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Photo bykinaco_kuromitsu

もしもそばかすに老子の『七分くらいが丁度いい』を加えたら?

    この度は、数ある中からご覧頂き、誠にありがとうございます。


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    ✅ 【七分くらいで満足するのがいい】

    持して之を盈すは其の己むに如かず。
    端えて之を鋭くすれば長く保つ可からず。
    金玉堂に満つれば之を能く守る莫し。(運夷第九)

    あと少しと欲張ると、人は不自由になる。七分くらいで満足するのがいい。

    引用:超訳 老子の言葉 「穏やかに」「したたかに」生きる極意 (知的生きかた文庫 た 66-2)/出版社:三笠書房/著者:田口 佳史

    【恐らくこうなる】

    我慢しなきゃ。
    我慢しなきゃ。
    けど、出来ない。

    つい欲張っちゃう。
    欲望のまま突っ走る。
    いつもそう。

    好きな男の子を前にした時も。
    目の前に焼き鳥が富士山のように盛られた時も。
    推しのグッズを10万円と突きつけられた時も。

    部屋の洗面台の鏡。
    私は、呆然としていた。
    肩より下にある赤い髪。
    愛嬌のある垂れ目。
    欲望と反比例するかのような小さな胸。

    そして、鼻には星のように散りばめられたそばかす。

    鼻に右手を当てて、軽く擦る。
    私の心は、おだやかではない。
    そばかすを消す化粧水を大量に塗りすぎて、鼻が赤くなったからだ。

    「まずい…明日デートなのに……」
    気合いを入れ過ぎて塗り過ぎてしまった。
    その代償は計り知れない。

    とりあえずリビングの椅子に腰掛けた。
    椅子を引くガタンという音が、やけに騒がしく聞こえた。
    iPhone16Proで、「鼻 赤い 治す方法」と調べてみた。

    ダメだ…
    やはり病院に行くしかない…
    それは無理。
    だって、30分後にデートの約束をしてるから。

    欲をかきすぎるからいつもこうなる。
    これじゃあ、死ぬまでお腹ぺこぺこ…

    とりあえず、パジャマから着替えることにした。
    お気に入りのクリーム色のワンピースに袖を通す。
    全身鏡で、一切の隙のない身なりに感心した。
    また鼻の赤みが気になりだした。
    これさえなければ、完璧なのに。

    街を歩く。
    人とすれ違う。
    その度に(クスクス)と笑い声が聞こえた。
    (みんな…私の鼻を見て笑ってるのかな…?)

    そんな被害妄想を続けながら、駅前のマックを通り、マツモトキヨシを左に曲がる。
    ビルケンシュトックの店舗を真っ直ぐ行ったところに、彼が立っていた。

    私は赤いヒールをカツカツと鳴らしながら小走りした。
    高いビルの間で、ヒールの音が反響する。

    「お待たせ。待った?」
    私が浩史に尋ねた。

    「ううん、今来たところ」
    浩史は、青いパーカーにブルージーンズ。
    そして、右手にはIQOSを持っていた。
    IQOSを充電器に戻し、左ポケットにしまうと、私の右手を握ってくれた。

    「あれ?鼻赤いけどどうしたの?」
    私は顔をふいっと背けた。
    adidasのショップ店員と目が合った。
    浩史に視線を戻す。

    「なんでもないの!ちょっとね…」
    私は恥ずかしくて視線を落とした。
    こういうちょっかいをされるの、好き。

    「可愛いよ。杏」

    「えっ?」

    「杏のそういうところ、好きだな」

    浩史の真顔が男らしかった。
    胸がドキドキする。

    「私は欲張りだし、あんまり可愛くないよ」

    浩史は私の顔をじっと見た後、赤くなった鼻にキスをした。

    鼻から唇を離し、浩史は私の目を真っ直ぐ見てこう言った。

    「そんなところも、可愛い」

    私の頬は、鼻よりも真っ赤になった。

    満ち足りていた。
    愛も、このそばかすも、今日のために選んだ洋服も。

    身の丈に合わない欲よりも今あるこの幸せを大切にしたい。

    私は、浩史の右手をギュッと握り締め、高層ビルが立ち並ぶ街中へと歩き始めた。


    🅿️欲は七分くらいで満足するのが丁度いいです。

    あんまり欲をかきすぎると、自分が自分でいられなくなります。

    生きていれば欲はそばかすのように散らばる。
    「七分くらいが丁度いい」
    この言葉こそ、満ち足りて生きる魔法の言葉。

    もしもそばかすに老子の『七分くらいが丁度いい』を加えたら、恐らくこうなる。

    参考文献
    ↓↓↓


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    Kindleデビュー作から3冊連続1位|note累計370万インプ。2025年12月作家とて独立。群像新人賞に挑戦。 ありのままの等身大で素直に実話を描いています。

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