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ブースツアーが消えた【CP+2026】

    朝、アリナミンVを飲み干し、一心不乱に資料を読んでいた。

    この日の午後、CP+2026焦点工房ブースでトークショーに登壇する。何度もリハーサルを行い、所定時間ほぼジャストでスライドを終えられるようになった。時計で残り時間を気にする必要はない。用意したトークを飛ばさず慌てず、余計な脱線さえしなければ、ちゃんと持ち時間で終わる。

    そう、何も不安要素はないはずだった。

    問題はトークショー後のワークショップだ。今回はトークの後、相方の上野由日路さんがステージ上でモデル撮影会を、僕はブースツアーを担当する予定だった。モデル撮影待ちのお客さんを、僕がブース内に誘導して注目製品を紹介していく。待ち時間を無駄にしない大盤振る舞いのワークショップ企画。そのつもりだった。

    CP+初日に動員を見て、見込みの甘さに冷や汗が滲む。焦点工房ブースは常に大盛況で、そんな大人数を引き連れてブースツアーなど、到底できそうにない。お客さんに製品を紹介するために、その製品を見ている別のお客さんをどかすとか、本末転倒だ。

    どうしよう、企画倒れかも……。

    焦点工房がプレス向けに新製品一覧を用意していたので、それを頭に叩き込む。もちろん前もって新製品情報は把握しているが、それはブースで現物を見せながらトークするためのもの。製品をトリガーに話を展開すればいいのだから、緩いトークでかまわない。

    でも、ブースツアーができないと、どこかにお客さんに集まってもらい、そこで僕が即興でフリートークすることになる。現物はおろか、製品写真も作例もない状態でのトーク。

    どうすんの、これ?

    案の定、今日の焦点工房ブースも大盛況。多少の人の波があるものの、集団でブース内を練り歩くのは難しい。ワークショップのお客さんをブースの隅に集め、即興で何本かネタを考える。フリートークだからといって、ランダムに製品を取り上げるわけにはいかない。ストーリーがほしい。がんばれオレ、何か考えろ。

    マウントアダプター新章
    ・EOS Rマウントアダプターの逆襲
    ・カニ爪ガチャガチャのプロトタイプ
    ・GFXレンズをハッセルXでという狂気

    オマージュレンズの異変
    ・コーディングで色は変わるのか
    ・低コントラストへのこだわり
    ・これから来るレンズブランド

    頭に叩き込んだネタから、あれとこれをくっつけて、こっちとあっちをひとまとめにして、という具合にトークを組み立てる。あとはお客さんの反応を見ながらネタを掘り下げたり、エピソードを追加したり、肉付けしていく。お客さんと至近距離でのトーク。反応がよくわかるので、軌道修正はしやすい。

    前半のモデル撮影が終わり、お客さんがまるっと入れ替わる。1セット30分のフリートークを、はじめからもう一度くりかえす。話のメドが立つだけに、2回目はだいぶ落ち着いてトークできた。

    ということはオレ、連続で3ステージこなしたのか……。

    トークショーとワークショップに来てくれた人たち、ありがとう。ふと立ち止まった人、終わった後に質問してくれた人、SNSに写真をアップしてくれた人、ありがとう。五十代も後半だけど、まだ伸びしろがあるらしい。

     
     
    写真家・ライターの澤村徹です。オールドレンズ、デジカメドレスアップ、デジタル赤外線写真が得意ジャンルです。最近は美術家としてAIアートにも取り組んでいます。AIアート「突撃恋愛少女」、AI MV「Dystopia Old Lens Orchestra」を展開中。

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