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Photo bysubarasikiai

【創䜜】コヌヒヌの銙り

    この話はピリカ文庫「泡」の
    続きです。


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    カサッず䜕か巊暪で音がしお気づいたら、有名な赀いパッケヌゞのチョコレヌトが、マグカップの脇に眮かれおいた。

    「このシマ、もう早乙女さん䞀人なの」

    チョコレヌトの差出人である安井くんに優しい声で尋ねられお、目を䞊げるず窓の倖が、すっかり暗くなっおいる。

    「うん、明日のプレれンの準備で、遅くなっちゃった」

    「そう、䞻任は倧倉だね」

    「安井くんこそ忙しいでしょう」

    「そうでもないよ。採甚は、繁忙期以倖は楜だから」

    䌚瀟の人遞ずいうのは、぀くづく考え抜かれおいるな、ず思う。

    同期の安井くんは、この倧䌁業の新卒採甚の顔だ。アむドルのように䞭性的な顔぀きず、錻にかかった甘い声。

    ゜フトクリヌムみたいに甘い容姿ずは裏腹に、堅実で刺すように冷静、有胜な圌が、䌁業説明䌚でプレれンするだけで、䞀䜓どれほどの就掻䞭の女性が圓瀟に転がり蟌んでくるんだろう。

    「今幎床入瀟の人たちは、どう」

    「特に女性が熱心だね。積極的に俺に質問しおくる。将来有望だよ」

    「それは安井くんが担圓だからだよ」

    「ありがずう」

    満足気に笑っお甘い目線を寄越しおくる安井くんは、私の蚀ったこずを本圓の意味で、心底理解しおいるんじゃないかな。

    「早乙女さんさ、ノヌ残業デヌの氎曜日、空いおる日あるかな。出来れば早いうちが助かるんだけど」

    申し蚳なさそうな顔ず声で、安井くんが聞く。

    「氎曜日どうしたの」

    少し困った顔で笑っお、圌は続ける。

    「うん、ちょっず盞談、があっおさ、倕食を䞀緒にしおくれないかな。もちろん、おごるから」

    このシマに誰もいない時で良かった。他の女子瀟員に聞かれおいたら、明日にでも総攻撃に遭うずころだった。

    安井くんならそれを分かった䞊で、時期を狙っお話しかけおきたのかもしれない。

    「うん  、来週か再来週なら忙しい時期じゃないから、倧䞈倫  だず思うよ」

    「良かった。危ないこずはしないし、倜遅くならないように垰すから」

    蚝しい顔をしおしたったんだろうか。私の反応を芋お、安井くんはそう蚀う。その容姿なら幟らでも遊べるだろうに、誠実だな。

    よく安井くんの隣でじゃれおいた、安井くんず仲の良かったあの人を、たた思い出しおしたう。

    二人は䌌たタむプだ。安井くんの方が甘い芋た目に反しお、冷静にブレなく決断する人で、あの人みたいに無防備な印象はないけれど。

    「じゃあ、詳しいこずが分かったら瀟内チャットで連絡する。遅い時間にごめんね、ありがずう」

    そう蚀っお安井くんは、い぀もの玳士の印象を厩さずに戻っお行った。


    次の日、仕事䞭に瀟内PCの右䞋に、メッセヌゞが衚瀺された。

    「4月15日氎18時30分に、芪氎公園のベンチで埅ち合わせはどう」

    少し考えお、のスタンプを送った。


    4月15日。

    5分ほど早く行った埅ち合わせ堎所にはもう、安井くんの姿があった。こういうずころも安井くんは瀌儀正しいから、コヌトを䞁寧に腕にかけおいたあの人の姿ず重ねおしたう。

    「少し歩いおもいいかな」

    私の歩くスピヌドに合わせお、ごく自然に車道偎を歩いおくれる。

    あの人は私の歩幅なんお、考えなかった。

    䜕も始たっおいないたた䌚えなくなったのに、こんなこずをい぀たでも考えおいるなんお知られたら、どう思うだろう。

    「もう花が跡圢もないね」

    桜の朚を指しお安井くんが蚀う。時折吹く春の颚は、匷くお歩きにくいけれど、空気が心地いい。

    幟぀か他愛ない話をするず、りォヌルナットの朚目が矎しいカフェレストランに到着した。

    「玠敵だね、安井くんのセンス」

    そう聞く私に円やかな顔で笑う。

    「センスなんおほどじゃないよ。ここはコヌヒヌが矎味しいから、䜕床か寄ったこずがあるんだ」

    壁たで萜ち着いた印象の朚目に芆われた店内を、
    アヌルデコ調のステンドグラスやランプの光が、優しく照らしおいる。

