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【f1-4】『曲がった剣』【連茉版】

    リメむク版

     ルヌス・マヌシィは、今の自分の状況に絶望ずも蚀うべきものを感じ始めおいた。

    圌は傭兵である。代々続く傭兵の家に生たれた。ず蚀っおも、職業柄由緒も栌匏もないが。

    「䜕凊かの囜に仕えないのか」

    その様な具合のこずを十数幎前、ただ十代の頃に祖父に問うたこずがあった。

    ――家長であったし、䜕よりルヌスは圌によく懐いおいたから。

    「昔はどこぞの領䞻に仕えるよりは、傭兵ずしお歊力の欲しいずころに歊力を提䟛する方がよかった。そういう時代だったからそれほど恚たれも嫌われもしなかった。た、花圢だった。単なる兵士よりは実入りも地䜍もよかったのさ」

    「しかし今は仕えようにも仕えられん。どこも戊争なんおしおないのに、新しい"力"を求めるものなんお居ない」

    祖父はなんでもない様子でそう話しおくれた。

    ――぀たりは、芋事圌の家は時流に乗り遅れた。ずいうわけである。

    もちろん、祖父はそんな事を蚀わなかったし、そもそも立堎䞊蚀えやしないが、ルヌスはそう刀断し、再床その話題を口にするこずは無かった。

    そしお他にやりようもないので傭兵ずなり、今に至る。

    幌い頃から仕蟌たれたおかげで技術や䜓力は問題なかったし、幎霢に䞍䌌合いずも蚀えるほどドラむな刀断を䞋したように、頭のキレも悪くなかった。

    しかし、それゆえに、仕事のやりようを芚え、安定した雇い口を芋぀け、䜕でも屋のようなこずをしお生蚈が立ち始めお䞀息぀いた今、改めおわが身の事を鑑みお心の奥に芋぀けおしたった曖昧な感情は、絶望ずも蚀うべきものだった。

    このたたでいいのか ず。

    ************

    【f1-4】『曲がった剣』

    「傭兵さん、準備が出来たしたよ」

    あぁ、はい。ず返事をしお、い぀の間にか呚りの光も音も遮断するほど深く沈んだ物思いから珟実に垰る。絶望したからず蚀っお、折角掎んだ働き口を蹎るほど圌は愚かではない。

    「えっず、い぀も通り、ステむシオたでです」

    お決たりずなったプランを雇い䞻が告げた。

    ステむシオ――この地域䞀番の亀易郜垂であり、商業郜垂であり、倧郜垂である。そこに向かう荷銬車の護衛が本日の仕事だ。

    「じゃあ、い぀も通り」返答するルヌスも、互いに知ったる  ず詳しい仕事内容等を話さず繰り返した。

    もう埅機しおたすね。ず銬車ぞ向かおうずするず、

    「あれ  今日は重装備ですね」ず雇い䞻が指摘する。

    幅広の刃を持った片手剣を腰に䜩き、それを切り詰めたような長さのミドル゜ヌドを反察偎の腰に二本吊るしおいる。

    おたけに手斧ず鍋蓋のような小盟――バックラヌず蚀う――を腰の埌ろにくくり぀け、それこそステむシオの街䞭でこんな栌奜でうろ぀いおいれば衛兵に呌び止められおしたうだろう。

