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訪問看護の「処遇改善額」ってどう決まる?|時給2,000円と1,500円で考えてみた

    「給与明細に『処遇改善額』って書いてあるけど、これってどうやって計算されているんだろう?」

    訪問看護で働いていると、そんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

    2026年6月から、訪問看護にも「介護職員等処遇改善加算」が新設されました。


    訪問看護の加算率は1.8%。

    でも、ここで一つ注意したいことがあります。

    この1.8%は、職員一人ひとりの時給に掛ける1.8%ではありません。

    今回は、できるだけシンプルに整理してみます。



    そもそも「1.8%」って何?

    訪問看護の介護保険サービスについて、一定の要件を満たした事業所が処遇改善加算を算定すると、

    対象となる総報酬単位数 × 1.8%


    を基本として、処遇改善加算の金額が計算されます。

    つまり、

    「看護師Aさんの給料 × 1.8%」

    ではありません。

    事業所全体の介護保険サービスの実績から、処遇改善のための財源が生まれる

    というイメージです。

    そして、その財源を職員の賃金改善に充てていきます。


    では、時給2,000円の人と1,500円の人では?

    ここが一番気になるところですよね。

    例えば、

    * Aさん:時給2,000円
    * Bさん:時給1,500円


    の2人がいたとします。

    「1.8%だから……」

    と計算すると、

    時給2,000円の場合

    2,000円 × 1.8%
    = 36円

    時給1,500円の場合

    1,500円 × 1.8%
    = 27円

    となります。

    でも、

    実際の処遇改善加算は、この計算ではありません。

    「時給2,000円の人には36円上乗せ」
    「時給1,500円の人には27円上乗せ」

    と自動的に決まるわけではないのです。


    なぜ?

    処遇改善加算は、まず事業所側で算定します。

    例えば、ある月に処遇改善加算として事業所に入る金額が、

    10万円

    だったとします。

    この10万円を、どの職員に、どのような方法で賃金改善として配分するかは、事業所の賃金体系や処遇改善計画などによって決まります。

    そのため、

    * 基本給を上げる
    * 毎月の手当として支給する
    * 時給を引き上げる
    * 一時金として支給する


    など、さまざまな方法があります。

    ※実際の配分には制度上の賃金改善要件があります。


    例えば「時給2,000円」と「時給1,500円」の2人が同じ時間働いたら?

    ここでは、あくまで仕組みを理解するための仮の例として考えてみます。

    2人とも月80時間働いたとします。

    Aさん:時給2,000円

    2,000円 × 80時間
    = 160,000円

    Bさん:時給1,500円

    1,500円 × 80時間
    = 120,000円


    この場合、給与には40,000円の差があります。

    しかし、処遇改善加算が入ったからといって、

    「給与の1.8%分をそれぞれに配る」

    とは限りません。

    例えば事業所が処遇改善の財源を、

    * 基本給の引き上げ
    * 一律の処遇改善手当
    * 勤務時間などを考慮した配分

    など、事業所のルールに基づいて配分することも考えられます。

    つまり、

    「時給が高い人ほど、必ず処遇改善額も高くなる」わけではありません。

    逆に、

    「時給が低い人だから、処遇改善額も少ない」

    とも限りません。


    では、給与明細の「処遇改善額」は何を見ればいい

    ここが実際に働く側にとって大切です。

    給与明細に、

    「処遇改善手当」
    「処遇改善額」
    「処遇改善加算」
    「ベースアップ手当」


    などの項目があれば、

    それがどの制度から出ているお金なのか

    を確認してみましょう。

    特に訪問看護の場合、2026年からは

    ① 介護保険側の処遇改善加算
    と、
    ② 医療保険側のベースアップ評価料など

    が別に存在します。

    名前が似ているため、

    「全部、介護報酬の処遇改善加算のお金なのかな?」
    と思ってしまいがちですが、
    制度としては別物です。


    私の給与明細にも「処遇改善額」があった

    私自身の給与明細を見てみると、

    処遇改善額① 12,478円
    処遇改善額② 2,088円


    となっていました。

    合計すると、14,566円です。

    「じゃあ、この14,566円は時給の1.8%なの?」

    と思ったのですが……

    計算しても、もちろん一致しません。

    ここからも、

    処遇改善加算=個人の時給に1.8%を掛けた金額

    ではない
    ことが分かります。

    では、この14,566円が具体的にどういう計算なのか。

    これは給与明細だけでは断定できません。

    事業所が、

    * どの処遇改善加算を算定しているのか
    * どのサービス分が対象なのか
    * どのような配分ルールにしているのか
    * ①と②がそれぞれ何を意味するのか

    を確認する必要があります。


    「1.8%」は、私たちの給料が1.8%上がるという意味ではない

    ここは、今回一番伝えたいところです。

    訪問看護の処遇改善加算1.8%

    ↓
    事業所が算定する介護保険サービスの報酬に対して計算される

    ↓
    事業所に処遇改善のための財源が入る

    ↓
    一定のルールに基づいて職員の賃金改善に使われる

    という流れです。

    なので、

    「時給1,500円だから1.8%で27円アップ」

    でもなければ、

    「時給2,000円だから36円アップ」

    でもありません。


    だから給与明細を見るのがおもしろい

    処遇改善加算は、

    「国が1.8%増やしてくれた」

    だけで終わる話ではありません。

    実際に働いている私たちにとっては、

    「じゃあ、そのお金は自分の給与にどう反映されているの?」

    というところが重要です。

    給与明細を見て、

    「基本給が上がったのか?」
    「処遇改善手当が付いたのか?」
    「別の手当として支給されているのか?」

    を確認してみる。

    そして分からなければ、

    「この処遇改善額は、どの制度によるものですか?」

    と職場に聞いてみる。

    制度を知ることは、

    「もっと給料をください」

    とお願いすることとは少し違います。

    自分の給料が、どんな制度によって決まっているのかを知ること。

    それも、働く側にとって大切なお金の知識だと思います。


    ※この記事では制度を理解するため、時給・勤務時間・処遇改善額を単純化した例を使用しています。実際の処遇改善加算の算定額や職員への配分方法は、事業所の算定状況・賃金改善計画等によって異なります。

    【参考】
    厚生労働省「令和8年度介護報酬改定」
    厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例」

     
     
    訪問看護とFPの視点から、 制度や暮らしについて学んだことを整理しています。 医療保険・介護保険・在宅支援など、 「難しい制度を、自分が理解できる言葉でまとめる」がテーマ。 子育てをしながら、訪問看護を学び中。

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