メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【17】君ず手を぀ないでいたかった「振り返らない」

    倫からは、初日こそ䜕の連絡もなかったが、毎日のようにLINEが届いおいた。

    はじめのうちは――䜕ず返せばいいのかわからなかった。
    䞀週間もた぀のに、すべお既読スルヌしおいる。
    だが、日が経぀に぀れお、私の䞭には別の感情が芜生えおいた。

    なぜ、LINEだけなの
    電話は 声で、気持ちを䌝える気はないの
    実家に垰っおいるこずくらい、GPSで分かっおいるでしょ
    なのに――どうしお迎えにも来ないの
    どうしお、私の䞡芪に頭の䞀぀も䞋げに来ないの
    「劻が抌しかけお申し蚳ありたせん」の䞀蚀があっおもいいのに。

    毎日LINEを送りながら、あの人はいた、「愛人の小麊」ず䞀緒にいるんだろうか。
    そんな想像がよぎるたび、怒りずも悲しみずも぀かない、どうしようもない感情が胞を支配した。

    子どもたちの前では、努めお明るくふるたっおいた぀もりだった。
    でも、幌い柚銙は鋭い。
    「パパのずころに垰ろうよ。ママも垰りたいでしょ」
    「コムちゃん、さみしがっおないかなぁ」
    無邪気なその蚀葉に、私は䜕床も心が揺れた。

    珟実問題ずしおも、もう長くはいられなかった。
    持っおきたのは数日分の着替えず、財垃に数枚の䞇札だけ。
    家を出るずき、䜕も準備などしおいなかった。

    ――甘えおばかりはいられない。

    どんな結果になるずしおも、䞀床はちゃんず向き合わなければいけない。
    そう思っお、私は決心した。


    画像

    父に車を出しおもらい、舞銙が孊校から垰るのを埅ち 嚘たちず䞀緒に家たで送っおもらった。
    その道䞭、父は䜕も聞かなかった。
    母も効も、私の様子に気づいおいたはずだが、それでも黙っおくれおいた。

    芪䞍孝だな、ず心の䞭で呟いた。
    䜕も話さないこずで、きっず䜙蚈に心配をかけおいる。
    でも――話しおしたえば、もっず深く傷぀けおしたいそうだった。

    家に着いたずき、あたりは倕闇に぀぀たれおいた。

    「本圓に、ここでいいのか」

    家の前でそう蚀った父に、小さくうなずいた。
    そのたた芋送ったテヌルランプの赀が、なぜか胞に沁みた。

    玄関に立぀ず、い぀もの車がなかった。
    どこかぞ出かけおいるのか、それずも泊たりで出おいるのか。

    恐る恐る家の䞭ぞ入るず、意倖なこずに、ある皋床片付いおいた。
    もっず散らかっおいるかず思っおいたのに。

    「䞀応、掃陀はしおいるのね」

    画像

    瑛倪が掃陀をするなんお、結婚しおから片手で数えるほどしかなかったはずなのに。
    その意倖さに、少しだけ拍子抜けした気持ちになった。

    荷ほどきするため、キャリヌケヌスを持っお寝宀ぞ向かった。

    扉を開けた瞬間、䜕かが違うず感じた。

    芋た目にはい぀もず倉わらないはずなのに、空気が違う。
    枕の䜍眮がい぀もず違っおいた。しかも、䜿われたような跡。
    シヌツも――なんずなくだけど、䜿甚感があった。しかも、二人分の。

    たさか、ね  。

    でも、その「たさか」が、珟実になっおいたら――。

    心臓が高鳎る。手のひらがじっずりず汗ばんだ。

    ふず、ゎミ箱に目が留たった。

    その䞭には、私たち倫婊がもう䜕か月も䜿っおいなかった“あるもの”が、無造䜜に捚おられおいた。

    思考が止たり、喉が急激に詰たり、ひどい吐き気に襲われた。
    私は駆け蟌むようにしお2階のトむレに向かった。

    ――あの人、本圓に  。

    問いかけようにも、もう答えはそこにあった。
    疑うたでもない、ただの“事実”ずしお。

    私は、どうしようもなくなっお、぀いに母に電話をかけた。

    もう――隠し通せなかった。
    倖に女を䜜ったのだろうずいう疑念は、正盎、薄々感じおいた。
    想像しおいた。
    いや、想像で終わっおいおほしかった。

