
まだ戻らない
夜の静けさの中で
胸の奥に沈んだひと粒が
そっと息をしていた
言いそびれた気持ちが
小さな波のように寄せては返し
眠りの手前で
ふいに心を揺らすことがある
進むことも
戻ることも
どちらもできないまま
ただそこに
立ち止まっている自分がいた
朝になって
光がゆっくり部屋に広がる
窓を開けると
冷たい空気が頬をかすめ
遠くの生活の音が
かすかに胸に触れた
その一瞬だけ
重さが少し形を変えた気がした
忘れたわけじゃない
強くなったわけでもない
ただ
握りしめていたものから
そっと手をゆるめただけ
答えを急がなくていい
整えようとしなくていい
まだ戻らない自分を
そのまま置いておいていい
深く息をして
少し違う景色を見て
戻りたいと思えたときに
静かに歩き出せばいい
そのとき
昨日よりやわらかい光が
そっと迎えてくれる気がした
心で感じたコトバを 紡いだものです。
本詩へのコメントはご遠慮頂きたく。
ご了承の程、宜しくお願い致します。