内部録音のノイズ比較
本項では、E-M1 Mark III と GH5M2 の内部録音回路における S/N (シグナル/ノイズ) について、簡単な実験と分析結果を考察してみます。
この項目で用いるのはこれ。
ステレオミニプラグの3端子が、任意のケーブルに分岐できる特殊なアダプタです。
そういえば、これが届きました。 pic.twitter.com/rlEnnzewFD
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
https://twitter.com/mharuka1/status/1411137155217330177
このコネクタのお尻側には、L/R/Gの3端子が露出してるので、ジャンパー線を使って、これら全てを短絡(接続)してしまい、ショートピンというものを作ります。
これによって、Lch、Rchのマイクは、そのままカメラ内のグランド回路と直結され、外部マイクで録音しているかのように見せかけて、マイクとしては音が完全に入ってこない状態を作ることが出来ます。
ショートピン完成!
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
これで、E-M1 Mark III と GH5M2 の内部ノイズ比べてやるんだ。
ついでにPCMレコーダーも。
ゲインはどうすれば正しい比較になるのか分からんな。
固定音圧の音源を突っ込んで、waveファイルの波形で音圧が同じになるように調整すればいいのか。
めんどくさいな? pic.twitter.com/ApzHmOYXzP
https://twitter.com/mharuka1/status/1411142326152359936
これをカメラのマイク端子に差し込みます。
OM-D E-M1 Mark III と GH5M2 のマイク端子にショートピンを挿しました。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
カメラの設定は、録音レベルゲインをそれぞれ0dB、風切り音低減と音圧リミッターをどちらもOFFにしました。#LUMIX #GH5M2 #Panasonic#EM1MARKIII #EM1MARK3 #EM1MKIII #EM1MK3 #EM1III pic.twitter.com/gbKZnE3PWR
https://twitter.com/mharuka1/status/1411323281135661059
この状態で動画を録画し、waveファイルを比較する、という実験です。
カメラの録画設定は下記の通り。
どちらもMOV形式4Kの設定。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
MZD 17mm F1.8 を取り付けて、パナは連続AFをON、オリはC-AFで録画しました。
最初の10秒は手持ちでブレないように構えて、後半の10秒は思いっきりカメラを振るくらいブレさせて、手ぶれ補正が効いたときにノイズが増える可能性を検証します。
https://twitter.com/mharuka1/status/1411323284902211585
GH5M2には、録音ゲインが標準と低を切り替えられるので、標準に設定してあります。
音声録音のサンプリング周波数とはどちらも、48KHz16bitのPCM設定にしました。
E-M1 Mark III は4K30p、GH5M2は4K60pで録画しました。
(後から同じ設定ではないことに気付いた、合わせればよかった)
というわけで、結果です。
DaVinci Resolve Studio 17 で並べると、どちらも無音ですね。 pic.twitter.com/hTObKUDOOk
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
https://twitter.com/mharuka1/status/1411324331985047558
オーディオレベルを、両方の音源に対して、+30dB持ち上げてみました。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
そうすると、おやおや!?
GH5M2の録音開始部分に、なんだかへんな波形を発見!! pic.twitter.com/Y6eQkdIIv5
https://twitter.com/mharuka1/status/1411325304539271170
下記でオリンパス機のほうは12フレーム無音と書いていますが、タイムラインが60pになっており、撮影データが30pなので、カメラ内としては正しくは6フレーム分でした。
え、なんですか、これ、、、
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
E-M1 Mark III は上段、録画開始のタイミングが12フレームくらい無音?
GH5M2 は下段、録音開始のタイミングで6フレームくらい、減衰傾向の大きなノイズが録音されている。
これ、どっちも、なんで??? pic.twitter.com/jrkFN8xxl9
https://twitter.com/mharuka1/status/1411326622909689857
オリンパスのほうは、録音開始時に意図的に音をミュートにしているのかなぁ?
パナソニックのほうは、冒頭のノイズは非常に良くない、アカンですわ。
動き始めたときにアース側のノイズが録音側に回っちゃってるってことでしょうか?
上記に関しては、こんなコメントを頂きました。
おそらく,スイッチ押下のポップ音や電源ゆれ回避?
