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#1-9 出発の朝|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜

    第9話 出発の朝


    街の人は誰ひとり、タトに「女王を目覚めさせてほしい」とも、「瘴気を止めて」とも言わなかった。

    もしかすると、これまでも何人かが旅立っていたのかもしれない。けれど、変わらなかったのかもしれない。


    タトは、自分にこれといった力がないことを知っていた。

    だから、同じ“オリジン”を持つ者を探すために、フェリサリアを目指そうと思った。



    旅立ちは、普段の朝とさして変わらない。


    いつも通りの装備に、もらった薬とマント、木の実に、アメ。

    氷山を右手に、北へ向かう。


    「タト、靴が古くなっていたよね。今回のは、特別に強化した布で作ったよ」

    ニナが、できたばかりの靴を渡してくれた。


    「ルルベリーのジュースだ。もっていきな」


    ジルは、いつも通りにジュースをくれた。


    「ああ、行ってくる。」


    いつもと大きく違っていたのは、腰袋の六角柱の石と、その輝きを知ってしまった、自分自身だった。



    (第二章につづく)



     
     
    ぼんやりと生きています。心に湧いたお話は『ナルニア国物語』を思わせる、「児童文学ファンタジー」をちょっぴりと目指しています。 ◆note: 長編小説「追憶のオリジン」(全話公開中)イラスト 短編/短歌/自由詩/エッセイ ◆tales: 「追憶のオリジン(改訂版)」「読み切り」

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