メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byyukiko160830

月夜の寝ぐせ #毎週ショートショートnote

    満月の夜だけだった。俺が求めるのは。
    ある頃から、月光が眩しい夜の全てに俺は正体を現すようになった。欲望をとめられない。

    人のような寿命はなく、欲望を満たせば俺は永遠に生気を保ち続ける。

    しかし毎夜では、そのうち獲物を取りつくしてしまう。他の魔の者たちから苦情が出始めていた。

    「いい加減にしろ。若い女の血はお前だけのものではない」
    「わかっている。だが抑えられんのだ」
    魔の者たちは解決の為、月が出る前に我が巣へ集まった。

    「そもそもなぜ毎夜変身する?」
    「問題はこやつの寝ぐせではないか」
    「寝ぐせ?俺はおとなしく床で丸まって寝ているぞ」
    「その寝ぐせではない。お前、鏡を見たことないのか」
    「鏡?変身する前には見てるかな」
    「側頭部だけに長い毛がもしゃもしゃとアナーキーなくせだ。だから他のやつとは違うのだろう」
    「テッペンの毛は鼠どもに齧られてだな……」

    俺は鏡を見た。頭頂部が満月だ。うぉおーん。

    寝ぐせではないのか。
    魔の者たちは苦笑した。


    410文字

    ヨルシカ 月に吠える 👆 ポチっとすれば動画へいきます。


    たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「月夜の寝ぐせ」に参加させていただきました。

    横にしか頭髪の無い人にはわかっていただけると思うのですが、側頭部のみの寝ぐせなぞ惨めな気分になるので、できる限り散髪して短く整えます。
    爆発するような髪の寝ぐせはどの時代の夜に置いてきたのだろう…… 
    うぉおーん うぉおーん 月に吠える。狼の血が騒ぐ。
    どこかにカワイイネーチャンはいねぇか~。





     
     
    兵庫県神戸市在住の60代の非正規雇用労働者。オス。これぞという作品を書き上げてから死にたい派。SS、ナンセンス系とか書いてますけどほんとは純文学派。親愛コメントを放つ場合あり。現在一部狂信的読者に支えられ『ケケケのトシロー』シリーズを連載中。ハンドルネームのPTAは学校関係なし。

    あなたへのおすすめ