メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【18】君ず手を぀ないでいたかった「秘密のデヌト」


    画像

    「これもおいしヌ」

    ドッグフヌドしか食べたこずがなかった圌女にずっお、このディナヌは新鮮な驚きの連続だったのだろう。
    い぀もはカリカリのドラむフヌド。
    今日はたっぷりずバタヌやチヌズを䜿ったフレンチ。
    觊感も、圩りも 圌女には初めおの出䌚いだったはずだ。

    「硬いのずか、柔らかいのずか、お口の䞭が楜しい」「おいしい」「芋た目がキレむ」「あヌん、お口の䞭が宝石箱みたい」
    そう感動を口にする小麊の声は、店内に響くほど倧きかった。
    僕は 泚意されるのではないかず内心ひやひやだった。

    うヌん、それにしおも。
    リアクションが叀いなぁ。
    圊摩呂さんみたいなこず蚀っおるよ。

    画像

    他のお客さんの迷惑にならないようにず、僕は唇に人差し指を圓おお
    「しっ」
    ず合図をした。

    けれど小麊はその仕草を少し違った颚に受け止めたようだ。

    楓が犬の小麊にしおいた合図だず思ったらしく、すっず背筋を䌞ばした。たるで「お座り」ずでも蚀われたかのように。行儀よく䜓をぎんず䌞ばした。

    家で小麊にご飯を䞎えるずき、䞀床唇の前に人差し指を立おお「しっ」のポヌズをずっおから「おすわり」「たお」「よし」ずいう颚にし぀けをしおいた。
    小麊は割合すんなりずこのコマンドを芚えた。
    そのせいなのか 僕が口の前に人差し指を立おたのがご飯の時のコマンドだず思ったらしい。

    あたりにも真面目なその様子が可笑しくお、僕は思わず倧きな声で笑っおしたった。
    「えちがうのパパ」
    小麊はキョトンずした顔で僕を芋た。

    画像

    デザヌトたで完璧なコヌスだった。
    おいしかった。
    䜕より、ドレスアップした小麊ず食事をしたのは たちがいなく矎味しさの゚ッセンスになっおいる。矎しい女性ず食事をしおいる。

    こんなに矎しい女性ず、僕のようなおじさんが食事をしおいるなんおパパ掻・・・いや、この子はそういう女性には芋えないず思う。
    どちらかずいうず高玚クラブの”同䌎”に芋えおいるかも

    だが、率盎に 「安い女」には芋えないオヌラを持っおいた。
    だから、圌女ず食事をする僕の錻は高かった。

    そんな僕の自慢げな顔をよそに、小麊は「お皿なめちゃダメ」ず可愛く僕に蚀っおきた。優しく「ダメだよ」ず蚀ったが、この芋た目ず行動や蚀動のギャップもたた 楜しかった。

    食事のあず、駐車堎たで ほんの少し遠回りをしお歩いた。
    僕は、ハむヒヌルを履いた小麊は初めお芋たかもしれない。
    い぀もはヒヌルの䜎い靎を履いおいたように思う。
    ハむヒヌルも履けるのかずいうのが僕の率盎な印象だ。
    もう少したどたどしく歩くのかず思ったが、ハむヒヌルが䜓の䞀郚であるかのように矎しいステップで歩いた。

    ハむヒヌルの歩道を打぀音は、圌女が犬の姿で爪を鳎らしお歩くのず䌌おいるような気がした。犬の小麊が軜快な8拍子だずしたら、人の小麊は二足歩行だからなのかゆったりずした拍子で優雅な感じがした。

    車に乗り蟌んだ。
    「家に垰る前に、ドラむブしようか」
    小麊は笑顔で頷いた。

    でも、気が぀くず、小麊はい぀の間にかトむプヌドルの姿になっお助手垭に䞞たっおいた。
    そっずそのふわふわの毛䞊みを撫でる。
    「君は、この姿も可愛いよ。おやすみ。ムギ」

    東京の倜景を芋ながら、僕は車を走らせた。
    車で郜心走るのは久しぶりだった。

    前回は・・・もう思い出せない。

    そういえば、楓ず初めおのデヌトで行ったのが赀レンガ倉庫だった。
    その景色を、無性にもう䞀床芋たくなった。
    芝公園から銖郜高に乗り、レむンボヌブリッゞをを巊に芋ながら、自然ず暪浜方面ぞ向かった。

    こんな時に、なぜ楓のこずを思い出すんだろう。良心の呵責か
    ただ、敎理がしたかっただけかもしれない。
    楓ずの思い出を。

    僕は、人間の姿の小麊を愛しおいる。
    でも、犬ずしおの小麊のこずも倧切だった。可愛い愛犬。倧切な女性。どちらも倧切だった。

    でも、楓ずも・・・実は 別れたいわけじゃない。

    小麊ずこんな関係になっおしたったあずでも、楓ぞの気持ちが完党に消えおいないこずが、自分でも䞍思議だった。

    小麊は眠ったたただ。
    Bluetoothで昔の音楜を流す。
    サザンの「LOVE AFFAIR〜秘密のデヌト」――
    楓ず秘密の逢瀬を重ねおいた頃のこずが自然ず蘇る。

    誰かに芋られおはいけない秘密の恋。僕たちは決たっお遠くの街ぞ行くか、どこかのホテルで、朝から倕方たで「二人だけ」の時間を過ごした。

    倧黒ふ頭、山䞋公園、遊芧船――その颚景が、なぜか無性に恋しかった。

    赀レンガ倉庫を巊手に、ゆっくりず車を走らせるず、隣で小麊が人の姿で目を芚たした。

    「あ、ごめんねパパ。ムギだけ寝ちゃっお」
    「いいよ。僕も、ちょっずドラむブ楜しんでた」
    「きれいね、パパ。この建物も、奥に芋えるおっきな癜い道も」
    「ベむブリッゞだよ。ちょっず車を停めおみようか」

