
【藤枝・鉄板焼 花】黒毛和牛ステーキランチ4,800円|46年の職人技とトークもご馳走
2026年10月

父と二人、藤枝駅前でちょっと贅沢なランチをすることになった。
向かった先は、藤枝駅南口に直結するホテルオーレ2階の「鉄板焼 花」。
鉄板焼と聞くと、なんとなく敷居が高い。
きちんとした服装で、背筋を伸ばして、少し緊張しながら食べる。
そんなイメージが私にもあった。
でも、この日のランチは少し違った。
目の前で焼かれる黒毛和牛。
鉄板から立ち上るバターの香り。
そして、46年間にわたり地元藤枝で腕を振るってきたシェフの見事な技と、心地よい会話。
食事を終える頃には、料理の美味しさだけではない、温かな満足感が残っていた。
今回は、そんな父とのランチのお話です。
【13時20分|ガラスの向こうに広がる大人の空間】



平日の13時20分。
ホテルオーレの2階を進んでいくと、ガラス張りのシックなお店が現れた。
「鉄板焼 花」。
品の良いマダムに迎えられ、店内へ。
この時間のお客さんは……
なんと、私たちだけ。
父と二人、まさかの貸し切り状態!
ちょっとした優越感を味わいながら、案内された席につく。
店内には6人掛けと8人掛け、2つの鉄板焼スペース。
今回は6人掛けの部屋へ。
無駄な装飾のない、すっきりとした落ち着いた空間。
目の前にはピカピカに磨き上げられた鉄板と、それを囲む大理石のテーブル。
まだ何も焼かれていない鉄板を眺めながら、これから始まる食事に期待が膨らむ。
父は海鮮ランチ3,900円。
私は黒毛和牛ステーキランチ4,800円。
さぁ、どんな料理が出てくるのだろう。
【前菜|小さなサラダに隠された気遣い】

最初に用意されたのは、料理に合わせた薬味やソース。
海鮮には醤油風味のバター。
ステーキにはわさび。
そして共通で、塩と大根おろし醤油。
こうした組み合わせを見ているだけでも、料理への期待が高まる。
続いて運ばれてきたのは、彩り豊かなミニサラダ。
カシューナッツ、チーズ、サツマイモ、柿、プチトマト。
ひと口食べてみる。
カシューナッツの香ばしさ。
サツマイモと柿の優しい甘味。
そこへ酸味を効かせたドレッシング。
異なる食材が、口の中できれいにまとまっていく。
ただの付け合わせではなく、これから始まる鉄板料理への準備運動。
そんな一皿だった。
そして、いよいよシェフが鉄板の前に立つ。
静かだった鉄板に、命が吹き込まれる。
【焼き野菜|ジュワッという音が食欲を刺激する】




最初に鉄板へ並べられたのは野菜たち。
長芋、カボチャ、茄子、椎茸。
この日の椎茸は藤枝産、茄子は焼津産だという。
地元の食材が目の前で焼かれていく。
それだけでも、静岡で食事をする楽しみがひとつ増える。
シェフは食材ごとに焼き加減を調整していく。
長芋はシャキッと。
カボチャはホクホク。
茄子はジューシーに。
椎茸は噛むほどに豊かな香りが広がる。
仕上げにバターが加わると……
ジュワ〜ッ!
鉄板から立ち上る香ばしい香り。
思わず鼻が反応してしまう。
料理人だった頃を思い出す。
野菜を焼く。
たったそれだけのことなのに、実は奥が深い。
水分量も繊維も違う食材を、それぞれ最も美味しい状態に仕上げる。
シンプルな調理ほど、ごまかしが利かない。
シェフの手元を眺めながら、そんなことを考えていた。
【海鮮ランチ 3,900円|海老の尻尾まで美味しく】