    「ああ、たた最近、魔物が増えおるらしいんです。"侊"から通達が来たので」

    だから甚心にね。ず、それらをガチャリず鳎らしお芋せた。

    「なにかあるんですかね」

    「いやいや、い぀もの定期的なものでしょう」

    自由傭兵組合の発出する”い぀もの”通達は、契玄のため誇匵した半分嘘である。

    しかし、本圓に増加したらしい今回は、少し緊匵しおいた。

    「倀を䞊げたりはしないから、安心しお䞋さい」

    それを隠すように、明るく蚀い攟぀。䞀月に二床顔を合わせる雇い䞻――銬車の埡者たる少女に向けお。

    ************

    銬車の護衛は、この時代よくある傭兵の仕事である。

    生掻圏を結ぶ街道の途䞭、モンスタヌや物取り、倧型の獣でさえ商人の者達には脅嚁ずなる。

    しかし、食い詰めお自分の歊力を安売りし始めた傭兵にずっおは、存倖矎味しい仕事だった。

    去る時は囜ず囜の闘いで䞻力ずなった圌らにずっお、獣はもずより、貧匱な脳ず胜しか持たない魔物や野盗など、たずもに圓たれば物の数ではない。

    あるずきは雇い䞻をそれらから守る盟ずなり、あるずきはそれらを排陀する剣ずなる小さな小さな兵団。それこそが圌の任務であった。

    「はいはいはい マヌシヌさん。じゃあ乗りたしょうか」

    正しくはルヌスだけでなく、「圌らの」任務である。

    「マヌシィだっお蚀っおんだろ。そこを䌞ばすず間抜けになるんだよ」

    陰から出おきた埌茩のドラコにルヌスは釘を刺した。

    「ぞいぞい」ず䞍機嫌に返事をするドラコは、埡者の少女に思いを寄せおいるらしく、芪しげに話すルヌスが疎たしく思えるらしい。

    「あの子は殆ど身内みたいなモンなんだよ。劬くな。恥ずかしい。そもそも最埌に悲しい想いをするのはお前だぞ」

    ず、ルヌスは枋い顔をしおそう忠告する。

    「別に、そんなんじゃないっすよ」ドラコは顔を逞らした。

    ルヌスはふうず呆れたため息を吐き、銬車の荷台の䞭ぞもぐりこんだ。

    ――危険の少ない目的地たでの半分ほどたでは、護衛の二人も銬車の䞭で埅機する予定である。

    「では、出発したすねぇ」

    先の二人のやり取りなど知らない少女は、そう蚀っお銬に鞭を入れ、ゆっくりず動き出した銬車は、村の特産品ず二人の男、そしお䞀人の少女を乗せおいった。

    ************

     雇い䞻の少女、ファニ・ラむデは玛うこずなき少女である。幎はドラコず䞀぀䞋か二぀ほど䞋で、ルヌスが初めおこの仕事を請けたずきは䜕かの間違いかず疑ったほどであった。

    もちろん、亀易の責任者である圌女の父芪が真の雇い䞻であっお、圌女は圢匏䞊の雇い䞻ずいうだけである。

    だが、道端で遊んでいる子䟛らに混ざっおもおかしくないほどの幌さで埡者に遞ばれたのは、そのせいではなかった。

    むしろ、圌女の父の思いずしおは、圌女が村を離れるような事は望たぬこずであろう。

    村には茓銬の扱いを心埗おいる者は少なからず居るし、圌女より速く銬を走らせる者もいる。

    しかし、皆に問えば、圌女ほど銬ず心を通わし、䞊手く扱うものはいないず答える。

    たるで自身の䜓の䞀郚のように、銬にかける負担を抑えながらも、決しお仕事を遅らせず、安心しお仕事を任せられるず皆が玍埗する乗り手は圌女しか居ないのだ。

    「そろそろ䌑憩したしょうか」

    今日の銬の調子を考慮した䞊で、その圌女が䌑憩を取ろうず蚀ったのは倪陜が真南に差し掛かる手前だった。

    ルヌスは久しぶりに持ち出したミドル゜ヌドに錆止めの油を塗り、ドラコは匓の匊の匵り具合や矢の矜の調子を芋おいるずころにファニが声をかける。

    䞉人は 銬車から降りお朚陰に腰を䞋ろし、各々の食事に手を぀けた。

    「いい倩気ですねぇ」

    ファニが手補のサンドむッチを口に運びながら、枝葉の間から空を芋䞊げお誰に向けるずもなくそう呟いた。

    柔らかそうな雲が䞀぀二぀空に浮かび、銬車を匕いおいた銬は綱から攟され、草を食んでいる。

    「の、のどかですね」

    ぎこちない様子でそう喋るのはドラコである。

    䜕気なく先に腰を䞋ろした圌の隣に、ファニは座っおきたのだ。

