き方を選ぶか。
最終的に決めるのは本人だ。
親としてできることは、世の中にはさまざまな世界があると伝えること。知らなかった世界に触れる機会をつくること。そして、本人が何かをやりたいと思ったときに応援すること。
それくらいなのではないかと思っている。
もちろん、何もしないということではない。
機会をつくることも、見守ることも、簡単ではない。
でも、本人の人生を自分の価値観でコントロールしたくはない。
この考え方は、経営者や次世代のリーダーと向き合うときにも通じている。
人を育てるとは、自分の思い通りに動く人をつくることではない。
その人自身が考え、選び、行動できるようになることだと思う。
可能性を見つけるだけでは、終わらない。
一方で、ただ応援するだけでは実現しないこともある。
何かをやりたいと思っていても、経験や資金が足りない。誰に相談すればいいかわからない。失敗することが怖くて、一歩を踏み出せない。
そんなこともある。
だからこそ、可能性に気づくきっかけをつくるだけでなく、実現に向けて一緒に考え、行動することにも価値があると思っている。
経営者を目指す人には、経営者になる機会を。
事業を変えたい人には、新しい未来を描き、実行するための伴走を。
次の世代へ事業をつなぎたい人には、その価値を受け継ぎ、発展させるための選択肢を。
相手によって必要な支援は違う。
だから、決まった正解を当てはめるのではなく、その人が何を実現したいのかを理解することから始めたい。
自分自身も、挑戦者であり続けたい。
人の可能性に着火したいと言いながら、自分自身が挑戦をやめてしまうのは、何だか違う気がする。
私はこれからも、知らない世界に飛び込み、新しいことに挑戦し続けたい。
うまくいかないこともあるだろうし、失敗もすると思う。
でも、それも含めて面白がっていたい。
自分自身が変わり続けることで、誰かに新しい選択肢を示せるかもしれない。
そして、その誰かがまた別の誰かに影響を与える。
自分が関わった人が、自分とはまったく違う世界で活躍していてもいい。
むしろ、それが面白い。
一人の可能性が発揮されることで、次の誰かの可能性がひらかれていく。
そんな連鎖が生まれたら最高だと思う。
人の可能性を、解放する。
きざしデザインの第二創業にあたり、自分自身のWillを改めて言葉にするなら、
「自ら挑み、人の可能性に着火する。」
ということになる。
人を変えることではなく、その人が持つ可能性を解放すること。
自分の価値観を押し付けるのではなく、本人の意志を尊重すること。
そして、可能性を語るだけでなく、実現に向けて行動すること。
これからも、そんな仕事をしていきたい。
何より、自分自身がその実践者であり続けたい。
次回は、このWillをきざしデザインという会社の存在意義としてどう表現するのか。
新たなブランドステートメントについて書いてみたい。