
重力喫茶michiko 【一回限定】
この通りの奥に不思議な喫茶店があるのよ。店主が猫でmichikoさんっていうの。猫が客商売の喫茶店ができるって?そこが不思議なところなのよ。成り立っているのよね。なぜか?あなた、行ってごらんなさいな。「重力喫茶michiko」と木の看板に書いてあるから、すぐにわかるわよ。
そう言い終えて、ヨボヨボと歩きながら老婦人は去っていった。店主が猫…猫カフェかしら?私は、興味が湧いて、その不思議な喫茶店「重力喫茶michiko」に足を向けた。
あったわ。確かに古ぼけた木の看板に「重力喫茶michiko」と書いてある。私はドアを開けて中に入った。カランコロン。その途端、
「ミャーミャー」
と猫が足元にすりついてきた。やっぱり猫カフェなのね、と思った瞬間、私は無重力空間に放たれた。体がふわふわと、あちらこちらに勝手に移動する。ちゃんと床を歩こうとしても、歩けない。
「いったい、どうなってるの?」
その時、猫が人間の言葉を話し始めた。
「だいじょうぶニャー。むじゅうりょくじょうたいで、からだとこころをやすめるニャー」
なるほどね。確かに気持ちいいわ。私は、無重力の世界を堪能しつつ、猫をモフモフしまくった。
ハッと気づいたら、私は夕暮れの街角に立っていた。不思議なことに疲れが取れていて、生まれ変わったような気持ちになった。
「重力喫茶michiko」のことが、現実だったのか、夢だったのか、いまとなっては私自身、判断ができない。