
永山則夫 華I 1997年11月28日 初版発行
この年の8月1日に著者は亡くなっているので、所謂遺稿、遺作であり、残された原稿は3,400枚余りだったとのこと。
死因は死刑執行。著者は連続ピストル殺人事件の犯人であり、獄中で書かれた著作となる。
最初の著作である「無知の涙」を読んだのは大学時代だったので、それからすでに数十年経過したものの、教育の重要さと、一人の人間が思考することの広がりの無限さには驚くばかりである。
小説としては、もし自分が生き残れるとしたら、どのような人生を過ごすことが自分として幸せと思えるのか、多彩な人物を登場させ、彼らに語らせ、この情景に自分は馴染めるのだろうか?この言葉は自分の言葉として発しているのだろうか?と、敢えて情報、言葉、情景の海を現出させ、その海で泳ぐ自分を楽しんでいる感じがする内容であった。
本作はIであるが、Ⅱ〜Ⅳまで続くので、この先どのような広がりを見せるのか楽しみではある。