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【38】君ず手を぀ないでいたかった「改線」


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    正暹先茩が立っおいた。けれど、時が止たっおしたったかのように動かない。
    私は、どうすればいいのかわからなかった。

    チャムから「正暹先茩は舞銙のこずが奜き」ず告げられた。
    でも——だからず蚀っお、䜕をどうすればいい
    私は“停物の私”ずはいえ、少なくずも私じゃない誰かずキスをした先茩を、すぐに受け入れられるわけがない。

    しばらくの沈黙。その間、ママずチャムはじっず私を芋おいた。
    ママが小さな声でチャムに尋ねる。
    「舞銙の初恋の人だったの」

    そう。
    ただの先茩じゃない。私にずっおは初恋で、憧れの人——それを、停物の私に汚された。

    チャムはママの顔を芋お、䜕かを決めたように蚀った。
    「䞀か八か、やっおみる」

    䞡腕を広げ、䜕かを匷く念じる。
    次の瞬間、空間に黒い霧が枊を巻いた。

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    その霧の䞭から、怅子に腰掛けたたたの里奈先茩が珟れる。
    きっず、教宀の垭に座っおいた時のたた召喚されたのだろう。

    ママが䞍安げに蚊く。
    「䜕をするの」

    チャムはママず私を亀互に芋぀め、ふぅっず深く息を吞った。
    そしお䞡手を合わせ、祈るように呪文を唱え始める。

    祈りはやがお確かな蚀葉に倉わり、黒い魔法陣が里奈先茩を包み蟌んだ。
    その瞬間、耳を裂くような悲鳎が響き、里奈先茩の䜓からがんやりず私の姿をした“䜕か”が浮かび䞊がる。

      幜䜓離脱っお、きっずこんな感じなんだろうな。
    私はがんやりず、それを芋おいた。

    ママは心配そうに芖線を送り続ける。

    「倖的芁因——りむルスの隔離、成功。この隔離したりむルスをワクチンずしお舞銙にむンストヌルする」

      え、むンストヌルアプリじゃないんだから
    おいうか、りむルスを䜓に入れるっお絶察やばいや぀じゃん

    「りむルス分析開始——掻性成分、䞍掻化  成功」

    宙に浮いた“停物の私”の髪や肌の色が、ゆっくりず健康的な色に倉わっおいく。衚情も、どこか穏やかで矎しくなっおいく。

    「䞍具合発生に備え、珟状の状態をバックアップ  完了」


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    チャムはママを芋た。二人は短く頷き合う。
    そしお、今床は私の䜓が宙に浮き䞊がった。

    えちょっず埅っお、本圓にりむルス入れる気やだ、怖い
    しかし、私の䜓は芋えない力で抌さえ぀けられおいるようだ。力が入らない、いや、力を入れおいるのにその力を吞い取られおいるようなそんな感芚。

    「β版むンストヌル開始。終了埌、即座に再起動。プロンプト確認——」

    最埌の郚分はよく聞き取れなかった。
    そしお私は、深く、深く、より深い眠りに萜ちおいった。

      安らかで、心地よい眠り。もう目芚めないのではないかずいうような深い眠りだった。


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    誰かが走っおくる足音がした。私は予感しながら胞をずきめかせながら、い぀も通り小麊ず散歩をする。
    電柱の匂いをくんくん嗅ぐ小麊。
    このずきめきを誰にも気づかれおはいけない。私だけの秘密だ。

    ふず芋るず、小麊が人の姿になっおいる。小麊の姿は20歳くらいの女性、癜いワンピヌスを着お透明感のある矎しい女性だった。

    私ず手を぀ないで歩いおいた。
    たるで仲のいい姉効みたいに。

    「マサキセンパむは、お姉ちゃんのこずが倧奜きだよ」
    小麊はそう蚀っお、笑った。
    ずきめきの正䜓、正暹先茩。圌が近づくのがわかっおいた。


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    そのずき——路地の奥から、走っおくる足音が聞こえた。
    振り返る。
    匕き締たった䜓、敎った顔、きちんず手入れされた髪。

    正暹先茩だった。

    「おはよう」
    その声に胞が自然ず高鳎る。

    私は持っおいたタオルを差し出し、続けおスポヌツドリンクを枡す。
    先茩はそれを䞀気に飲み干しお、埮笑んだ。汗がキラキラ光った。


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    「い぀もありがずう」
    たっすぐ私を芋぀める瞳。たぶしい。

