メインコンテンツへスキップ
見出し画像

#1-2 森に埋もれる光|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜

    第2話 森に埋もれた光


    教会は、「希望の塔」と呼ばれていた建物の一階部分にある。

    かつて塔は、300メートルを超える高さを誇ったというが、今は崩れ、教会として使われている三階までしか残っていない。

    教会塔の脇を抜けると、すぐそこまで森が迫っていた。

    「やあ、タト。これ以上森が広がると、街まで攻撃が届きそうだ」

    「そうか。じゃあ、今日は南側を伐採してくる」

    「あの辺りは魔力がこもってる。風や雫に気をつけるんだぞ」

    「分かってる」


    かつては防災林として守られていた森。

    だが近ごろは、瘴気の影響で異様な勢いで広がり、人々の暮らしを脅かしていた。


    南側へ回ると、タトは氷山を見上げた。

    眼前にそびえるその山は巨大で、高く、静かに呼吸しているようだった。

    中心部からは冷気と瘴気が、まるで吐息のように周期的に噴き出している。


    時折、噴火のように吹き下ろされるそれは、生き物の精気を奪い、森を歪めながら押し広げていた。

    街は、その歪んだ森に今にも飲み込まれそうになっている。


    人々は、ただ命を明日へ繋ぐため、今日という日を必死に生きていた。


    (ボクたちは、何のために存在しているんだろう…)

    最近、タトは時々この考えに囚われる。

    どれだけ体を動かしても、拭えない日もあった。


    木を30本ほど切り倒した頃、不意に風が吹いた。


    それはただの風ではない。瘴気を含み、魔力を帯びた攻撃――

    「蒼刃(そうじん)」と呼ばれている。


    カマのような風が突然現れ、タトの腕をかすめた。

    その衝撃に、膝をつく。

    (危なかった……まともに受けていたら、動けなくなるところだった。山に近づきすぎたようだ。今日は、ここまでだな)


    腰を上げようとしたとき、ふと気づいた。

    膝をついた地面に、小さな石が光っていたのだ。


    不思議に思い、土を払う。

    それは、まるで誰かが磨き上げたような、澄んだ光を放つ石だった。


    (つづく)


     
     
    ぼんやりと生きています。心に湧いたお話は『ナルニア国物語』を思わせる、「児童文学ファンタジー」をちょっぴりと目指しています。 ◆note: 長編小説「追憶のオリジン」(全話公開中)イラスト 短編/短歌/自由詩/エッセイ ◆tales: 「追憶のオリジン(改訂版)」「読み切り」

    あなたへのおすすめ