次に鉄板へ登場したのは、父が注文した海鮮。
プリプリの海老が3尾。
シェフは身を焼き上げると、尻尾にも別に火を入れていく。
カリッカリになるまで丁寧に。
なるほど。
尻尾まで美味しく食べられるようにするわけだ。
そして、存在感のある立派な帆立。
表面には香ばしい焼き色をつけながら、中のジューシーさはしっかり残す。
ここでバターとブランデーが加わった。
ふわっと広がる芳醇な香り。
あぁ、たまらない。
食べる前から、もう美味しい。
料理人の腕が問われるのは、良い食材を使うことだけではない。
その食材が一番美味しくなる瞬間を見極めること。
海老の香ばしさ。
帆立の甘味。
それぞれの持ち味を生かした火入れを見ながら、思わず心の中でつぶやく。
「さすがだなぁ」
父の海鮮料理を眺めているうちに、今度は私の番がやってきた。
【黒毛和牛ステーキランチ 4,800円|これは肉なのか、それとも幸せなのか】



いよいよ本日の主役が登場。
黒毛和牛のサーロイン。
使われていたのは、浜松・湖西で育てられたブランド牛「静岡そだち」。
焼く前から美しく入ったサシ。
その姿を見ただけで、期待が高まる。
シェフが鉄板の上で丁寧に火を入れていく。
そして仕上げにはバターとブランデー。
ジュワ〜ッ!
芳醇な香りが一気に広がる。
いやいや、食べる前から反則でしょう。
包丁が入り、食べやすい大きさに切り分けられたサーロイン。
さぁ、いただきます。
まずはひと口。
……。
柔らか〜い!
いや、違う。
柔らかいというより、飲める!
それくらいスーッと口の中でほどけていく。
きめ細かな肉質。
上品な脂の甘味。
サーロインなのに重たさを感じさせず、肉の旨味と脂が一緒になって喉の奥へ消えていくようだ。
思わず、うっとり。
「あぁ〜、幸せだなぁ」
美味しいものって不思議だ。
たったひと口で、自分が幸せであることを再認識させてくれる。
肉質の良さはもちろんだが、それを最大限に引き出す火入れも見事。
元料理人として、ついつい焼き加減や包丁の入れ方まで見てしまう。
でも、この時ばかりは難しいことを考えるのをやめた。
ただ、美味しい。
それで十分だった。
【静岡県産ミルキークイーン|名脇役が主役を輝かせる】

ステーキの横には、ふっくらと炊き上がったご飯。
この日のお米は、静岡県産のミルキークイーン。
ひと口食べると、もっちりとした食感。
噛むほどにお米本来の甘味が広がっていく。
そこへ黒毛和牛をひと切れ。
肉の旨味と脂の甘味を、ご飯が優しく受け止めてくれる。
うん、美味しい。
主役はもちろんステーキ。
でも、脇役のご飯まで手を抜かない。
料理というのは、主役だけが美味しければ完成するわけではない。
付け合わせも、ソースも、ご飯も。
それぞれが役割を果たしてこそ、ひとつの料理としてまとまる。
そんな当たり前のことを、改めて感じさせてくれた。
【46年の職人技|技もトークも熟成されている】
食事が進むにつれて、シェフとの会話も弾んできた。
といっても、決してしゃべり過ぎるわけではない。
こちらが話しかければ、気さくに応じてくれる。
料理をしながら場の空気を読み、ちょうどいいタイミングで会話が入る。
この距離感が、実に心地いい。
お話を伺うと、以前は藤枝駅北側で「ステーキハウス シェフ」を36年間営み、その後、駅南側の「鉄板焼 花」で10年間。
合わせて46年間、地元藤枝で腕を振るってきたベテランシェフだという。
46年。
簡単に口にできる数字ではない。
毎日、食材と向き合い、火加減を見極め、お客さんに料理を提供し続けてきた時間。
その積み重ねが、目の前の一皿に表れている。
食材選びについても興味深い話を聞かせてもらった。
地元静岡産を中心にしながら、産地だけにこだわらず、旬や美味しさを優先して他県の食材も取り入れるという。
この日も藤枝産の椎茸、焼津産の茄子、湖西で育った「静岡そだち」、静岡県産のミルキークイーンが登場した。
ただ地元産だから使うのではない。
その時に美味しいものを選ぶ。
すべては、お客さんに美味しい料理を食べてもらうため。
料理人として、実に共感できる考え方だ。
食材を見る目。
絶妙な火入れ。
無駄のない手さばき。
そして、お客さんを楽しませる会話。
46年間で磨き上げられたのは、料理の技術だけではないのだろう。
技もトークも熟成された46年!
なるほど。
この店では、シェフ自身もご馳走なのだ。
【デザート|最後のひと口まで心地よく】


