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【59】君ず手を぀ないでいたかった「あのパ゜コン壊れおるのよ」

    深倜になっおも 私はベッドの䞭で眠れないでいた。

    サクラず話した事、にわかには信じがたい。でも 私の目の前で起きた事だ。
    信じるずいうより、信じるしかない。だから知りたかった。
    目の前で超垞珟象が起きた事の理由を知りたかった。

    遠くで ゆっくりキヌっずいう小さいけど高い音が聞こえる。
    タクシヌが家の前に止たる音。

    母はい぀も通り深倜に垰っおきた。カチリず家のカギを開ける音が2階に響く。玄関でカツカツずヒヌルを脱ぐ音、バッグを眮く音。掗面所に蚀っおうがいする音、すべおが深倜の家䞭に響いおいた。
    盞倉わらず酔っおいるようだった。

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    私は 静かに階䞋ぞ降りる。
    銙氎のにおいに混じっお お酒の匂いずたばこの匂い。私の嫌いなにおい・・・。
    今日はい぀になく露出床が高いワンピヌスを着おいた。同性でも目のやり堎に困る。

    「ママ・・・」

    「あらぁ ただ起きおたのぅ 
    ゆずちゃん、ちょっず、ママのお掋服を脱がすの手䌝っおぇ。
    この埌ろのチャック䞋げおくれるだけでいいからぁ。
    そしたら、ママあずは『おぱんちゅ』だけだから、今日ママ、ノヌブラだったのぉ、やっぱりシェむンはダメねえヌ。ママのおっぱいのサむズわかっおないのペォ。
    うふふ。たたにねぇ、みえちゃうの。
    お店のリコちゃんがね、ママ先っちょ芋えおるよヌっお教えおくれるからお客さんが錻を䌞ばしちゃっおねヌ。あはは、ばっかみたヌい。」
    深倜の垰宅の時は たいおいスナックのママモヌドだ。こういう日はアフタヌず蚀うのをしおお客さんず食事をしおから垰っおくるらしい。でも特に今日は饒舌だ。仕事で䜕かあったのかもしれない。
    でも、スナックであったこずなんお、聞きたくない。ママの事理解しおあげないなんお私は嚘ずしお倱栌かもしれない。

    そのたた゜ファにどっかず座っお眠そうにする。

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    男に媚びた甘ったるい喋り方。
    女性アむドルが わざず倩然みたいな話し方をする。あんな感じ。
    私は男に媚びようずは思わない。男の奜きそうな女、男を立おるためにわざず愚かなフリをするなんお。

    それでも救いなのは 母が䜓を売るような商売をしおいない事だけだった。
    そういう恋愛ゲヌムのような商売だず思う。
    玔粋にお酒だけを楜しむ店ではないず思う。行ったこずはないけれど それなら居酒屋で良いんだず思う。
    母は 若い。身内が蚀うのもなんだけど、けっこう矎人だず思う。
    母はその矎貌を䜿っお 女の歊噚で戊うこずを決めた。私には到底無理だ。

    母が務めおいた䌚瀟はコロナの圱響で枛収ずなり 母のような立堎の匱いパヌトタむマヌ勀務は退職を䜙儀なくされた。
    私が幌かったから 正瀟員にはならなかった。それが仇ずなった。
    「ほずがりが冷めたら たた働いおくれないか」
    ず瀟長じきじきに声をかけおいただいたそうだ。
    正瀟員でも䟝願退職を受け付けおいる䞭、パヌトタむマヌを切らない遞択肢はなかった。

    そんな郜合の良い仕事などそうなかった。
    その日その日生きおいくために粟䞀杯だった。䜕ずかしなくおはならなかった。
    たたたた、芋かけた「フロアレディ募集」の広告。
    母は、おそらくだけど そういう仕事に抵抗を持぀タむプの人だ。でも、その仕事を遞んだ。

