
マッチョ華道全国大会に向け、男は作品を運び込んだ。
巨大な花器を、左へ寄せた。
太い枝を伸ばし、花を一輪挿した。
右側には、何も置かなかった。
少し離れて眺め、花器を指一本ぶん動かした。
男は頷き、会場を後にした。
翌朝。
右側に、長机が置かれていた。
パンフレットが積まれ、椅子が並び、係員が座っていた。
「ここ、空いていましたので」
男は、昨日と同じ場所に立った。
花器は、昨日と同じ位置だった。
枝の角度も、花の向きも、変わっていなかった。
係員は、丁寧に頭を下げた。
「作品には、触っていませんよ」
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