食事の締めくくりに運ばれてきたのは、抹茶アイスクリームとフルーツ。
甘さは控えめ。
黒毛和牛の余韻を邪魔することなく、口の中をさっぱりと整えてくれる。
そして最後にコーヒー。
すっきりとした飲み口で、食後にちょうどいい。
サラダから始まり、焼き野菜、海鮮やステーキ、デザート、コーヒーまで。
食べ終えてみると、コース全体のバランスが実にいい。
「もう少し食べたかったなぁ」
でもなく、
「あぁ、ちょっと食べ過ぎた」
でもない。
ちょうどいい満足感。
料理の最後まで計算されているような、心地よい食後だった。
【価格満足度|4,800円のランチに、それ以上の価値を感じた理由】
父の海鮮ランチは3,900円。
私の黒毛和牛ステーキランチは4,800円。
決して毎日気軽に食べられるランチ価格ではない。
でも、食事を終えてみると、不思議と高いとは感じなかった。
上質な食材。
目の前で仕上げられる料理。
46年の経験に裏打ちされた職人技。
心地よい接客。
落ち着いた空間。
そして、焼き上がるまでの時間さえ楽しませてくれるライブ感。
料理の味だけではなく、その時間すべてに価値がある。
そう考えると、4,800円という価格にも十分納得できる。
誕生日や記念日、大切な人との食事にも良さそうだ。
たまには、こんな贅沢もいい。
むしろ、こんな時間だからこそ味わえる満足感があるのだと思う。
【Micの評価】
雰囲気:★★★★☆ 4.0 / 5
接客サービス:★★★★☆ 4.0 / 5
料理:★★★★½ 4.5 / 5
価格満足度:★★★★½ 4.5 / 5
総合評価:4.3 / 5
※評価はMic個人の訪問時の感想です。総合評価は4項目の単純平均を小数第1位に四捨五入しています。
【Micのひとりごち】
店を出る頃には、入店前に感じていた敷居の高さなど、すっかり忘れていた。
思い返せば、今日のランチは美味しい料理だけではなかった。
鉄板から立ち上る香り。
シェフの見事な手さばき。
46年間の経験を感じさせる、何気ない会話。
そして、目の前には父。
年齢を重ねるにつれて、こうして親子でゆっくり食事をする時間も、以前とは少し違った意味を持つようになった。
特別な話をしたわけではない。
でも、美味しい料理を囲んで、何気ない会話を楽しむ。
それだけで十分だった。
料理は食べればなくなってしまう。
でも、その時の空気や会話、そして「美味しかったね」と笑い合った記憶は、いつまでも残る。
元料理人として、料理の技術や食材の質にはついつい目が向いてしまう。
けれど、食事の本当の価値は、それだけではないのかもしれない。
誰が作るのか。
どこで食べるのか。
そして、誰と食べるのか。
今日の4,800円は、黒毛和牛の代金だけではなかった。
父と過ごした、ちょっと特別な時間の代金でもあったのだと思う。
たまには、こんな贅沢もいい。
いや……
たまには、こんな時間こそ必要なのかもしれない。

行きたくなったら?
食べたくなったら?
食べちゃって、行っちゃって!
作る人も、食べる人も、一生懸命。
だって、食べることは生きることだから。
だからこそ、美味しいものを食べて、
今日も元気にいきましょう。
美味しいって、やっぱり幸せ。
今日も、いただきます!
【鉄板焼 花|店舗情報】
店名:鉄板焼 花
住所:静岡県藤枝市前島1-3-1 ホテルオーレ2F
電話:054-637-3663
営業時間:11:30〜14:00/17:00〜21:00
定休日:火曜日
駐車場:あり
アクセス:JR藤枝駅南口直結
※営業時間・定休日などは変更される場合があります。来店前に最新情報をご確認ください。
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