
月を見る 大人たちが忘れてしまった景色、まだこの子は月を見たことがない #シロクマ文芸部
2歳になったばかりの我が子は、実際の夜空に浮かぶ月を、ちゃんと見たことがあるのだろうか。
ふと、月を見ながら思った。
月が顔を出す頃には、もう夕ご飯を食べて、お風呂に入って、寝る準備をしている時間。
絵本の中で星や月のかたちは知っているし、「お空の上にある」ということも、少しずつわかってきている。
でも、自分の意思で夜の静けさの中に立って、本物の月を見上げるのは、いつになるのだろう。
まだまだ知らないことばかりの、この大きな世界。
大人になった私たちが、いつの間にか忘れてしまった「初めて何かと出会う瞬間」の胸の高鳴りを、この子はこれから何度も経験していくのだと思う。
その小さな目が、いつか夜空に浮かぶ本物の月を初めて見つけたとき。
どんな顔をするのだろう。
何を思うのだろう。
その瞬間を、できることなら少しだけ離れたところから、そっと見ていたい。
きっとそのとき、月を見つけるのはこの子なのに、
私は私で、またひとつ、この子と一緒に初めての景色を見るのだと思う。
すてきなお題をありがとうございました!