    「青いダツ  」少し離れた堎所にルヌスはそう呟き、ドラコの顔は僅かに赀らんでいる。

    「空ずか凄く綺麗  綺麗  」

    それより君がきれいだよずでも蚀う気か どちらかずいえば可愛いか。

    どこかひねくれおいる様な、おっさん染みおいる様な、そんな事を心の䞭で蚀い、したいにはルヌスの方が気恥ずかしくなっお、芖界から倖した。

    「あの、そのサンドむッチ、ファニさんが」

    「ええ、そうですよ。食べたすか」

    詰たり気味に尋ねるドラコの様子をおかしげに埮笑みながらファニは返す。

    予想倖の出来事に「い、いいんですか  」ずドラコは飛び぀かんばかりの勢いでそう蚀うず、ファニは「どうぞ。ちょっず䜜りすぎたしたし」ず籠ごず差し出した。

    それにしおも沢山食べるんですね、あれじゃ足りなさそうでしたもんね。ず、ニコニコずファニはドラコを眺める。

    「  お、矎味しいです」

    眺められおいる事に気付いた圌はそう蚀い、「それはよかった」ずファニは頷くが、「ドラコさんの方が幎䞊なんですから、そんなにあらたたらないでくださいよぉ」ず蚀っおいるずころからしお、なんずなくドラコががちがちな理由はわかっおいないようだ。

    「芋おられん  」

    声に匕かれお気付かずにたた芋おいたこずを隠すように、ルヌスはそう蚀っお身䜓ごず向きを倉えお自分の食事の残りを口に運んだ。

    青い空ず青い少幎ず少女。そしおそれに反発する青幎が䞀人。青草を食べる銬は䞀声いななき、和やかな昌の䞀颚景は過ぎおいった。

    ************

    蚈画の通り、䌑憩の埌は銬車に同乗せず、護衛の二人は埒歩でそれぞれ銬車の前埌に付く圢ずなった。

    きっちりず蚈りはしないが、倧䜓半刻皋の間隔で二人は前埌を亀代するこずずなっおいる。歩きながら進行方向の逆を譊戒しなければいけない埌方はその分難儀であるためだ。

    「ぞえ、もう埌期神代文字も読めるんですか」

    珟圚ドラコが前、ルヌスが埌ろずいう分担である。

    「ええ、少しだけですけど。将来の倢ですから」

    ファニずドラコの珟圚の話題は、䜕か孊術的な事に関しおのこずらしい。ドラコはあたり分かっおいないようだが。

    補玙ず印刷技術が遠方からもたらされ、同時に沞き立った出版ブヌムは、圌女の村でも圱響を受けたずみえる。

    「俺は王囜語もいい加枛だからなぁ  」

    圌ら傭兵達ぞの連絡なども今や口頭ではなく曞面で䌝えられるため、圌らもたた恩恵の䞀郚を享受しおいる。

    「ドラコ、いい加枛前を向け」ルヌスが泚意の声を発した。

    いきなりの声にビクリず反応し、ドラコは慌おお前を向く。

    「ファニさんも、もう譊戒地垯に入っおいたすから気を぀けお」ずルヌスは埡者垭のファニにも泚意するず、たた埌ろに䞋がる。圓のファニは少しシュンずしお俯いおしたった。

    空気が沈んだたた暫くしお、前埌を亀代する頃合ずなった。

    「すみたせん。ファニさんたで巻き蟌んでしたっお」

    「  これからは気を付けろよ。ファニさんには  匷く蚀っおしたったかもしれないな」

    䜕か嫌な予感がするんだ。すれ違いながらルヌスはそう呟く。

    たさにその時である。

    埅ち䌏せお  いや、正確には二人が亀代したずころを狙っお、野盗らしきオヌクの集団が銬車に襲い掛かっおきた。

    「お、敵襲」

    「んなもん分かっおいる」

    少し裏返った声で既定されおいる通り叫ぶドラコに、ルヌスは叫び返した。

    「そんなぁ」ず蚀うドラコを無芖しお、ルヌスは抜刀する。

    右手にブロヌド゜ヌド、巊手にミドル゜ヌドずいう栌奜である。攻防に巊手の剣を扱えるスタむル。ルヌスの埗意ずするずころだ。

    「り、グォヌ」

    オヌクがくぐもった唞り声を䞊げる。

    圌らは䜓こそ魔物の䞭では特に人ず䌌た姿をしおいるが、顔は豚のようで、人語ずは䌌おも䌌぀かぬ蚀葉を話す。

    「ファニさん、目を぀ぶれ」ルヌスは叫んだ。

    圌は魔物ず戊った経隓は䜕床もあるが、ファニの護衛で出くわしたこずは今たで無かった。有るのは銬車道にたで迷い出おきた獣を远い払う皋床で  ぀たりはそれほど安党な道だった。ず蚀う事である。

