
春、誰かのためにと思えた日、少しだけ強くなれる。
春の電車で、運転席に並ぶ数人の車掌さんの姿を見かけた。
ああ、春が来たんだなと思う。
きっと研修が始まったのだろう。
新しい世界に足を踏み入れた人たちの、少しの緊張と、少しの期待が混ざった空気が伝わってくる。
そんな季節の中で、この春社会人4年目になる娘は、ここ最近どこか元気がなかった。
けれど4月1日、新入社員の歓迎会に参加して帰ってきた彼女は、見違えるように明るかった。
「新人ちゃんを守らなきゃって思ったら、自分の存在価値を感じて、なんか元気になっちゃった」
そう笑う娘を見て、人は「誰かのために」と思えたとき、ふっと力が湧いてくるものなのだと気づかされる。
仕事に戻ることへの不安、うまくいかない日々、思うように動かない自分へのもどかしさ。
そんな揺らぎの中にいると、
どうしても「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い込んでしまう。
でも、焦らなくていい。
進む方向は、はっきり決まっていなくてもいい。
なんとなく「こっちかな」と思う方へ、小さく一歩を出してみればいい。
しんどいことや嫌だと感じることにも、ちゃんと目を向けていい。
助けてほしいときは、遠慮せずに声を上げていい。
もし、どうしてもうまくいかなくて、「自分は役に立てない」と感じてしまったとしても、それはあなたがダメなのではない。
ただ、その場所が合っていないだけ。
まだ使えていない力があるだけ。
一つの場所で育つのもいいし、違う場所で試すのもいい。
どんな経験も、きっとあとから自分を支えてくれる。
春は、つい頑張りすぎてしまう季節。
だからこそ、自分の心と体に目を向けてあげてほしい。
疲れたら休んでいいし、疲れやすい自分を責めなくていい。
自分とうまく付き合う方法を、少しずつ見つけていけばいい。
強い風が吹いても、桜は満開のまま咲いている。
散らずにいてくれて、もう少しだけこの景色を楽しませてくれることに、ふと感謝したくなる。
やがて桜は散る。
でもそのあとには、新しい緑の季節がちゃんとやってくる。
移りゆく時間の中で、自分なりの歩き方を見つけていけたら、それでいい。
大丈夫。きっと、大丈夫。
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