
ドラム式洗濯機を買う前に知っておきたい、埃の話
ドラム式洗濯乾燥機は高い。若い人なら1カ月分の給料が飛ぶ。それでも売れているのは、洗濯から乾燥まで全自動でやってくれる便利さだ。
だが、これから買う人は覚悟しておいてほしい。あの便利な「乾燥までやってくれる」機能、使うたびに経路のどこかへ埃が少しずつたまっていく。放っておくと、そのうち痛い目に遭う。特にネコや犬を飼っている家庭の場合は、ほぼ確実に毛に埃がからんで溜まりやすくなる。
というわけで、我が家で毎年恒例になっている「洗濯機分解の儀」を紹介したい。
我が家のSHARP製ドラム式洗濯乾燥機「ES-WS13」に、今年もお盆にエラーコード「U04」が点滅した。「乾燥フィルターを掃除してください」というメッセージを見るのは、これで4年連続、通算4回目である。つまり私は、60歳になってから毎年、お盆に洗濯機を分解している。毎年お盆前後に点滅するのは、ご先祖様が来たのか?と。

世間は修理を呼ぶ。私はドライバーを握る
U04は、乾燥フィルターのお手入れが必要なときに出るエラーだ。だが、これは説明書通りにフィルターをいくら綺麗に掃除しようとも直らない。取扱説明書には、さらに、フィルターを掃除しても直らない場合は、サービスセンターに連絡くださいと書いてある。
犯人はフィルターではなく、洗濯槽とフィルターをつなぐ通路の詰まりだ。シャープペンシルの芯が引っかかって出てこなくなるのと同じで、途中経路が詰まっている。分解しないと解決しない。さすがシャープ、名前まで芯が通っている。
このエラーメッセージは放置しても洗濯乾燥は一応終わる。ただし乾燥時間がやたら伸びる。先日は乾燥だけで5時間かかって半乾きである。電気代がじわじわ心配になってくる。そう、貧乏性の私には心臓に悪いのだ。
世間の常識で言えば、ここはメーカーに修理を頼む場面だ。調べてみると、ドラム式の修理はおおよそ5万円。安くはない。
しかし私は、迷わず工具箱を開けた。youtubeに同じ悩みを抱える先駆者たちが対処法を公開してくれているのを参考にする。これを「倹約」と呼ぶべきか、「探究心」と呼ぶべきか、それとも単に「シニアの暴走」と呼ぶべきか。正直、自分でもよくわかっていない。もちろん電気製品なので何でも分解していいわけではない。電源を切る、無理な分解はしない、説明書は一応確認する。そのあたりは64歳なりに慎重である……たぶん。
作業時間は、いつも通り約1時間だった。
出てきたのは、げんこつ1個分の埃
分解して出てきたのは、げんこつ1個分の埃の塊だった。毎日普通に洗濯しているだけなのに、衣類から出た埃が少しずつ乾燥経路にたまっていたらしい。乾燥経路は半分塞がれている。これだけ詰まっていれば、乾燥に5時間かかるのも納得だ。

