
なぜ薬剤師が「蓼科トライアルパーク」を作ったのか
紹介したい人がいます
私には、「この人のことをもっと多くの人に知ってもらいたい」と思っている人がいます。
その人は岩村さんという薬剤師ですが、何と今、長野県茅野市で私財を投じて自転車のトライアル競技場を作っています。
岩村さんはもともと東京で薬剤師・経営者として広く医療の世界で仕事をされてきた方です。
私が沖縄移住する頃からのお付き合いで(沖縄でも活躍されていた)、その後の私の転職でもお世話になったり、何かにつけアドバイスをいただいたりしてきた恩人です。
そんな人がなぜ、東京の都会から長野へ移住したのか?
その原動力となったのは、幼少から自転車競技に打ち込んできた息子さんたちでした。
国内でいくら練習して上位に入れるようになっても、国際大会では通用しない。それを痛感した岩村さんは
「それならば世界で戦える環境を自分で作ろう!」
と思い立ち、2024年に東京・渋谷から一家揃って、茅野市への移住を敢行したのです。
そして「蓼科トライアルパーク」を作った
私財と労力を投じてゼロから作り始めた自転車競技用のパークは徐々に規模を拡大し、自然を活かすだけでなく人工物を立体的に組み合わせた、世界レベルの多種多様な練習・競技ができる施設となりました。
今や日本代表選手からも「日本のトライアルのひとつの中心地」と評されています。
「世界を目指す選手」だけの場所ではない
パークの拡張はトップレベルの練習・競技場だけに留まりません。
2026年9月27日(この記事の投稿日)に新しくパンプトラックがオープンした「蓼科バイクパーク」は、ストライダー、BMX、MTB、eバイクなどを、小さいお子さんや初心者から幅広い層にわたって家族で楽しめるパークとなりました。

Yahoo!ニュースで紹介されました
そんな岩村さんの活動が先日、自転車専門誌「Bicycle Club」で記事になり、Yahoo!ニュースでも紹介されました(2026年9月21日付)。
自分の子どもから、地域の子どもたちへ 「茅野モデル」
上記の記事では、岩村さんの新たな活動も紹介されています。
それは地域の保育園への「ランバイク(ペダルなし自転車)寄贈活動」を、行政任せにせず産学官民の連携により行おうという取り組みです。これを岩村さんは「茅野モデル」と呼んでいます。
この取り組みは保育園への寄贈で終わりではありません。保育士へのレクチャーから、最終的には地域の小学校で体育の授業に自転車トライアルを取り入れてもらうことにより、地域全体で子供達の運動能力と教育環境を高めることを目指しています。

岩村さんが実現しようとしていることは「地域文化の創成」と言ってもいいものだと思います。
記事から印象に残った岩村さんの言葉を引用します。
「私が本当に作りたいのは、日本一大きなトライアルパークではありません。ここに根づく『自転車文化』そのものなんです」
そして「子どもたち」のために始めたこと
この「茅野モデル」の出発点である、ランバイク寄贈活動の第一弾として、茅野市内の保育園2施設へのランバイクと道具一式を寄贈するクラウドファンディングが、2026年9月12日に開始されました。
岩村さんが語ってくれた熱い想い
私は今回岩村さんからクラファンの案内とともに、直接メッセージを受け取りました。それを読んで「なるほど、岩村さんがやろうとしていることは、単に保育園にランバイクを寄贈することではないんだ」と理解しました。
その原点が綴られている言葉を、少し長いですがぜひ読んでいただきたいと思います。
すべては、息子の通う小学校の運動会で目撃した「ある大事件」から始まりました。
舞台は、都心の中心・代々木。ここで暮らす今の子供たちは、一見、恵まれているように見えます。移動は親の電動自転車かマイカー。生活は豊かです。しかし、私たちの少年時代のように、放課後に泥だらけになって鬼ごっこや缶蹴りをし、親に怒られるまで路地を走り回る姿は、ここにはありません。
その「ツケ」が露骨に現れるのが、毎年の運動会でした。走り方がどこか不自然で、動作が鈍く、機敏に動けない。私が知る小学生の運動能力とは、明らかにかけ離れていました。「時代が変わったから」で済ませていいのかと、毎年やるせない気持ちを抱えていました。
そして、ある年の運動会。3・4年生の50m走で、決定的な悲劇が起きたのです。
直線コースを走っていた子が、何もないところで突然転倒しました。私たちの時代なら、転んでもすぐに手をついて擦り傷で済むはずです。しかし、その子は違いました。手が全く出なかったのです。そのまま顔面を地面に猛烈に直撃し、保健室から病院へ緊急搬送されていきました。
目の前が真っ暗になりました。転ぶこと自体よりも、「転んだときに身を守る手すら出せない」という子供たちの身体能力の低下に、強烈な恐怖と衝撃を覚えたのです。
これは子供のせいではありません。運動をさせない親の責任であり、外遊びの場を奪った大人や行政、教育、そして社会全体の責任です。このままでは、日本の子供たちが危ない。「子供たちに、泥だらけになって駆け回る『外遊び』を取り戻さなければならない」あの運動会での衝撃と危機感が、私を突き動かす原動力となりました。
ランバイクを通じて、もう一度子供たちが本能のままに体を動かし、健やかに育つ社会を作りたい。これが、私がこのクラウドファンディングに命をかける一番の理由です。
私は岩村さんにお世話になったというだけでなく、その想いに共感したので、今回この記事を書きました。
もしこの記事を読んで「もう少し岩村さんの活動を知りたい」と思っていただけたなら、ぜひクラウドファンディングのページを覗いてみてください。