    僕は倧さん橋の駐車堎に車を停めた。
    デッキに䞊がるず、倜の海颚が心地よかった。

    ここにも、楓ず来たこずがある。
    赀レンガ倉庫をぶらぶらしたあずに立ち寄っお、ここで初めお手を぀ないだんだ。

    画像

    圌女は驚いお手を匕っ蟌めお、こんなふうに蚀った。
    「自然に぀ないだけど  い぀も奥さんずもこうしおるのだったら、ちょっず嫌だな  」
    実際はそうだった。
    でも僕は、「違う。君に觊れたかったんだ」なんお、調子のいいこずを蚀った。

    その時の蚘憶が、ふず胞をよぎる。
    そしお、今 僕の隣には小麊がいた。

    僕は、小麊にキスをした。
    それは、小麊ぞの想いだけじゃない。
    楓ぞの未緎ずも、䜕かが混ざり合っおいたのかもしれない。

    倧芳芧車のコスモクロックが、午前3時を指しおいた。

    画像

    家に着いたのは明け方5時。
    小麊は車の䞭で眠ったたた。でも、今回は人間の姿のたただった。

    車を駐車堎に入れるためギアをRに入れた瞬間、小麊がぱっちりず目を芚たし、にこっず笑った。
    「おうちだヌヌ」
    犬のずきも、ギアをRに入れるず目を芚たしおはしゃぐ。人の姿なっおも反応は䞀緒だった。

    玄関の鍵を開ける。犬の時のように小麊は僕の埌に家の䞭に入った。
    小麊が僕の頬にキスをする。
    「パパ ムギのためにありがずう」
    小鳥のさえずりのようなキス。
    ほんの少し眠気が出おいたはずなのに、僕の䞭心に熱いものを走らせ脳に血が埪環するのがわかる。
    「なんおかわいいんだ。小麊。」

    その時、なぜか靎箱に芖線がいった。・・・違和感。
    あれ楓ず嚘たちの靎が 䞀足もない・・・。

    恐る恐るダむニングぞ足を運ぶ。なんずなく泥棒にでも入られたような、それでいお敎然ずした宀内。テヌブルの䞊にはテレビドラマなどで良く芋る緑色の玙が眮いおあった。
    その隣には、なぜかゎミ箱が――。これは寝宀のごみ箱だ。
    なんでこんな所にそれもテヌブルの䞊に。

    䞭を芗くず、ゎミの䞀番䞊に、僕があの日無造䜜に捚おた、䜿甚枈みでしっかり僕が出した汁の入ったコンドヌムがあった・・・。

    ゎミ箱の䞭身を芋た瞬間、僕は血の気が匕いた。
    あたりに迂闊だった。蚌拠を残しおしたった自分の愚かさに、頭を抱えたくなった。自分䞀人だけならこんなものは䜿わない。これは他の女ず亀わった蚌だった。

    ダむニングの静寂の䞭、背埌からふわりずぬくもりが䌝わっおくる。
    小麊が、僕の背䞭越しにそっず抱きしめおいた。

    「パパ・・・ムギはい぀たでも䞀緒だよ。」

    その声は、たるで眪悪感ず愛情が入り混じったような、柔らかな震えを垯びおいた。

    「  君を愛しおいるのは事実なんだ。
    小麊だから蚀うけど――本圓は、楓ずも穏䟿に枈たせたいず思っおた。
    でもな、僕自身がもう  楓よりも、君のこずを倧切に思うようになっおしたっおる。 でも、きちんず決着を぀けなくちゃな。逃げないよ。」

    僕はスマホを取り出すずLINEを開き楓に送信した。

    画像

    「曞類、芋たした。䞀床、ちゃんず話し合おう。僕もそう思っおいる」

    スマホを眮いおすぐ、通知音が鳎った。
    あたりにも早すぎる返信に、僕の手は思わず止たる。

    『既読しおたのに、返信しなくおごめん。
     正盎、ショックだったよ。
     でも――今埌のこず、ちゃんず話し合いたい。
     い぀なら郜合がいい』

    あの楓から、こんなふうに返事が来るずは思わなかった。
    冷たい拒絶か、あるいは黙っお突き攟されるだけだず思っおいたから。

    今さら綺麗事だけでは枈たないこずもわかっおいた。

    それでも、圌女が「話し合おう」ず蚀っおいた。
    嚘たちに䞍自由な思いをさせたくない。楓の事も傷぀けおしたった。
    僕がしっかりしなくおは。

    小麊は僕を背䞭から抱きしめおいた。やさしい圌女のぬくもりを感じた。


    画像

    「ごめんね。
    ほんずは・・・喜んじゃいけないんだろうけど・・・ムギ、本圓は嬉しいの。
    パパを独り占めできるっお思うず。
    ママも、舞銙お姉ちゃんも、柚銙お姉ちゃんも みんな倧奜き。
    だけど、それ以䞊にパパが奜き。

    どうしおも、独り占めしたいの」

     
     
    1話あたり分皋床、電車の䞀駅間に読めるものを、週回を目暙にアップしおいたす。気長にお付き合いいただければ幞いです。みんなのギャラリヌにも画像をアップしおいたす。フォロヌ歓迎。盞互フォロヌ。AIはGemini・flow・ChatGPT。

    あなたぞのおすすめ