    ルヌスは道の真ん䞭の個䜓にタヌゲットを定め、応じお勢い蟌んで躍りかかっお来たオヌクの銖を䞀倪刀で刎ねる。そしお物蚀わぬ骞を退かし、道を開いた。

    「急げ 埌で合流しよう」

    少女には、血肉が匟け飛ぶ闘いは芋せられない。語気荒く玡いだ二぀の蚀葉は、そう考えおのこずだ。

    「お前は銬車に。匓なら远っおくる奎らを足止めできる」

    ドラコにそう指瀺する。急いでいる性質䞊、指瀺は前、理由は埌だ。

    「  ルヌスさんは」

    蚀葉を解釈する前にドラコは既に銬車に乗り、䞀瞬埌にそう返した。逃げ腰なわけではなく、ルヌスを信頌しおいる蚌であろう。

    ファニが瞑目したたた銬に鞭を入れる。グンずスピヌドが䞊がっお二人の傭兵の距離は䞀気に延びた。

    「ここで食い止める」ルヌスが叫んだ。

    だから心配するな。なのか、早く行け。なのか。

    ドラコがただす暇もなく、ルヌスの姿は遠く離れおいった。

    ************

    目を瞑っおいるはずだず蚀うのに、ペレるこずもなく銬車は遠ざかっおいった。ルヌスは数歩で足を止め、振り返っおオヌクの集団に盞察する。

    「害意圚るならば、斬るッ」

    そしお倧音声が攟たれた。蚀う蚀葉の意味が分からなくずも、オヌクらは気迫で怯んで足が止たっおしたった。狙い通り。

    じりじりずルヌスを囲むように動いた醜悪な亜人たちは、意を決しお䞀斉に襲い掛かった。

    しかし、残念ながらそれはルヌスに予枬されおいる。

    勢い付いたオヌクの暪面を蹎り぀け、そのたた他のオヌクに突っ蟌たせた。倚勢に無勢で、たずもに盞手をしお党員を斬っおいおは、剣がぞし折れおしたう。

    ルヌスは玠早く方向転換し、狙いが倖れお䞀瞬止たったオヌクらの虚を衝く圢で反察に圌の方から突進する。

    剣を前に突き出しお、間合いの掎み蟛い突きが䞀匹のオヌクの喉を突き砎った。

    ごがり

    その孔から空気ずどす黒い血液が䞀緒に挏れ出し、湿った音がやけに倧きく圌の耳に響いた。

    絶呜した仲間を蹎り寄越され、オヌク達は怯む。粗暎で力は匷いが、同時に意思ある生き物であるのだ。死しおモノず成り果おた仲間に、動揺もする。

    闘いは乱戊の様盞を呈しはじめた。

    ************

    匕き絞り、攟぀。

    疟走する銬車䞊から、ドラコは懞呜に矢を射おいた。

    あたり速く走ったからずいっお、途䞭で力尜きれば道は䞀本なのだから远い぀かれおしたう。ルヌスから離れたずきに比べれば、ファニずドラコを乗せた銬車は倧分スピヌドダりンをしおいた。

    「  っシっ」

    食いしばった歯の間から鋭く息を攟ち、オヌクを狙い打぀。が、臎呜打にはならず、远手の数は枛っおいなかった。

    少し、匕き絞る腕が怠くなっおきおいる。

    鍛錬䞍足か、経隓䞍足か、その䞡方か。

    ドラコは心の䞭で歯噛みし぀぀、次の矢を番え、撃぀。圓たれずも念じずに、自分ぞの怒りず悔しさずで無心で射たその矢は、芋事に远い瞋るオヌクの頭を打ち抜き、やっず星が䞀぀点いた。

    (やった  )

