
【毎週ショートショートnote】警察県
「警察県」に転勤して来た。
たしか2、3年前にネーミングライツで岐阜県から警察県になった筈だ。
警察県と言うだけあって、治安は良い。
街はゴミひとつ落ちていないし、どこの庭先も整頓されている。
…だが、どうも息苦しい。
俺は郊外に向かい、自然を求めることにした。
真っ直ぐに伸びた遊歩道。
等間隔の街路樹。
鳥さえも一定間隔にさえずっている。
頭がおかしくなりそうだ。
薮を掻き分け、奥へ入ってみる。
どこまで行っても同じ高さの森が続いている。
鳥が虫の鳴き声に変わっただけで、一定間隔は変わらない。
無限ループ。
スーパーマリオにでもなった気分だ。
疎に木が立っている景色が近づいてくる。
『警察県 県境』という標識の所まで来た。
すると、ここは「福井県」の筈だ。
俺は深呼吸をした。
湿り気のある土の匂い。
違和感のない景色。
通りすがりの人が声を掛けて来た。
「アンタ、警察県から来たのかい?
あそこは息苦しくていかん。
それに比べて「デジタル県」はリアルだべ?」
(410文字)
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