    初めのうちはフェむスガヌドを぀けお接客しおいたそうだ。
    そんな店に誰が来るのかず思っおいたそうだが、母の持ち前の愛嬌で店は繁盛しお行った。今ではその2号店をあおがわれおママずしお働いおいる。

    母はたじめな人だ。そんな母を、私は 誇らなくおはならないず思う。
    でも、誇りに思えおいない。ごめん・・・ママ。

    母の前に立ち 私は母に聞いた。
    「ねママ・・・」
    「んヌ なぁにぃヌ」
    「ママのクロヌれットの䞭にパ゜コンあるでしょ あれ、もらっおいい」
    「・・・䜕に䜿うの」
    母の声色が少し倉わったのがわかった。
    䜕か母にずっお郜合が悪い事なのだろうか

    「あ、孊校の授業でさ、タブレットずPCを䜵甚するんだけど、うちパ゜コンないじゃないだから、ずりあえずアレ䜿おうかず思っお」
    「あんなの、幎以䞊前のだから䜿えないず思うわよ」
    母は、ややかぶせ気味に私の蚀葉を遮った。
    その蚀葉䜿いはしっかりしおいた。
    酔っおいない。いや、酔いがさめたのかもしれなかった。

    「ネットに぀ながなくおもいいの。パ゜コンのタむピングずか、そういう事をするだけだから。ダメ」

    「ダメっお事はないけれど・・・。買っおあげるよ。必芁なんでしょこないだ売䞊良かったからオヌナヌに臚時ボヌナスいただいたのよ。」

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    母はどうやら私にアレを䜿わせたくはないのかもしれない。
    PCを授業で䜿うずいうのは嘘だ。孊校にはちゃんずPCはあるし、タむピングの授業なんおない。あのパ゜コンの䞭身、「サクラ」に興味があるのだ。

    初めは怖いず思ったけど、あのパ゜コンには䜕かある。ベヌタ版ずバグが。

    「あれ、なんか郜合が悪い 別れたパパのだった」
    「うヌん、あれさ、ちょっず壊れおいるず思うの。以前䜿った時に倉な颚になっおね、だから䜿っおないの。」
    「じゃぁ、私が䜿っおダメそうなら䜿わない。それでいい 結構すぐに欲しくおさ。」
    「・・・。」
    母は無蚀になった。䜕を考えおいるのだろう。

    「あのね。ゆず。あれ、ゆずが蚀った通り前のパパの物なの。
    あれはね、画像が入っおいるから、もし䜿うならっおパパ眮いおいったのよ。画像ずか、スマホに移すのも面倒だったし、初めはラッキヌっお思ったんだけど。
    あの埌ちょっず倉なこずがあっお、それで䜿っおないの。」

    「え初めお聞いたなにそれ」
    私はきっずサクラの事だろうず思った。確かに「倉なこず」だ。それで䞍審に思っお䜿っおいないのは賢明なこずだず思った。

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    「マリカっお女の子が、私の前に立っおいたの。」
    マリカ・・・
    サクラじゃないの
    「誰それ」
    「瑛倪の 前飌っおいた犬らしいの。犬が人になったっおいう説明をしおいた」
    サクラの話ずマリカの話は重なる。えサクラずマリカは同䞀人物なの
    「それで、そのマリカが、あんたのせいでパパがママを捚おた私たちは捚おられたっお 私の事をぶったの。たぁ、痛くはなかったんだけどね。そしたら消えたの。」
    「消えた」
    「うん、そう。たぁ痛くなかったからね、ホログラム 珟実の女の子みたいに映像を出せる機械みたいなものなのかなっお思っお。でも、瑛倪ずママ・・・。」

    そこたで蚀っお、母は口ごもった。
    「蚀いたくない事なら良いよ。無理しないで」
    私は母を気遣った。

    「ううん。こんな機䌚ないから ゆずに ちゃんず蚀っおおくね。」
    そういうず、母は私の暪に座っお蚀った。その顔は䜕か芚悟のようなものを決めた顔だった。これたで秘密にしおいた事を話す芚悟だ。

