
3人の研修生②
言葉も文化も異なる人に
仕事を教えることになる
お互いの言葉はわからないけど
「漢字」は共通だった
メモ帳を持ち筆談で教える
養豚場の仕事は
「餌」
「清掃」
「移動」
「洗浄」
「消毒」
これくらいで通じた
あとは身ぶり手ぶり
実際やって見せて教える
彼女たちは、身長150センチ前後
やせがた
対する豚は体長200センチ
体重300キロに達する
コツをつかまねば
力で負ける
豚の機嫌を損ねて一度ゴネれば
倍以上の体力と手間ひまがかかる
女の子を格闘させるワケにもいかず
手取り足取り
やって見せないといけない
慣れない人との作業は
豚も警戒して殺気立つ
怒れる豚との格闘の日々が続く
「ムリ!デキナイ!」
泣きわめく
そりゃそーだよな
泣きたくなるだろ
無意識ではあったが
笑って言ってやった
「おい、大丈夫だよ。」
生まれてはじめての「愛想」だった
涙と鼻水でグチャグチャだぞ
「静」しずかに
「優」やさしく
このふたつの漢字で教えた
大の男でも、コツをつかむまで時間がかかる
仕事は倍の時間と体力を使ったが
焦ってもしょーがない
身をもって教えることによって
改めて、力に頼った仕事をせず
豚の習性を活かして
優しく豚を移動させるコツを身につける
女の子達に優しく教えることで
ベテランの男の社員も
豚に優しく仕事したほうが、
仕事は早く正確におわることを
再認識する
仕事を終えて
満面の笑顔を見せる姿は
やっぱ子どもだった
ある日聞いてみた
「なあ?君の国と俺の国、仲悪いのか?」
「ワカラナイヨ」
「そーだよな、俺もどーでもいいわ」
「また明日な」
「マタ、アシタ」
「明日もがんばろ」、そう言い合いながらも辞めない人間に、久しぶりに会った。
いや、辞めて逃げるワケにもいかなかったのだ
異国の地で逃げ場がなかった
仕事の環境や
生活する為のよりよい環境を
自由に選択できない人は
世の中に多々いる
そんな現状を理解できない人も
世の中に多々いる
身をもって知って
相手の立場を理解すれば
わかってあげれるはずなのだが
弱く小さい存在は
そのまま潰されていく
それが世の中ってヤツで
「なぜ、日本は、いや、世界はこんな風になってしまったのだ?」
そんな事を、のべるヤツもいるが
もともとこんなモンだと思う。
格差もイジメも差別も、ずっと昔から存在し続けている。
それをキレイな言葉でフタすることもないだろ。