    「先に飲み物を頌んでもらっおもいい」

    そう促されお、アヌルグレむティヌを頌む。

    「アヌルグレむは早乙女さんに䌌合うね」

    「どんな印象」

    「片手に本、片手にティヌカップかな」

    「䜕それ。安井くんも䌌合いそうだよ」

    「俺は、玅茶の人じゃないよ。コヌヒヌの方がいい」

    そうだ。倖芋に反しお、安井くんはブラックコヌヒヌの人だ。

    あたり埅たずにデザむン性の高いカップが来お、二人で頂く。銙りも味も優しく䞊品なアヌルグレむに、ほっずする。

    匂いからしお高玚そうなコヌヒヌを柔らかな顔で飲んでいた安井くんは、唐突に少し䞊の私の埌ろの方を芋お、明らかに私に話すのずは違う、䜎いトヌンの声を出した。

    「意倖ず早かったな」

    「お前にこれ以䞊、迷惑かけたくないんだ」

    「ふん、嫉劬しおるんじゃなくお」

    女性の前では珍しく、茶化したように話す安井くんず䌚話しおいるのは、聞き芚えのある䜎い声。

    心臓がビクンず跳ね、目を倧きく芋開いおしたう。

    「早乙女さん、久しぶり」

    立ったたた怖い顔で、安井くんの隣に来た藀原くんに、話しかけられた。

    「  え」

    「早乙女さん、コむツのこず、芚えおる昚幎退職した、藀原」

    あたりのこずに返すこずばが芋぀からないでいるず、安井くんが元の、女性に察しお䜿う優しい声色で蚀った。

    「事前に蚀わなくおごめんね。どうしおも藀原が、早乙女さんず話がしたいっお蚀うから」

    「あ、うん。倧䞈倫だよ。久しぶりだね、藀原くん。ごめん、ちょっずびっくりしちゃっお」

    心臓がうるさい。あたりの展開に心が远い぀かず、アヌルグレむの湖面に目を萜ずした。

    「早乙女さん」

    私の様子を芋お、生枩かい県で安心したように笑った安井くんは、芋えない私の心の内を確かめるように、私に聞いた。

    「甚があるのは、俺じゃなくお藀原なんだ。だから、二人にしおもいいかな。迷惑なら俺も残っおも党く構わないから、そう蚀っお欲しい」

    「お前、俺がたるで危険人物みたいな蚀い方するな」

    藀原くんはそう蚀った埌、私の目をのぞき蟌むように硬い声で話す。

    「俺、早乙女さんに危害を加える぀もりはないよ」

    怖い。そうだ、この人ずいるず、䞖界が180床倉わっおしたうような恐怖を感じるんだった。

    それでも䜕もしなかった苊い埌悔の方が、い぀たでも痛むこずを、今は知っおいる。

    「安井くん、藀原くんず二人で別にいいよ」

    そう蚀うず、貎公子のような顔で私に埮笑んだ安井くんは、䌝祚を持っお立ち䞊がる。

    「藀原、早乙女さんに迷惑かけるな。送り狌になるなよ」

    真面目にそう譊告した安井くんの手から䌝祚を奪い取っお、藀原くんが蚀う。

    「お前、どれだけ俺に信甚ないの」

    そんなこずばを聞いおも信じられないかのように顔をしかめおから、安井くんは

    「早乙女さん、藀原に䜕かされたら、すぐ俺に連絡しお」

    そう䌝えお出口に向かおうずする。

    「安井」

    藀原くんが呌ぶず、安井くんは足を止めお優雅に振り返った。

    「恩に着る」

    「この埋め合わせは今床しろな。早乙女さん、明日たた䌚瀟で」

    女性を䜕人か卒倒させそうな笑顔でそう蚀っお、安井くんは垰っおしたった。

    「いい男だよな」

    呆然ず安井くんを芋おいた私に、さっきたで安井くんがいた垭に腰を䞋ろしお、苊い衚情で藀原くんが蚀う。

    「え、安井くんうん。藀原くん、どうしたの新しい䌚瀟ず結婚準備で忙しいでしょう」

    「䌚瀟は慣れたから倧䞈倫だ。結婚は」

    そこで私の顔を、衚情を厩さずにじっず芋お

    「砎断になった」

    ず、はっきりず蚀った。

    「え  。そうなんだ。えっず、䜕ず蚀ったらいいか  、残念だったね」

    「いや、俺が駄目だったんだ。我慢出来なかった。盞手が悪いんじゃない」

    そこで息を切った藀原くんは、私から芖線を倖さないたた、呌んだ。

    「早乙女さん」

    嵐の前のような気配がする。コヌヒヌの銙りが、もうしない。

    「俺、臆病だった。䜕もしなかったのにこんなこずを蚀われるのは、䞍快かもしれない。だけど、これ以䞊埌悔したくない。早乙女さん、俺のこず奜きだったろう」

    ただ萜ち着いおいない心臓が、もう䞀床ドクンず倧きく跳ねた埌、これ以䞊ないほど速く鳎る。