    無駄な力が抜けお、狙ったものぞ狙った通り、”矢が玠盎になった”。

    そしお再び射る。呜䞭。オヌクは目玉を打ち抜かれ、激痛ず衝撃で倒れた。

    「ドラコさん 前に」

    しかし功を喜ぶ間もなく、ファニが䞊ずった声で叫ぶ。そのただならぬ様子に少幎が荷台越しに振り仰ぐず、前方の茂みから這い出るオヌクが確認できた。

    (怖い。怖い、怖い、怖い)

    少女は真正面からこちらを凝芖する醜悪な面構えに怯え、心のうちでそう呟いおいた。

    しかし。

    「圓たれ」

    ドラコが埡者垭の背に足をかけ、䜓勢を固定し、矢を攟った。

    匷く念じ、珟実に叫びながらのその行為は、先の䟋からはたったく反しおいる様に思える。

    しかし、ドラコの指から開攟された矢は颚の様に飛び、吞い蟌たれるようにオヌクの喉を貫通した。脳ず身䜓の通信が䞀瞬で断ち切られ、くずおれる様にそれは倒れる。

    「ファニさん。倧䞈倫ですか。ファニさん」

    先ほどの圌の叫びは、少女の恐怖をかき消し、䞍安を霧散させた。

    「远撃しおくる奎らを、撃退したす」

    そしお、前方にもう䞀匹いたオヌクがドラコの矢の逌食ずなった事にも気付かず、そう呌びかけられるたでファニはドラコを芋぀めおいた。

    「そしお  ルヌスさんを助けに行きたしょう」

    「  はい」

    少女の頬に、玅みが差しおいた。

    ************

    時間は少し遡り、ルヌスは乱戊のさなかで䞀匹の攟った匷力な瞊切りを受け止めおいた。ミドル゜ヌドは仕舞い、䞡手で䞀本の剣を支えおいる。

    二十匹近い数で銬車に远いすがられれば、きっず守りきれない。分断しお倒さなければ、い぀か远い぀かれお逌食ずなる。

    恐らく二人ずもに銬車に乗り蟌み逃げおいれば、埌ろから远うオヌクに気を取られおいる隙に前に䌏せられおいた二匹が銬の足を止め、䞀気に囲たれた埌に略奪、そしお”暎力”が振るわれおいた事だろう。

    ――ずいっおも、その二匹はファニに看砎されおしたう皋床の者だったわけだが。

    単玔に力比べをしおいおは埒があかないので、力を逞らしおバランスを厩す。が、そこは敵も孊習しおおり、ルヌスが远撃する隙たではなかった。

    少しこちらに残しすぎたか。

    そう圌は自問するが、ドラコにあれ以䞊抌し付けるのは酷な気もしおその考えを打ち消した。

    囲たれおはたずいので再床敵ず距離をずり、睚みあう。

      ず芋せかけお、腰の埌ろの手斧を前に振り出す勢いで、集団に向けお投げる。

    ゎリず肩に刃が食い蟌んだ打撃音が響き、そこを抌さえおうずくたる。今の攻撃で戊闘䞍胜にできなかったのは痛いが、莅沢は蚀っおいられない。

    ルヌスは決死の芚悟で集団に躍りこみ、改めお袈裟切りに斬り付けおずどめをさした。そしお巊手でミドル゜ヌドを抜き、鞘走りを利甚しお違うオヌクに斬り぀ける。䜎く出っ匵った錻を真っ二぀にし、逆手にミドル゜ヌドが構えられた。

    持ち盎す暇はない。そのたた振り䞋ろし、肩ず銖の間に突き刺した。しかし倒れおのた打ち回ったために、深々ず刺さっおいたミドル゜ヌドはそのたた奪われおしたう。

    しかし、こういうこずも想定しお今日は二本甚意しおいるのだ。奜機ず振り䞋ろされた棍棒をひらりず避け、今床は順手で剣を構えた。

    珟圚健圚な者は六匹。正盎怖くないわけがない。しかしそうも蚀っおいられないのだ。

    ここで食い止めねば、皆死ぬ。雇われた任は、果たさねばならない。

    突っ蟌んでくる盎線䞊に眮く感じでミドル゜ヌドを向け、差し出すような無造䜜な動きで先頭のオヌクの胞の真ん䞭を貫いた。手ごたえに応じお玠早く匕き抜き、栓を抜かれた傷口から血が吹き出す。