埃を取り除き、元通りに組み立てる。スイッチを入れると、無事に動いた。この瞬間がDIYの一番気持ちいいところだ。「よし、今年もやったぞ」という、地味だが確かな達成感がある。
修理に出せば5万円かかったはずのものを、1時間の作業で回避した。時給に換算すると5万円という数字が出る。もちろんそんな仕事が毎日あるわけではないが、5万円儲けた気分になるのだから、単純なものである。
…しかも、今回で4回目。洗濯機のモトはとった、と言いたいだけだ。
これは、うちの洗濯機だけの話ではない
ここまで読んで「うちのSHARPは当たりが悪かったのか」と思われた方もいるかもしれない。だが実はこれ、SHARPに限った話ではない。ドラム式洗濯乾燥機は構造上、乾燥のたびに衣類から出る埃が経路のどこかに溜まっていく。放っておけば乾燥時間が延び、電気代がかさみ、最終的にはエラーで止まる。程度の差こそあれ、多くの機種で起こりうることだ。
問題は「詰まるかどうか」ではなく、「詰まったときにどれだけ楽に掃除できるか」だろう。
7年前、日立を選ばなかった私
ブログのネタにしようと調べていて、少し悔しい事実を知った。日立の一部のドラム式には「らくメンテ」という仕組みがある。乾燥フィルターそのものをなくし、乾燥時のホコリや糸くずを本体下部の大容量フィルターに集める。乾燥ダクトや洗濯槽、ドアパッキンまで自動でお手入れする機種もあるという。
つまり現在の日立には、私が毎年やっている「洗濯機を分解して、げんこつ1個分の埃を取る」という儀式そのものを、そもそも発生させない機種がある。
7年前、洗濯機を買うとき、私は日立を選ばなかった。その結果、私は毎年ドライバーを握ることになった。これを「購入時の選択ミス」と呼ぶのか値段で決めた「ただのケチ」と呼ぶのか、言わずともわかる。
家電選びは、買った後に差が出る
家電を買うとき、たいていは洗濯容量、乾燥性能、価格、デザインを比較する。私も7年前はそこしか見ていなかった。だが実際に使ってみると、「掃除がどれだけ楽か」も立派な性能のひとつだった。
これは、カタログを見ているだけでは絶対にわからない。毎日使って、数年経って、ようやく効いてくる。もしこれからドラム式を選ぶ人がいたら、容量やデザインだけでなく「詰まったときのメンテナンス性」もぜひ確認してほしい。未来の自分が、休日の1時間を工具箱の前で過ごすかどうかが、そこで決まる。
そして来年も、たぶん
U04の表示が消え、乾燥も普通に終わるようになった。今年も無事、洗濯機を救出した。私にとっては「年に一度、5万円分くらい得した気分になれる」小さなイベントである。
来年もU04が出たら、たぶん私はまたドライバーを持つ。「よし、今年も一儲けだ」と思いながら。
今回取れた埃を妻に「採ったぞー」の勢いで見せた。
「あなたの抜け毛、枕に一杯なのよね。それが原因じゃない?」
……反論できなかった。
以下は分解手順の説明なので、読み飛ばしてくれ。
分解清掃手順(ES-WS12/WS13共通)
作業概要
対象:乾燥フィルターダクト部の埃詰まり除去
所要時間:目安1時間(慣れている場合)
難易度:上部パネルの取り外しのみ。電子基板等への接触は発生しない
必要工具:プラスドライバー、ピンセット、(任意で)霧吹き分解清掃する手順
手順1:準備
水道の元栓を閉める
電源プラグをコンセントから抜く
給水管を取り外す
手順2:ネジを外す
上部パネルは以下、計16本のネジで固定されている。
洗剤の手動投入口:位置は取扱説明書参照
自動投入口部:5本
乾燥フィルター本体側:4本
本体奥の一段凹んだ部分:5本
手前左右の目隠しシート下:各1本(計2本)
目隠しシートはめくれる構造になっている。ネジの材質は箇所によって異なり、水に濡れやすい場所は錆びにくいステンレス製が使用されている。

洗剤の手動投入口、自動投入口に5つ、乾燥フィルター本体側に4つ、本体奥の一段凹んだ部分に計5つ、手前の左右にある目隠しシートの下に2本、ネジは全部で16本隠れています。目隠しシートをめくってネジを外します。尚ネジの材質は、水に濡れやすい場所用はステンレス製になっています。
手順3:上部パネルを外す
奥の両サイドの角を持ち上げると、奥側は比較的スムーズに上がる。手前側はパネル裏にフック構造があり固定されているため、やや力を入れて持ち上げる必要がある。取り外し時に「バキッ」という音がすることがあるが、破損ではなく通常の外れ方である。

手順4:乾燥フィルターのダクト部分を外す
本体と乾燥機を接続している黒いジャバラ状の筒が、乾燥フィルターのダクトである。この内部に埃が堆積する。固定金具(輪っか状)をつまんで緩めると、ダクトが外れる。

手順5:ダクトに詰まった埃を取り除く
手を突っ込んで取る。手の届かないところはピンセットや箸などで取る。
※注意点:ピンセットを洗濯槽内に落とすと最悪の事態となる。業者を呼ばないとピンセットを除けなくなるので、手が震えるシニアはやめた方がいい。
手順6:分解した逆の順番で組み立てる。
逆の順番で組み立てればOKである。
著者について
研究員として仕事をして気づけば40年。昨年、63歳で定年退職して1年が過ぎた。このブログは元研究員の視点から感じる勝手なひとりごとである。