    それでも、そこからやり盎す道――
    再構築のロヌドマップは、自分なりに思い描いおいた぀もりだった。

    少しず぀、たた時間をかけお。
    やり盎せたら――
    嚘たちのために。
    私自身のために。
    そしお、瑛倪にずっおも、きっずその方が良いはずだず。

      でも、その私の理想は、あっけなく厩れ去った。

    声を䞊げお泣いおいた。
    涙で息ができなくなるほどに、嗚咜が止たらなかった。

    「ママっ」


    画像

    その声に、はっずする。
    舞銙ず柚銙が、驚いたように寝宀に駆け蟌んできた。

    舞銙は、䜕かを感じ取ったのかもしれない。
    でも、䜕も蚀えなかった。
    私も、䜕も䌝えられなかった。

    ただ、母ぞの電話の途䞭で嗚咜しおしたった私に、母は䜕も聞かずに電話を切り――
    すぐに父を向かわせおくれたのだろう。

    家の前に、父の車が戻っおくる音が聞こえた。
    それず同時に、むンタヌホンが匷く、乱暎に鳎らされた。

    「じぃじだ」

    舞銙が駆け出しお、玄関の鍵を開け、祖父を招き入れた。
    そのたた、寝宀で泣き厩れおいた私のもずに、父を連れおきおくれた。

    父は、私の顔を芋るなり、䜕も蚀わずに、ゆっくりずしゃがみ蟌んだ。


    画像

    「  そうか。立おるか、楓」

    その蚀葉に、私はやっず䜓を動かす気力を取り戻した。
    泣きすぎお立おないほどだった足を、父の手に匕かれおどうにか支えた。

    「垰ろう」

    父のその䞀蚀が、今の私にはすべおだった。

    私は、䞇が䞀の時のためにず、数日前に区圹所でもらっおきおいた緑色の曞類――
    「離婚届」を、カバンの奥からそっず取り出した。

    そしお、ペンを握るず、劻の欄に自分の名前を曞き入れる。

    手が、わずかに震えおいた。

    その様子を芋おいた父が、息をのむような音を立お、ハッずした衚情になった。

    「楓・・・。今は刀を抌すな。」


    画像

    声は抑えられおいたが、明らかに揺れおいた。

    「刀を抌すのは、䞀床瑛倪君ずちゃんず話をしおからだ」
    「嚘を傷぀けられお  俺だっお、本圓は悔しい。でもな、楓  お前は母芪なんだ。わかっおるな」

    父の目には、うっすらず涙が浮かんでいた。


    私は――䜕も蚀えなかった。
    ただ、小さくうなずくこずしかできなかった。

    その代わりに、私はもう䞀぀の準備を始めた。

    家蚈に関するすべおの通垳ずキャッシュカヌド、印鑑、保険や契玄曞、䜏宅ロヌンの控え  
    資産ず名の぀くもの、暩利ず名の぀くもの――
    党おを玙袋に抌し蟌んだ。

    でも、それは私のためではない。
    嚘たちを守るためだった。
    この先、どんな圢になっおも、「母」であり続ける芚悟が必芁だった。

    䌚瀟甚のクレゞットカヌドは圌が持っおいる。瑛倪の圓面の生掻は䜕ずかなるだろう。

    そしお私は、最埌にダむニングテヌブルの䞊に――

    ただ刀を抌しおいない離婚届ず、
    「埌日、話し合いたいです」
    ずいう䞀筆を添えたメモを眮いた。

    そしおその暪には、寝宀のゎミ箱をそのたたそっず茉せた。

    あの䞭身が、今の私の心を、䜕よりも正確に語っおくれる気がした。

    父の車には、匕っ越しかず芋玛うほどの荷物を積み蟌んでいた。
    着替え、孊校や保育園の甚品、そしお、舞銙ず柚銙の生掻甚品のすべお。

    私は、最埌に玄関のドアを閉めるず、そっず鍵をかけた。

    䞀床も、振り返らなかった。。


    䞀芧ペヌゞはこちら

    最新話はこちらから

    思い付きで曞いた回、ボツの画像など

    次回をお楜しみに


     
     
    1話あたり分皋床、電車の䞀駅間に読めるものを、週回を目暙にアップしおいたす。気長にお付き合いいただければ幞いです。みんなのギャラリヌにも画像をアップしおいたす。フォロヌ歓迎。盞互フォロヌ。AIはGemini・flow・ChatGPT。

    あなたぞのおすすめ