
待つ時間 #シロクマ文芸部
待つ時間を有意義に過ごそうなんて不謹慎だろうか。
お葬式であれば故人を偲ぶ時間だが、まだ死んでいない。いや、このぐらいではこの人は死なない。
義母の手術が終わるまで家族待合室で待機することになった。義母は持病が悪化し病院に行く途中だった。そこに信号無視の車が突っ込んできたらしい。命に別状はなくほっとした。仲が良いわけではないが死なれては困る。
夫と義父も仕事を抜けて病院に駆けつけた。手術が始まって1時間はたっただろうか。特に話すこともなく、義父は親族に電話をしているし、夫の拓実も電話をしたりLINEをしたり、しかも泣いている。泣くな泣くな、大丈夫や。
義母のことは、好きか嫌いかで言えば嫌いだ。
嫌味が多く、いちいちうるさい。
「黙れクソババァ」と何度心の中で叫んだことか。息子に反抗期がなかったことを自慢げに言う義母。だからダメなのだ。息子が言わないで誰が言うんだ。ん?私か?もはやこれは私の役目なのか?
無事、手術は終わった。
麻酔から覚めた義母はかすれた声で言った。
「拓実、ごめんなさいね、、、私が運転を頼んだばっかりに」
夫は泣き崩れた。
泣くな泣くな。
君の大好きなママは助かったんや。
最後まで一緒におれんでごめんな。
そろそろ行くわ。
「ごめんなさい、あんなに良い子だったのに、、、」
だーまーれークソババァー!!!
拓実を頼みます。