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恋よ、春を呼べ

    春なのに。
    春だから。
    春ゆえに。

    おつむが完全にヒヨコになっている。
    泣けば母鳥が口まで餌を運んでくれる。

    んなわけあるかいな。
    自分で捕りに行きなされ。

    梅も散り、木蓮が咲き、つぎはいよいよ桜の出番だ。

    桜は日本中をお祭り騒ぎにしてくれる。
    とりあえず酒を持ってこい、と。

    そうさせるのは、なぜ桜だけなのだろう。

    桜のあとには清楚な白いハナミズキと強烈なピンクのツツジが待っているではないか。

    そこで酒盛りをしてはいけないのか。

    加えて薔薇の季節も迎える。

    なぜ、桜だけが日本人の心を開くのか。

    わたしが気になるあの子を落とせない理由も、そこに通じるものなのだろうか。

    いやいや、気になるあの子は、わたしの前だけじゃなく、万人と話すときに頬を赤らめるではないか。
    勘違いするな。

    わたしはあの子の桜にもなれない。

    そもそもがあの子は仕事のことしか考えてない仕事オタク。
    落とせるなんて軽々しく思うな。
    頭から水を浴びて目を覚ましなさい。
    バッハも「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」と謳っていたではないか。

    しかし、まあでも、挨拶を交わすだけでも充分に満たされるからいいか。

    春ゆえに。
    それが春ならば。

    やっぱ春だね。

    恋よ、春を呼べ。


     
     

    まる

     
     
    小説書きです。一作一作がとても長いので、コーヒータイムにでもゆっくり読んでいただけたらと思います。 猫の記事をときどき上げます。 詩もたまに書きます。 愛知県名古屋市出身。東京都在住。 クラシック音楽とプロ野球が大好きです。というか、トラキチです。

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