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Photo bymaumau_5

港町の記憶【額に入った夕暮れ】

     「サユミの事が好きだ。」

     踊り場で、俺はユウゴに打ち明けた。

     「サユミ?」

     ユウゴは変な顔をしている。

     「普段女の話なんかしないのに、どうしたんだ突然。」

     「ああ。でも俺はサユミの事が好きなんだ。オマエには言っておきたくて。」

     「誰だよ、サユミって?」

     「…え?いつも三人で遊んでるじゃないか。」

     「俺とオマエと"サユミ"の三人で?
     本当に分からないよ。"サユミ"?…」

     「何言ってんだよ!塾も一緒だし、先週もベイエリアで遊んだだろ。」

     「オマエ勉強のし過ぎだよ。少しは寝ろよ。妄想と現実がごっちゃになってるんだよ。」

     俺は、分からなくなった。

     サユミは港町の中学で、俺たちは山の中に住んでいて。
     「ベイエリア」は間違いなくあって、でもそこにはどう行くか分からなくて。
     サユミの顔も声も髪の香りも、打ち明けるまでは覚えていて。

     俺は…確かに誰かのことが好きだった。

     踊り場に飾られた絵は、港町の夕暮れを描き出していた。



     
     
    日常で 感じたやつを 書いてます 【受賞歴】 「なんのはなしです課」通信 萌芽な五十九通目一番守 「なんのはなしです課」通信 松平な五十七通目裏二番守 創作大賞2026再生補修部門大賞(ゆりゆりこさん) 「岩男を笑わせろ杯」入賞 「なんのはなしです課」通信 珈琲の四十六通目一番守

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