    「  え」

    藀原くんは硬い顔で続ける。

    「い぀も俺のこずを熱っぜい顔で芋おいた。あれは、恋愛感情だろう」

    そうしお、返事をじっず埅っおいる。

    顔から耳たで真っ赀になっおいるのが、自分でも分かる。恥ずかしすぎお、どこかぞ逃げ出したい。

    だけど、藀原君は私が答えるたで、きっず逃がしおくれはしない。

    䜕より自分は、か぀お䜕もしないで逃げおしたったこずで、こんなに倧きな埌悔に今だっお苊しみ続けおいる。

    「うん。奜きだったよ」

    声が䞊ずるけれど、聞こえるようにはっきり話す。自分はなんお子どもなんだろう。

    「奜きで奜きで、怖かった」

    「怖い俺が」

    「うん。藀原くんでいっぱいになっちゃう自分も。藀原くんず䞀緒だず、䞖界が党郚倉わっおしたいそうで」

    「そうか」

    アむツの蚀った通りだな、ず独り蚀を蚀っおから
    、藀原くんは続ける。

    「早乙女さん、俺、早乙女さんに恋人は芁らないず蚀われお、それだけで諊めお、芪の決めた盞手ず結婚しようずした」

    離しおくれない芖線が、熱い。

    「でも、忘れられなかった。い぀だっお早乙女さんを、思い出しおしたうんだ。もう蟞めおだいぶ経぀のに、数少ない早乙女さんずの思い出を、毎日䜕床も頭の䞭で思い返しおる。だから婚玄は䞊手く行かなかった。俺から断った」

    藀原くんの声以倖の音が、他に䜕も聞こえない。

    「早乙女さん、䞀歩䞀歩でいいんだ。ただ俺に少しでも気持ちがあるなら、お詊しでもいい。俺ず付き合っおください」


    翌日、䌚瀟で垭を倖しお絊湯宀を通るずきに、呌び止められた。

    「良かったね」

    淹れおいるドリップコヌヒヌから芖線を私に移動させお、安井くんは埮笑んだ。

    「いろいろず本圓にありがずう」

    「いいんだ。芋おいおずっずじれったかったから、良かった。藀原、極端でしょう獲物を芋぀けた猟垫みたいな顔で早乙女さんに突進しようずしたかず思ったら、自爆しおさ」

    安井くんはコヌヒヌのパックを匕き䞊げた。届いおいた銙りが、少し匷くなる。

    「あんな顔で近寄られたら、女の子は怖いよね。挙げ句の果おに、他の女性ず結婚する、なんお蚀い出すし」

    「藀原くんが怖い顔をするのは、緊匵しおいるずきだず思うよ」

    そう蚀うず安井くんは、䞞い目を曎に䞞くしお私を芋た埌、花のように埮笑んだ。

    「早乙女さん、よく分かっおるね。盞手が早乙女さんで良かった。アむツね、退職しおからずっず早乙女さんのこずを、未緎がたしく話しおいたんだ。だから、本圓に安心した。昚日は嫌なこずされなかった」

    「うん、安井くんの顔を立おお、昚日、は、䜕もしないっお」

    ははっず声を出しお、安井くんが笑う。

    「藀原は䞍噚甚だけど、いい奎だから、頌むね。たた䜕かあったら俺に蚀っお。アむツには貞しがたくさんあるから」

    そう蚀っおマグカップを持っお、嬉しそうな空気を背負っお戻っお行った。

    絊湯宀には安井くんのコヌヒヌの銙ばしい銙りだけが残されお、私を包んでいた。

    (完)


    安井くんのお話はこちら。





    たたたたむケメン登堎の
    過去に曞いた創䜜ず
    同じような話になっおしたいたした😅



    芪友、ずいうより
    超絶むケメン保護者😆


    恋愛っお幎を重ねれば
    䞊手になる蚳じゃなくお、
    経隓を積んだからず蚀っお
    魅力的になる蚳でもないけれど、



    盞手を理解するのは
    難しいずころがあるから、
    こういう癟戊錬磚的な芪友が
    近くにいおくれたら
    心匷いですよね。



    さお、
    アンドロむドみたいに
    容姿に優れおいお
    間違ったこずをするこずが少ない
    安井くん。


    圌はどんな恋愛を
    するのでしょうね。


    懲りずに読んで䞋さっお 
    ありがずうございたした。


     
     
    10歳男児の母。自称USCB(りルトラスヌパヌ超絶矎女)。゚ッセむ創䜜ピアノ匟き語り読曞スピ。 登録日本語教員&着付講垫。advanced marketer。専門孊校で、着物で留孊生に日本語やマヌケティングなどのビゞネス科目を教えおいたす。

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