メインコンテンツへスキップ
見出し画像

毎週ショートショートnote|急性カーテンコール中毒

    会場は拍手喝采に包まれている。
    俺は舞台袖で待機しているのだが、一向に拍手は鳴り止まない。
    俺は葛藤している。カーテンコールに応えるべきか否か。周囲には誰も居らず、周りの意見などを聞くことも出来ない。どうして良いのかさえ分からない。正解を探せば探す程、それらしきものは遠くへ行ってしまう。まるで握った瞬間に逃げてしまうネコジャラシの様に。
    ネコジャラシだって!? お前はそんなモノ触った事もないじゃないか! そうだ。俺はネコジャラシなど触れた事もない。それなのに俺と来たら、それっぽいからと言って雰囲気でネコジャラシ、などと例えてしまった。そんな人間にカーテンコールに応える資格などあるのだろうか?
    だが拍手は鳴り止まない。本当にこんな気持ちのまま出て行って良いものなのか? しかし、鳴り止まないのなら仕方がない。

    俺が舞台に出た瞬間、会場は落胆に包まれた。
    「大道具さん! 出ちゃダメだって!」
    その声で俺は我に返った。
    また持病の『急性カーテンコール中毒』が出てしまった様だ。

    432文字

    毎週ショートショートnoteに参加しています


     
     
    日常で 感じたやつを 書いてます 【受賞歴】 「なんのはなしです課」通信 萌芽な五十九通目一番守 「なんのはなしです課」通信 松平な五十七通目裏二番守 創作大賞2026再生補修部門大賞(ゆりゆりこさん) 「岩男を笑わせろ杯」入賞 「なんのはなしです課」通信 珈琲の四十六通目一番守

    あなたへのおすすめ