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11月になったら、亥の子餅を作ろう。

<20年前の和菓子教室と、電子レンジで作るうりぼう>

「……地味」

20年くらい前に和菓子教室で初めて亥の子餅を作ったときの、私の正直な感想である。
小さなお餅を楕円形に整え、3本の線を入れ、うりぼうのようにする。

それだけ?

それまでに習った、華やかな錦玉羹や練り切りなんかに比べて、なんとも控えめな姿だった。

ところが、作りたてを食べてみると、美味しかった。舌触りの良い柔らかな生地の食感や、素朴な餡が、なんとも素直な和菓子だと思ったものだ。
だが、やっぱり地味な見た目の和菓子だった。
そんな和菓子を、私は毎年思い出すのだ。

当時の私は、子育ての真っ最中。学童保育所の指導員として働いてもいたので、毎日がなかなか忙しい。
仕事柄、季節の行事には敏感だった。
とはいえ、仕事で取り上げるのは有名どころのイベントばかり。節分だったり、母の日だったり、ハロウィンやクリスマス。
日本にはそれ以外にも色んな季節の行事があることは知っていたが、その行事がいつ、どこで、どんな願いから生まれたのか、私は知らなかった。

11月に亥の子餅を食べる、ということも知らなかったし、そもそも、亥の子餅というものを知らなかった。

なぜ、11月に亥の子餅を食べるのかを知ってから、あの地味な和菓子の印象が変わったのだ。11月、亥の子餅を食べなければ。そんな気持ちにさせられた。

お菓子には、それを食べたくなる季節がある。
もちろん、11月以外に亥の子餅を食べたって、誰にも叱られない。
それでも、11月になると亥の子餅を作りたくなる。
12月になるとシュトーレンが恋しくなるし、1月には花びら餅やガレット・デ・ロワが食べたくなる。
日本のお菓子も、ヨーロッパのお菓子も、季節の行事と結びついているものがたくさんある。その由来を知ると、お菓子の向こう側に、昔の人たちの暮らしが少し見えてくる。
それが、なんとも面白い。

亥の日に、火を使い始める?

亥の子餅は、旧暦十月の亥の日に食べる習わしの和菓子である。

十二支の亥は、猪にあたる。

猪がたくさんの子を産むことから、子孫繁栄への願いと結びつき、無病息災や豊作を願う意味も重ねられてきたという。

もう一つ面白い話がある。

昔は、旧暦十月の亥の日に、火鉢や炬燵を使い始める習わしがあったという。
なぜ、亥の日なのか。
陰陽五行説では、亥は「水」にあたる。
水は火を抑えるもの。だから、火を使い始める日として縁起がよく、火事を防ぐ願いが込められたのだそうだ。
火を使い始める日に、水の性質を持つ日を選ぶ。

なるほど、面白い。

昔の人は、暮らしの中のさまざまなことに、意味や願いを込めていたのだなあ。

茶の湯の炉開きも、この習わしと結びついているといわれる。
今では一般に11月になると風炉から炉へと切り替え、冬の茶の湯が始まる。炉に炭を入れ、湯を沸かし、お茶を点てる。
私もお茶を習うようになって、季節が変わることを、以前より意識するようになった。

亥の子餅の姿や材料は、地域や時代、お店によってさまざまだという。
私が20年前に作った亥の子餅は、小さなうりぼうを思わせる、素朴な形のお菓子だった。あのときは「地味」と思ったけれど、今はその控えめな姿が、なんとも可愛い。

あれから20年、私は電子レンジでうりぼうを作る

20年前、和菓子教室で習った生地は、蒸し器を使って作った。私も、和菓子の生地を蒸すために、大きめの四角いステンレス製の蒸し器を買った。

蒸し器には蒸し器のよさがある。蒸気でじっくりと火を通す、あの工程も嫌いではない。
けれど、家で少しだけ作って食べたいときに、毎回あの大きな蒸し器を出す必要があるだろうか。

あれから20年経った今の私は、電子レンジで簡単に作ればいいじゃん、と思うのだ。
電子レンジだって、十分に美味しい生地ができるのだから。

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季節や由来は大切にしたい。
そして、できるだけ手軽に味わいたい。
そんなわけで、今の私は、電子レンジで美味しいうりぼうの生地を作るのだ。

今回は黒糖と黒胡麻を使ってみた。黒糖の素朴な味と色合いも、亥の子餅にはよく似合う。
作りたてはもちろん、翌日も柔らかく、美味しく食べられる。

11月になったら、亥の子餅を作ろう。
20年前には少し地味に見えた、可愛くて美味しい、小さなうりぼうを。


ここからは、黒糖と黒胡麻を使った、電子レンジで作る亥の子餅のレシピをご紹介します。

家庭で作りやすい4個分。材料の分量から、電子レンジでの加熱、生地の包み方、うりぼうの縞模様まで、写真と一緒にまとめました。


澪遊庵の亥の子餅

黒糖と黒胡麻の、電子レンジで作る亥の子餅

材料(4個分)

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なんちゃって茶室「澪遊庵」を作りました。 リアルでもお茶を点てたり和菓子と楽しんだりしますが、私の物語(バーチャル)世界でもあるのです。 バーチャル世界には妖怪たちや大切な仲間(AI)たちがいて、日々楽しく暮らしているのです。

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