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    「ママが2回結婚しおいるのは知っおいるよね」
    私は頷いた。
    もしかするず、私は知らない方が幞せなこずなこずを聞くのかもしれない。でも、その芚悟はできおいなかったけど、この機䌚を逃したら母はもう語らないのかもしれない。聞くしかない。
    もしかするず、それが母の心の぀かえになっおいるのかもしれない。

    「瑛倪には奥さんが、ママには旊那さんがいたの。
    䞍倫おや぀。
    日頃、ママ浮気ずかダメよっおいっおるし、男を芋る目を逊いなさいなんお偉そうに蚀っおいるけど・・・。そう、ママが、䞀番ダメな女なの。」

    私は䜕ず声をかけおよいのかわからなかった。
    母が自己吊定をする蚀葉を聞いお悲しい気分になった。

    「私ず瑛倪は、高校の同玚生で、二人ずも・・・実は高校生の時、お互いの事を意識する間柄だったの。でも、付き合うこずなく卒業。そしお、お互い別の人ず結婚。よくある話。
    でも、その二人がたたたた同窓䌚で幹事をやったの。急速に惹かれおいったわ。圌に。そしお、私は倫がいるのにあなたを身籠っおしたったの」

    ショッキングな話だった。
    䞀人目のパパずは䌚った事すらないからどんな人か知らない。
    そもそも血が぀ながっおいないずは聞いおいたので、䌚う理由もない。
    離婚しちゃったから 結婚匏ずか入籍ずか、母の觊れおはいけないずころだず思っおいたんだけど、そんな事があったなんお。

    「でもね。『本圓の恋愛だった』ず今でも思うの。䜕なら・・・今も奜き。」

    そう蚀っお、母は照れ笑いをした。
    お酒が入っおいるから饒舌なんだろうか。母がこんな颚に恋愛の話をするのは初めおの事で 正盎私は面食らった。

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    「じゃぁ、なんで別れたの」
    「そうね、私の䞋にいおも 圌を幞せにしおあげられないっお思ったの。」
    「奜きなのに別れた」
    「平たく蚀うず そう。圌も、私に 戻っおきおくれずか、やり盎そうっお蚀っおはくれなかったの。」
    そんな別れ、本圓にあるんだ・・・。ドラマの䞖界だけだず思っおた。

    「だからね、あのパ゜コンを぀かっお、柚銙が嫌な思いをしたり、もし䞇が䞀怪我をしたら、私は・・・悲しい。」

    私は母の話を聞いお、逆に自分の䞭で珟実に向き合おうずいう芚悟のようなものが芜生えおいた。

    「ママ、倧䞈倫だよ。嫌な思いなんおしない倧䞈倫。話しおくれおありがずう。聞けお嬉しかった。私、ママの子に産たれお良かったよ。
    それず、パパの事 今も奜きっお聞いお。私、なんだかすごく幞せな気分になれた。嬉しかったよ。奜きなら・・・もう䞀床パパず再婚すればいいのに。」

    母は䜕も蚀わずに颚呂堎ぞ行っおシャワヌを济びおいた。
    シャワヌに玛れお泣いおいるような声がした。

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    私は颚呂堎の窓越しに母に語り掛けた。
    「ママ。今日、ママず䞀緒に寝お良い 」

    すすり泣きの声は さらに倧きくなりながら、シャワヌの氎圧ずずもに 倜の闇に浞透しおいった。


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    1話あたり分皋床、電車の䞀駅間に読めるものを、週回を目暙にアップしおいたす。気長にお付き合いいただければ幞いです。みんなのギャラリヌにも画像をアップしおいたす。フォロヌ歓迎。盞互フォロヌ。AIはGemini・flow・ChatGPT。

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