
豊かな日本を、次世代へ。
きざしデザイン第二創業 Vol.5|Mission・Vision・Values
第二創業にあたり、きざしデザインのMission・Vision・Values(MVV)を改めて定義した。
これまでの4回では、第二創業の背景、経営哲学、自分自身のWill、そしてブランドステートメントについて書いてきた。
今回は、それらを会社の存在意義と目指す未来、そして日々の行動指針として整理したい。
新しい理念をつくったというより、これまで大切にしてきた考え方を、ようやく言葉にできた感覚に近い。
Mission|私たちは何のために存在するのか
未来の臨場感をデザインし、人と事業の可能性を解放する。
人にも事業にも、まだ発揮されていない可能性がある。
しかし、その可能性は、過去の経験や今の延長線上だけで考えていては見えてこないことも多い。
だからこそ、実現したい未来を描き、その未来を自分ごととしてリアルに感じられる状態をつくる。
私たちは、それを「未来の臨場感形成」と捉えている。
未来の臨場感が高まることで、ものの見方が変わり始める。
認知が変わり、意思決定が変わり、行動が変わっていく。
その変化が、人や事業の可能性を現実の価値へと変えていく。
私たちが提供したいのは、単なる経営戦略やノウハウではない。
実現したい未来をともに描き、その未来へ向けた意思決定と行動を支え、可能性を現実に変えていくことだ。
Vision|私たちはどんな未来を実現したいのか
日本が誇る工芸・食・ツーリズムの可能性を解放し、豊かな日本を次世代へつなぐ。
日本には、世界に誇れる技術や文化、ものづくり、食、地域の営みがある。
私は、各地のものづくりの現場を訪ねる中で、その価値を改めて実感している。
非合理が、合理を生む。
例えば、福岡の久留米絣。
糸をくくり、染め、織り上げる。完成までに多くの手間と時間を要する伝統的な織物だ。
熊本・南関町のヤマチクがつくる竹箸もそうだ。
一膳の箸ができるまでに30以上もの工程がある。
そして、福岡・大川の庄分酢。
長い歴史の中で受け継がれてきた酢づくりには、時間をかけることそのものに意味がある。
効率や生産性を重視する現代社会において、こうした工程の一つひとつは、一見すると非合理に映るかもしれない。
しかし、あえて手間をかけ、時間をかけ、こだわり抜くことでしか生まれない価値がある。
その価値が顧客を魅了し、共感を生み、選ばれ続ける理由になる。
非合理が、合理を生む。
私は、そこに日本のものづくりの本質的な魅力があると思っている。
もちろん、非合理であれば何でもよいわけではない。
守るべきこだわりと、改善すべき非効率は違う。
大切なのは、非合理をすべて排除して効率化することではなく、価値を生むこだわりを磨き、その価値を顧客に届けることだ。
非合理な価値を磨き、合理的な経営によって未来へつなぐ。
日本の工芸、食、ツーリズムには、そんな可能性がまだまだ眠っている。
人の可能性が、地域の未来を変える。
一方で、後継者不足や市場環境の変化によって、そうした価値を次世代へつなぐことが難しくなっている企業もある。
だからこそ、事業を承継し、新しい視点や経営によって価値をさらに高めていきたい。
そして、その担い手となる経営者も増やしていきたい。
ただし、私が目指しているのは、単に企業を存続させることでも、経営者の数を増やすことでもない。
根底にあるのは、人の可能性を解放したいという思いだ。
一人ひとりが自分の可能性を発揮することで、新たな価値が生まれる。
その価値が事業を変え、地域を変え、次の誰かの可能性をひらいていく。
その積み重ねが、日本の豊かさにつながると信じている。
経済的な豊かさだけではなく、文化や技術が受け継がれ、多様な生き方や挑戦が生まれ続ける社会。
そんな豊かな日本を、次世代へつないでいきたい。
Values|私たちが大切にする5つの価値観
MissionとVisionを実現するために、日々の意思決定や行動で大切にしたいことを5つに整理した。
1. 未来から考える。
今できることの積み重ねだけで、未来を決めない。
実現したい未来を描き、そこから今やるべきことを考える。
過去や現在の制約を理解しながらも、それだけにとらわれない。
2. Whyを問い続ける。
何をするか、どうやるかの前に、なぜそれをやるのかを問う。
Whyは挑戦する理由であり、意思決定の軸であり、人を動かすエネルギーになる。
目的を見失わず、本質的な問いに向き合い続ける。
3. 常識を更新し続ける。
これまでの経験や成功体験が、未来の可能性を狭めることもある。
だからこそ、未知の世界に越境し、自分の常識を疑い、認知を更新する。
変化を恐れるのではなく、変化そのものを楽しむ。
4. 人の主体性を尊重する。
人にはそれぞれの価値観があり、実現したい未来がある。
自分の正解を押し付けず、相手の意志を尊重する。
可能性を見つけ、機会をつくり、挑戦を応援する。
人を思い通りに変えるのではなく、その人が自分らしく力を発揮できることを大切にする。
5. 挑戦を現実に変える。
未来を描くだけでは終わらせない。
戦略を考えるだけでも、背中を押すだけでもない。
意思決定に向き合い、実行に関わり、成果へとつなげる。
理想と現実の間にある距離を、ともに埋めていく。
理念を、日々の意思決定の軸にする。
MVVを言語化してみて、改めて感じることがある。
理念は、きれいな言葉として掲げるだけでは意味がない。
日々の意思決定や行動に反映されてこそ、価値が生まれる。
どんな仕事を引き受けるのか。
誰と一緒に働くのか。
どんな事業に挑戦するのか。
目の前の利益と、実現したい未来が一致しないとき、何を選ぶのか。
これからのきざしデザインでは、このMVVを一つの判断軸にしていきたい。
そして、私自身もこの理念を実践する人間であり続けたい。
自ら未知の世界に飛び込み、失敗し、学び、認知を更新し続ける。
人の可能性を語るだけではなく、自分自身の可能性にも挑戦し続ける。
それが、第二創業にあたっての私自身の決意でもある。
可能性に、きざしを。
改めて、きざしデザインのMVVをまとめる。
Mission|存在意義
未来の臨場感をデザインし、人と事業の可能性を解放する。
Vision|実現したい未来
日本が誇る工芸・食・ツーリズムの可能性を解放し、豊かな日本を次世代へつなぐ。
Values|大切にする価値観
未来から考える。
Whyを問い続ける。
常識を更新し続ける。
人の主体性を尊重する。
挑戦を現実に変える。
そして、これらの思想を一つの言葉に凝縮したブランドステートメント。
「可能性に、きざしを。」
この理念のもとで、きざしデザインは次の10年へ向かう。
次回は、この理念を具体的な事業としてどう実現していくのか。
事業承継、次世代経営者の輩出、そして経営者のチェンジエージェントという3つの挑戦について書いてみたい。