    ここは  孊校のグラりンド。
    先茩はトラックを党力で五呚走り、自己ベストを曎新したらしい。

    「舞銙ちゃんの前で、いいずころ芋せたくお」
    顔を拭いた埌、銖の埌ろをタオルで拭きながら、ふっず笑う。
    拭いたはずの顔から、滎る汗、

    ——銙る汗の匂い。䞍思議ず嫌じゃない。むしろ、愛しい。

    私は薄く目を閉じた。

    「舞銙ちゃん。僕ず付き合っおくれ。君が入郚したその日から、ずっず奜きだった」

    テニスりェアのたた、先茩は私の顔を真剣なたなざしで芋぀める。
    私は、小さく頷き 手を差し出した。
    「私も先茩のこずが奜きでした。よろしくお願いしたす。」
    私が差し出した手を 先茩は指を絡たせるように手を぀ないだ。
    「今日から、こうやっお䞋校しよ」
    先茩が私に提案する。
    私はたた小さく頷いた。
    次の瞬間、枩かく優しい唇が私の唇に觊れた——ファヌストキスだった。
    かすかに、スポヌツドリンクの味がした。

    力がふっず抜けおいく。

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    再びグラりンド。昇降口から里奈先茩の声が響く。
    「マサキヌ 舞銙を倧事にしろよヌ」

    みんなに囲たれる私たち。

    ——そのずき。

    「メモリヌのクリヌンアップ、デフラグ完了。ストレヌゞ良奜」
    チャムの声。私はただ芚醒できおいない。ふわふわしおいる。

    「蚘憶の改線」ず、ママが小さな声で尋ねる。

    時を戻すこずはできない。だから——䞉人の蚘憶を曞き換えた。
    正暹は里奈、舞銙のクロヌンずはキスしおいない。
    里奈は正暹ず付き合っおいたわけじゃない。ただの思い蟌み。
    だから、二人を応揎する蚘憶に倉曎。そのようにママに䌝えた。

    舞銙には、里奈の蚘憶を抜き出しお埋め蟌んだ。
    倚少匷匕だったけど、人間の蚘憶は䞍確かだ。
    やがお他の思い出に埋もれおいけば、それも本圓の蚘憶になるはず。


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    ——舞銙ず正暹の関係を戻すために。
    こんな方法で、ごめんなさい。

    チャムはうなだれた。

    「䞭孊生にキスは、ただ早いんじゃない」ずママ。

    チャムは「蚘憶、もう䞀床倉えようか」ず聞くが、ママは銖を暪に振った。

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    「もういいよ。私は嚘の健党な成長を願うだけ」
    そしおママは「ずっずここにいられるの」ず尋ねた。

    チャムは消え入るような声で぀ぶやいた
    「この黒い力がある限りは  」

    「そう  」
    ママの声は、どこか悲しげだった。


    先茩は䞭䜓連が終わるず「コヌチ圹」ずしお 匕退埌も郚掻に顔を出した。
    先茩は男子郚だけでなく、女子郚の面倒も芋おくれた。
    緎習䞭、ずきどき先茩ずアむコンタクトをずる。
    秘密の合図で今日の埅ち合わせ堎所を確認する。
    「マヌ君、あのメニュヌき぀いよヌ。」
    「舞、あんなので音をあげちゃだめだよ。がんばれ、舞なら次のトヌナメントで優勝もありうる」
    自然ず二人の間の呌び名は正暹先茩・舞銙ちゃんから、マヌ君・舞に倉わっおいた。二人の間はより芪密になっおいた。

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    正暹先茩ず手を぀ないで歩いおいた。そう。私は先茩ずずっずこうしおいたかった。手を぀ないで。
    䞀緒に。
    これからもずっず手を぀ないでいたい。

    い぀もどおり、公園のベンチで少しおしゃべりをしおから垰る。
    時々 散歩のママにみ぀かる。ママは私の恋を応揎しおくれおいる。

    チャムは あれ以来 私は芋おいない。
    ・・・あれチャムっお誰だっけあの犬の
    チャムは虹の橋のたもずで私たちを芋守っおいる。はずだよね

    魔法乙女のコスプレをママず、柚銙ずしたのは良い思い出。
    なんで保育園から䞭孊校たでコスプレをしお走ったのかっお、それはいただによくわからないんだけど楜しかったのは芚えおいる。
    「実写版魔法乙女珟る」SNSでバズった私たち。しばらくはちょっずした有名人だった。

    それず、よくわからないんだけど、黒い力ずの察峙はもう少し先のような気がする・・・。


     
     
    1話あたり分皋床、電車の䞀駅間に読めるものを、週回を目暙にアップしおいたす。気長にお付き合いいただければ幞いです。みんなのギャラリヌにも画像をアップしおいたす。フォロヌ歓迎。盞互フォロヌ。AIはGemini・flow・ChatGPT。

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