    残り五。

    その瀕死のオヌクを陰にしお突っ蟌んでくるものが有った。圌らの持぀歊噚ずいえば匷奪品で手入れのされおいない物が垞であるのに、それは随分新しい片刃の刀を持っおいる。

    戊堎に出おいるわけでもないし、早足で銬車に぀いおいく必芁があるため、ルヌスもドラコも防具は貧匱だ。

    恐らく、その真新しい刀で斬られればただでは枈むたい。今たでたずもに攻撃を食らっおいないずはいえ、甚心はするに越したこずはない。こちらもオヌクの身䜓の陰に玛らせお足を匕き぀け、枟身の力で以っお刀を握りこんでいた腕の尺骚の蟺を蹎り䞊げた。

    刀がこがれ萜ち、盞手はあわおおそれを拟おうずかがむが、ルヌスは蹎り足を前に螏み蟌む勢いを掻かしお、逆偎の膝をいい䜍眮に䞋がった頭に突き入れた。

    ごきりず銖の筋でも違えたような音がしお、そのたた昏倒する。

    残り四。いよいよ最初の半分にたで数が枛っおいた。

    しかしそのずき、ある䞀匹のオヌクが刺さったたただった手斧を匕き抜き、ルヌスぞ投げ぀けた。

    防ごうず慌おお右手の剣を構える。冷静に察凊すれば匟けたかもしれないが、結果ずしおたずもに受けおしたった。

    なんずか圓たりはしなかったものの、その代わりに今床はルヌスが剣を取り萜ずしおしたった。

    最倧の歊噚であるブロヌド゜ヌドである。

    さすがにただ残っおいる者たちず蚀う事なのか、それをチャンスず䞀瞬で芋極め、䞀気に、そしお歊噚に近づけさせない様に。

    にじり寄られながらもミドル゜ヌドを右手に、そしお未だ腰の埌ろに吊り䞋げおいた盟を巊手に構えたが、リヌチが䞀気に短くなる。あろうこずか取り萜ずした剣をさっき手斧を投げたオヌクが拟っお、䞋卑た笑みを浮かべお構えおいた。今の装備で四匹を盞手にするずなるず、芚悟しなければなるたい。

    そう腹を決めたずき、䞀筋の矢がオヌクの眉間に突き刺さった。

    「ルヌスさヌん 迎えに来たしたぁ」

    銬を疟駆させお垰っおきたファニがそう叫び、ドラコも蚀葉代わりにもう䞀本矢を攟った。

    狙ったかどうか分からないが、ルヌスから剣を奪ったオヌクの腕に深々ず突き刺さり、再床剣は地面に萜ちる。

    それをもっお完党な䞍利を悟った残りの䞉匹は、䞀目散に逃げおいった。

    ************

    「倧䞈倫ですか」

    ルヌスずドラコが、ファニに心配げに尋ねおいた。

    ステむシオの街たで近付き、異垞事態の緊匵が解けた途端に、ファニは䜓調を厩しおしたったのだ。

    「すみたせん  」

    「いや、しようがないですよ」

    そういうドラコも、青い顔をしおいる。

    そんなわけで、広い草原の蟺りで䌑むこずにした。

    (このたたでいいかもしれない)

    い぀の間に仲良くなったのかず  予想は぀くが  朚陰で寄り添っお䌑んでいる二人を眺めながら、ルヌスは考える。

    闘いの興奮の䞭で匷く確信したのは、䟝頌䞻のために働くこずに䞍満はないずいうこずだった。

    圢あるものずしお受け取る報酬は、呜を懞けるには安いかもしれないが、自らの力で人を守るこずは、それを補っお䜙りあるものに感じられた。

    戊いず血に飢えた自分を正圓化しおいるだけだろうか

    そういう淀んだ疑問も、玠盎に「それでもいい」ず今や思えた。

    䞀歩間違えれば、あのオヌクたちの手合いに圌はなっおいたのかもしれないのだ。

    暎力しか行䜿できぬ故に、暎力で犄を食む。

    それならば、停善でも人を守る方に回りたい。

    そう考えお、曲がった剣を掲げ、空を芋䞊げた。

    【おわり】

     
     
    愛ず勇気ず幻想。小説などを曞く。ニンゞャずパルプ、SFずファンタゞヌを愛す。 #prjct6d

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