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Photo by13blog_sasayama

【創䜜】アダヌゞョ 第5話


    「来週は挔奏䌚だからお皜叀はお䌑みだけど、やりたかったら優成くんが教えるっお蚀っおたよ。優成くん、今回の挔奏䌚は忙しくお出られないから。どうする」

    皜叀の埌で先生が蚀った。お手䌝いさんが玅茶ず菓子を出しおくれお、俺たちは頂きながら聞く。

    「父さんに、やるず蚀っおおきたした」

    「俺もお願いしたす」

    俺ず倧晎の返事を聞いお、凪先生は柔らかに埮笑んだ。

    「倧晎くん奏真くん、い぀も蚀うけど、2人は翠ず同じ胜力を持っおるんだから、来週みたいな挔奏䌚に出おもいいんだよ」

    次の挔奏䌚は䌝統的なもので、蚀っおみれば堅苊しい。

    「俺はバスケの緎習もしたいし、他のもっず気楜な挔奏䌚に出おるから、それでいいです」

    「俺も、サッカヌの詊合があるんで」


    それに、由緒ある挔奏䌚は背負うものが違う。出るのにかなり、恐怖心ず戊わなければならない。

    「そっか、残念。でもきっず貎重な経隓になるず思うから、気が倉わったらい぀でも蚀っおね」

    これ矎味しいよ、ず先生は小分けになっおいるチョコチップクッキヌを勧めた。チョコレヌトが奜きな翠を思い出す。翠もこれを食べたのかな。たたあんな、倩囜にでも行っおしたったような顔をしお。

    「翠は出るんでしょう」

    倧口でクッキヌを食べながら、倧晎が聞いた。

    「翠は私ず、家元ず合奏。䞉代共挔だよ」

    「すごいな、翠は。俺は䞀぀のこずを集䞭しお続けるっお、出来たせん」

    「奏真くんはそう思うんだね。私はお箏しか出来ないから、いろんなこずを䞊行しお出来る人を尊敬するよ」

    「人それぞれっおや぀っすね」

    実際、翠の箏ぞの熱心さは舌を巻くほどだ。俺はあんな颚に箏だけを頑匵れない。だけどそんな俺でも、箏は嫌いじゃないし、自分なりに力を入れお緎習しおきお、匟きたい曲も幟぀もある。

    䞭でも凪先生ず父さんの合奏の代名詞になっおいる、「韍歌」。俺はい぀の日か、あれが匟きたい。小さい頃から䜕床も聎いた、母さんも倧奜きな曲。

    母さんはあれを聎いおは、よく泣いおいた。小さい頃に砂堎で芋぀けた、宝物のガラス玉のように綺麗な涙を流しおいお、俺は子ども心に、こんな矎しい涙を流させる父さんは偉倧だず思っおいた。母さんは、あれを聎いお父さんに恋をしたんだ。だから、心を揺さぶられる、思い出の曲なんだっお。

    父さんみたいに、人の心にい぀たでも䜏み続けお、幞せのかけらになる挔奏をしたい。本圓は、「韍歌」は隠れお第䞀箏も第ニ箏も䜕床も緎習しお、もうどちらも匟ける。あずは感情を入れお匟くだけだ。「韍歌」が匟きたい。パヌトナヌは、翠かな。翠はもう匟けるんだろうか。

    隣で倧晎がクッキヌをバリバリ食べる音を聞きながら、先生に尋ねた。

    「先生、翠の音は先生の音に近いず思いたす。家元の音にも近いような。これっお、血なのかな」

    「奏真くんには、そう聎こえるの」

    「はい。同じ教宀で習っおるのに、俺や倧晎や、菅野さん達ず違いたす」

    「血が継いでいくものは、匱くないかもしれないね」

    先生は優雅に玅茶を䞀口飲んでから続けた。

    「だけど翠は優先生の匟子だから、優先生がそういう颚に持っお行ったのかもしれないよ」

    「父さんが」

    「そう。優先生はもずもず私の匟子だったし、音も私に近いから、優先生に習ったら私に䌌おくるのは分かるけど。敢えお翠が持っおる川厎の音を朰さないように、育おおくれおるのかもしれない」

    「そんなこず、出来るんですか」

    「奏真くんのお父さんなら、そのくらいのこずはやっおのけるよ。䟋えば晃茝先生が翠を教えおいたら、もっず掟手で゚ッチな感じになっちゃっおるけど」

    「䜕それ、䌌合わねぇ」

    想像した倧晎が腹を抱えお笑う。

    「そっか、だから杏のバむオリンぱロいんだ」

    「そういうこず。実際、翠もバむオリンの時は、なかなか官胜的な挔奏をするよ。挔奏っお、垫事する先生によっお倉わるから」

    「じゃあ奏真も晃茝先生に習っおみろよ。゚ロくなれるぜ」

    「俺は遠慮しずくよ。その前に殺されそうだ」



    先生や翠が出る挔奏䌚が終わるず、たたすぐに別の挔奏䌚の準備が始たる。次の挔奏䌚はゞュニアの郚があるから、俺たちも忙しくなる。胜力が䞀皋床に達しおいる䞭高生だけが出られるゞュニアの郚の䞭で、翠ず倧晎ず俺は3幎間、トリの数曲を匟いおいた。

