
けむり
子供の頃我が家は薪でお風呂を焚いていました。
夕方になると家の煙突から煙が上がり、遊びから帰ってくると
「お母さんがお風呂を沸かしているんだ」
と思ったものです。
小学校高学年になるとガスや灯油を使う家が多くなり、薪を使う家はだんだん減っていきました。
「けむり」が害になってもいました。
親戚が持ってくる薪になる廃材を父が電ノコで切り、母がそれをまとめ、私と妹が薪置き場まで持って行く。
暮れになると父と屋根に登り煙突掃除の手伝いをする。
そんな日常は高校生になった頃まで続きました。
薪になる廃材がなくなったことで薪風呂は終わりになり、立ち昇っていたけむりもなくなりました。
ガスになったお風呂はいつでも沸かせるし手間もなく便利でしたが、薪で焚いた時よりもお湯がビリビリして不快だったことを思い出します。
そして、立ち昇るけむりが夕焼けの中、
「おかえり」
と言って迎えてくれる安心感と、なんとも言えない匂いも終わってしまいました。
私にとって「けむり」は、暖かく迎えてくれる我が家そのものです。