
段ボール
これは、私が子ども時分の小話。
スーパーで買い物中、
落ち着きのなかった私は、
商品が詰めてあった段ボールで指先を切ってしまった。
チクッ、と。
ピリッ、と。
あんなにちいちゃい傷なのに、
ジミジミと痛い。
痛い。
一緒にいた大人に
「指切っちゃった」
「痛い」
と言うと、
私より20も年上だったその人は、
怒りを滲ませた口元で
「私だって仕事中に何度も切っている」
とだけ言った。
その時は
「そんなもんか」
と思った気もするが、
今でもソレが記憶に残っているということは
きっと私は傷付いたのだ。
なんちゃなく
「痛いねえ」
「大丈夫?」
「すぐ治るよ」
と、心配してほしかった。
私のことだけを気にして欲しかったのだと思う。
痛かったね。