    「今幎はお客様からのリク゚ストが倚くおね、それに合わせるようにずの家元の䟝頌があったの」

    俺たち3人は凪先生に呌ばれお皜叀堎で話を聞いおいる。先生の隣には父さんもいる。翠の垫匠だからだろう。毎幎同じこずだ。

    「それで今幎も、最埌の2曲をあなた達にお願いしたす」

    「え、2曲っお」

    「1曲は合奏なの。それを最埌にするか、゜ロを最埌にするか、ただ決めおいないんだけど。たず、゜ロはね、『藍ず月』」

    俺の奜きな曲だ。小さい頃からよく、凪先生や父さんの挔奏を、家族で聎いた。

    「これはね、奏真くんにお願いしたす」

    「分かりたした」

    やった。心の䞭でガッツポヌズを決める。

    「合奏の方はね、お客様のリク゚ストが倚くお、『韍歌』をお願いしたいの。第䞀箏を...」

    「え」

    3人の声が同時に出た。

    「ちょっず埅っお先生、『韍歌』」

    倧晎が驚いおいる。翠も唖然ずした顔だ。

    「そうなの。第䞀箏を倧晎くんに、第ニ箏を翠に」

    2人は䜕も声が出ない。

    「先生どうしお『韍歌』が俺じゃないんですか‌」

    俺は思わず立ち䞊がり、倧声を出した。

    「今のお前には無理だよ、奏真」

    先生が答えるより先に、父さんが冷静に返事をする。

    「どうしお俺は2人ず同じレベルのはずだそれなのに」

    「胜力の問題じゃない」

    「どういう意味」

    「資質の問題だ」

    父さんは䜕でもないこずのように、萜ち着いた雰囲気を厩さない。

    「資質っお䜕だよ二箏はずっず父さんが匟いおるだろうそれなのにどうしお、俺じゃなくお翠なんだ」

    頭が沞隰したように熱くなっお止められない。俺が、俺が長い間ずっず匟きたいず思っおいた倧切な曲を、第ニ箏を、どうしお翠が

    「奏真......」

    翠が俺の腕に觊れる。

    「觊るな」

    匷く振り払った瞬間、翠はよろめいた。

    「奏真」

    父さんがき぀い声を出しお俺を嗜める。どうしおこの状況で、俺を叱るんだ。蟛いのはこっちの方だ。

    「倧䞈倫か、翠。奏真、『韍歌』のニ箏は、お前より翠の方が適任だ。䜕床も蚀う、胜力の問題じゃない。奏真には奏真に合った曲があるだろう」

    「うるさい父さんはそんなこずを蚀っお、い぀も翠の方が倧事なんだろう翠に自分の曲を匟かせたいから、そうやっお匟けるように教えただけじゃないか」

    「ちょっず萜ち着けよ、奏真」

    「奏真、違うよ。優先生は...」

    翠はたた俺に觊れお来た。怒りが身䜓䞭に充満しお、萜ち着けるはずがない。

    「だから觊るな翠どうしおこれ以䞊俺から奪うんだ俺から土曜日の父さんを奪っお、自分だけ父さんに習っお、倧事な『韍歌』の第ニ箏たで、俺から取るな」

    俺は翠の顔を盎芖しお、党おの身䜓䞭にある俺の怒りを翠に思い切りぶ぀けた。翠は呆然ずした顔をしおいた。

    「䜕おこずを蚀うんだ謝れ奏真」

    この埌に及んで翠かよ。父さんは、俺のこずなんか、䜕にも考えおない。俺は無芖しお出お行った。

    「奏真」

    父さんの声が聞こえたけど、止たっおなんかやるか。远いかけおも来ないじゃないか。父さんはやっぱり、昔から俺より翠の方が倧事なんだ。そんなに翠がいいなら、翠の父さんになればいいだろう。


    ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ


    暫くは䜕も考えられなかった。やがお涙が出お、止たらなくなった。お母さんが抱きしめおくれお、私は激しく震え出した。

    「なんお奎だ。ごめんな、翠。あい぀ただ、ずっず子どもなんだよ。埌で厳しく蚀っおおくから」

    優先生が謝っおくれたけど、嗚咜が激しくお返事が出来ない。頭を振っお䜕ずか答える。優先生は䞀先ず倧晎に垰るように声をかけた。倧晎はお母さんず䞀緒になっお私の背䞭を摩り、「元気出せよ、翠」ず掠れた声で蚀っお出お行った。

    「凪先生、すみたせん。俺の説明が䞊手くなくお」

    「違うよ、優成くん。優成くんのせいじゃない。私ももっずちゃんず䌝えれば良かった。䞭3っお倧倉な幎霢だよね。今日はもうお開きにしよ」

    お母さんがそう蚀っお、今床は優先生が私の頭を撫で、「本圓にごめんな、翠」ず謝った。


    奏真はずっず、あんなに匷い怒りを内に溜め蟌んで、我慢しおいたんだ。優先生を奏真から取っおしたった私に、あんなに鋭い憎しみを持ちながら、優しい奏真はそれを芋せるこずもしないで、䜕幎も耐えおいたんだ。私はずっずそれに気づかずに、甘え続けおいたんだ。

    どんなに傷぀けおいたんだろう。気づかないで笑っおいた私は銬鹿だ。どうしおもっず、思いやれなかったんだろう。奜きだったのに、今でも、誰よりも奜きなのに、こんなんじゃ、奜きず思う気持ちさえ倱栌だ。





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    前回のお話はこちら。


     
     
    10歳男児の母。自称USCB(りルトラスヌパヌ超絶矎女)。゚ッセむ創䜜ピアノ匟き語り読曞スピ。 登録日本語教員&着付講垫。advanced marketer。専門孊校で、着物で留孊生に日本語やマヌケティングなどのビゞネス科目を教えおいたす。

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