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【自己啓発ポエム】何もないなら

    「おいこれなんだ?」

    「はい課長。なんでしょうか?」
    僕は課長のデスクに、少しおどおどしながら向かう

    「お前に入力を任せた数値、異常値になってるんだけど、何か知らないか?」

    僕は首を横に傾ける。
    パソコンに映った数値の羅列を見る。
    よく見えなかったから黒縁メガネを上にずらし、何度も何度も頭から見直した。

    「申し訳ございません。これは私ではございません」

    すると課長が「お前、いつもいつもミスばっかりだろう。今回もそうなんじゃないのか?」

    僕は、心臓が鷲掴みにされたようにギュッとなった。

    「いや、僕じゃありません」
    首を横に振り続ける。
    途中からペコちゃんの首振り人形みたいになった

    「本当だな?お前を信じていいんだな?」
    課長が般若の形相になる

    (大丈夫…本当に僕じゃない…おどおどするな……)

    内に省みて疚からざれば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。

    自分の心のなかを全部ひっくり返してみても、 やましいことが何一つないならば、何も心配することはないし、おそれることもない。

    (顔淵第十二/283)

    引用:超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ/出版社:三笠書房/著者:田口佳史

    プルルルル〜
    突然課長のデスクの電話が鳴り響いた
    それを課長と僕がじっと眺める

    12回コールの後、課長は僕をチラリと見て受話器を取った

    「もしもし……あぁなるほど。わかった」

    課長が受話器を置いた

    「悪かったな。今システムの不具合で数値表示がおかしくなっているって連絡が入った」

    僕はホッと胸を撫で下ろした
    水玉のネクタイを少し真っ直ぐに直した

    「そうですか。よかったです。何もなくて」

    僕がデスクに戻ろうとした時、課長が言った。

    「なぁ、お詫びに昼ごはんでも奢るよ。どうだ?」

    僕は、課長のデスクへと振り返る

    「じゃあ、カレーうどんでお願い致します」
    僕は堂々と食べたいものを宣言し、自分のデスクへと戻った

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