
国に土地を引き取ってもらう負担金は、原則20万円です
20万円と14,000円。
相続した土地を国に引き取ってもらうときに、かかるお金です。
9月に、この制度のことを書きました。そのとき、負担金は「10年分の管理費相当額」とだけ書きました。
具体的にいくらなのかを、今日は書きます。
まず、申請そのものにかかる費用です。
審査手数料は、土地一筆あたり14,000円です。
これは、申請するときに納めます。審査の結果が承認でも不承認でも、返ってきません。
そして、承認されたあとに納めるのが負担金です。
原則は、20万円です。
土地の種目によって扱いが分かれます。法務省が示している区分は四つです。
宅地。面積にかかわらず、20万円。
田、畑。面積にかかわらず、20万円。
森林。面積に応じて算定します。
その他(原野など)。面積にかかわらず、20万円。
つまり、森林以外は原則20万円ということです。
広い土地でも狭い土地でも、同じ額です。
ただし、例外があります。
宅地でも、都市計画法の市街化区域などにある宅地は、面積に応じた算定になります。
田や畑も、市街化区域内のものや、農用地区域内のものなどは、面積に応じた算定です。
住宅地として値が付く場所、農業のために守られている場所。そういう土地は、管理にかかる費用の考え方が変わる、ということだと理解しています。
自分の土地がどちらに当たるかは、法務省がExcelの自動計算シートを公開しているので、そこで確かめられます。
納付の期限にも決まりがあります。
負担金の通知が届いた日の翌日から30日以内。
これを過ぎると、承認そのものが効力を失います。
せっかく審査を通っても、納め忘れると振り出しに戻ります。
さて、ここからが本題です。
この金額を、高いと見るか安いと見るか。
僕は、比べるものによると思っています。
売れない土地を持ち続けると、固定資産税がかかります。年に数万円だとしても、10年で数十万円です。草刈りを業者に頼めば、一回で数万円かかります。
そう考えると、20万円で終わるのは、決して高くありません。
でも、忘れてはいけないことがあります。
建物があると、そもそも申請できません。
9月の記事にも書きました。法律に「建物の存する土地」は申請できないと定められています。
空き家が建っているなら、先に壊す必要があります。解体費用は、20万円ではききません。
木造の一戸建てなら、百万円単位です。
そして、壊して更地にすると、住宅用地特例が外れて固定資産税が上がります。
負担金20万円だけを見て判断すると、話を見誤ります。
だから、順番はこうなります。
まず、売れるかどうかを確かめる。
売れないと分かってから、建物をどうするかを考える。
解体すると決まってから、国庫帰属が候補に入る。
制度は最後です。
もう一つ、正直に書いておきます。
申請すれば必ず通るわけではありません。
崖があって管理に多額の費用がかかる土地。地上に工作物や樹木が残っている土地。地下に何か埋まっている土地。隣の人と争いがある土地。境界が明らかでない土地。
こうした条件に当たると、承認されません。
審査手数料14,000円は、返ってきません。
だから、申請の前に法務局へ相談することを勧めています。事前相談の窓口があります。
制度が始まったのは2023年です。まだ新しい制度で、運用も積み重なっている途中です。
急ぐ必要はありません。
期限のある制度ではないからです。
ただ、金額が分からないままだと、考えることもできません。
20万円と14,000円。
この二つの数字を持って、もう一度その土地を見てみてください。
想いをつなぎ、笑顔をつくる。
空き家再生士 きくちまさお
※負担金の額、申請の可否、承認の見込みはいずれも個別の判断になります。法務局へ事前にご相談ください。
参考:法務省「相続土地国庫帰属制度のご案内」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html
参考:法務省「負担金の算定について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html
参考:e-Gov 法令検索「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000025