— かどまる🙆 (@KADOMARU_MN) July 3, 2021
12フレは内部のフレームバッファはしているが音声はおそらくしてないので,押下信号に対してレスポンスよくバッファから取り込むと12フレ分音声が付かなくなってしまった?といった推測 https://t.co/4hdeG1Ryes
https://twitter.com/KADOMARU_MN/status/1411342718115074051
DaVinci Resolve 内で出来るのはこのくらいまで。
次は、オーディオ専門のソフト iZotope RX 8 にこの音を転送して分析を続けました。
というわけで、更に厳密に無音音源を分析するため、iZotope RX 8 Advanced に音源をエクスポートします。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
1枚目が OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III
2枚目が Panasonic GH5M2 pic.twitter.com/mYgTVSUSO3
https://twitter.com/mharuka1/status/1411327676040679430
このソフトのなかで、さらに+20dBしてみます。 pic.twitter.com/TRaGIMzw2Z
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
https://twitter.com/mharuka1/status/1411328490306109448
さぁて、どうですかね!?
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
そろそろ、見えてきた、見えてきた!?
音を可視化できるiZotope RX 8 すげぇよな。
1枚目が OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III
2枚目が Panasonic GH5M2 pic.twitter.com/a1GeRSSzt6
https://twitter.com/mharuka1/status/1411328848252137475
では、オリンパスから暴いてきましょう。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III
横軸を録画開始0secから2sec幅くらいに調整しました。 pic.twitter.com/e9EJO3ITmL
https://twitter.com/mharuka1/status/1411334262544998400
オリンパスの波形を見ると、冒頭から0.1secは完全無音です。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
これはどう考えても、意図的な無音録音ですね。
心配なのは、実は映像に対して音源が0.1sec遅延してないか? pic.twitter.com/3ee57F8ckK
https://twitter.com/mharuka1/status/1411334268425408518
続いて、スペクトログラムが高輝度になっている低周波の領域に着目すると、だいたい100Hzくらいまでが強いノイズがでており、250Hzくらいまでノイズが大きめです。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
ポイント的に400Hzあたりにもノイズが強く出ており、気になるところです。
これらは時間軸的に連続しており、S/N比の悪化原因です。 pic.twitter.com/m7CxWJn2HN
https://twitter.com/mharuka1/status/1411334275366998016
次に、周波数方向全域に対して、この2秒の時間軸の中で、2回くらいノイズ線が見えます。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
これはあまりよろしくないですねぇ。
ノイズ消しの手間が増えるやつです。
S/N比的な計測をするとあんまり効きませんが、プチノイズに聞こえてしまう可能性があるやつです。
+50dBも上げてますけど。 pic.twitter.com/glFhBDGF09
https://twitter.com/mharuka1/status/1411334280593100803
さらに気になるノイズが、斑点状の高周波ノイズです。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
これは20.5kHz付近で周期的に出現しているのと同時に、14.8kHz付近にも間欠的に出現します。
20kHzを超えるとほとんどの人には聞こえないので気になりませんが、14.8kHz付近は若い人には聞こえて不快な音になるので嫌ですね。 pic.twitter.com/ks9BbcbxPE
https://twitter.com/mharuka1/status/1411334285865324544
こちらに関しては、こんなコメントを頂きました。
なるほどそうかも~、って思ってますが、確認検証はしていません。
おそらくデータバッファ→書き込みの間欠ノイズですね,,,
— かどまる🙆 (@KADOMARU_MN) July 3, 2021
これは完全にデジタル系GNDからアナログ系GNDに飛んでます。。。。ビットレートを変えたり形式を変えたりすると周期が変わるでしょう。
ここはパナさんすごい。おそらくGH系は放熱用板金がリッチなので,シャシ側のGNDがめちゃくちゃ強い。 https://t.co/b0cLjAhrwb
https://twitter.com/KADOMARU_MN/status/1411350258752253952
さて、ここからは、GH5M2の分析です。
さて、お次は Panasonic GH5M2 を暴いてみましょう。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
果たしてこの冒頭の波形はなんてことでしょう。
上段Lchと下段Rchが、逆位相側にめいいっぱいオフセットしたような波形になっていて、内部電圧がどちらかにチャージされて偏ってしまった状態になるのでしょうか?
私は知識不足でわかりません。 pic.twitter.com/AQKC2yNAk7
https://twitter.com/mharuka1/status/1411336825071755265
上記に関しては、こんなコメントを頂きました。
これは映像に定評あるパナらしくはないですね。時定数大きい気がしますが,ECM(マイク)にこのタイミングで電圧印可する動作に見えます(わからんけどたぶん)。マイクにプローブあててみたい,,, https://t.co/ASyq6bf4lW
— かどまる🙆 (@KADOMARU_MN) July 3, 2021
https://twitter.com/KADOMARU_MN/status/1411344712418553858
そこで、実際にカメラの音を聞いてみたところ、
こちら、試しにショートピンを挿したままイヤフォンで GH5M2 カメラ内ノイズを耳で聴きながら録音ボタンを押してみたところ、録画ボタンをおした瞬間、一瞬無音になって、バリバリッと音が鳴って、なってる最中に録画がスタートする、という感じでした。 https://t.co/UEp7WUmsfy
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
https://twitter.com/mharuka1/status/1411347781680201734
GH5M2は、録画開始のタイミングでマイクの通電をリセットしてるのかも。
ショートピンを使わずに録音開始だと、内蔵マイクの状態でも、外部マイクを接続した状態でも、バリバリという音はしないようでした。
ただ、外部マイクを繋いだ状態で録音開始すると、プチッというノイズが一瞬聞こえます。
では、分析を続けます。
低周波領域のノイズを見ると、OM-D E-M1 Mark III よりも、かなり優秀なことが伺えます。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
周波数帯域も低く、デフォルトの入力ゲイン設定という土俵で比べると、GH5M2のほうがノイズレベルも小さいと言えると思います。 pic.twitter.com/MLN48WuEtU
https://twitter.com/mharuka1/status/1411336829765230593
5kHzから上の領域は、特異的なノイズがなく、均一で素晴らしいS/N状態だと思います。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
オリンパス機のような間欠的なノイズも、全周波数に渡って走るようなノイズもありません。 pic.twitter.com/bGutTkKdau
https://twitter.com/mharuka1/status/1411336833879863299
ここで、2つのカメラのノイズ成分を、横並びで見てみることにしましょう。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
見にくいので、青い波形は消しました。
左側 OM-D E-M1 Mark III
右側 GH5M2
中央にあるカラーバーを見ていただくと分かる通り、輝度が明るいほど0dBに近づき、ノイズが大きいことを示します。
どちらが明るいですか? pic.twitter.com/YbJDUqDsxR
https://twitter.com/mharuka1/status/1411339304773685253
もうおわかりでしょうか?
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
オリンパスのほうは、特異点のポツポツしたノイズはありますが、全体的にスペクトログラムの色が濃く出ており、ややノイズが少ないように見えます。
ラウドネスで比較するのが正しいか分かりませんが
1枚目 OM-D E-M1 Mark III -18.5LUFS
2枚目 GH5M2 -15.9LUFS
でした。 pic.twitter.com/TvyfvOh74D
https://twitter.com/mharuka1/status/1411339308573724676
結論としては、
標準ゲインの状態では、カメラの内部ノイズは、オリンパス OM-D E-M1 Mark III のほうが、GH5M2 と比べて、ラウドネス比較で、2.6dBほどノイズが少ない。
という結果になりました。
ちなみに、パナソニックの冒頭のノイズを、オリンパスは無音化することで回避しているため、その部分を覗いたラウドネス指標でのノイズレベル比較も行ってみました。
— ハルカ (@mharuka1) July 3, 2021
1-2枚目 OM-D E-M1 Mark III -18.4 LUFS
3-4枚目 GH5M2 -16.2 LUFS
ということで、冒頭ノイズを除外しても、2.2dB差でした。 pic.twitter.com/hrQZFDUZ15
https://twitter.com/mharuka1/status/1411340508941623299
そして、ここまで可視化データから情報を読み取って、初めて実際に再生して、ショートピンノイズ音源を聴き比べてみたのですが、上記分析の結果そのもの、という印象でした。
シャ~ッという、俗に言う砂嵐ノイズは、パナのほうが音圧が高く、目立ちます。
オリンパスはそのレベルが低くて良い。
ただ、オリンパスの方は、見事に定期的なクラッシュノイズが聞こえて最悪でした。
コツンコツンコツンコツンコツンコツンコツンコツン
って、ずーっと鳴ってるの!
砂嵐ノイズが大きいのはノイズ除去ソフトで簡単にレベルを下げられるし、聞き続けたら気にならないですが、間欠ノイズはとても厄介です。
まとめ
・GH5M2は、録音開始時のノイズ対策をお願いします。
・GH5M2は、全体のホワイトノイズの低減がもう一声いけると素晴らしい。
・E-M1 Mark III は、間欠ノイズ等のカメラ内ノイズが録音に入り込まないよう、グランドとノイズ対策の強化を!
ハイレゾ録音以前に、このノイズの入り方はダメダメですよ。