
うそつき男
「女は真実なんて求めていないんだよ」
うそつき男はそう言った。
「女は男がいかに素敵なうそをついてくれるのかを求めているんだ。君を絶対に幸せにする、永遠の愛を誓う、だなんてね。考えてみろよ、そんな事は不可能な事だ。人は突然事故で死んでしまうかもしれないし、明日地球が消滅するかもしれない。未来の事なんて誰にもわからないものさ。そんな不確定な未来について保証するだなんて、正直な人間にはとてもできないよ。だけど女は自分の将来の安定を保証してもらいたいんだ。女は男に対して、自分自身の持っている不安を取り除いて欲しいと願う。だけど僕らには、毎日毎日を精一杯に生きてゆく、そんな事しかできないはずさ。僕らはまったくもって不可能な事を、求められているんだよ」
うそつき男はそこまでを言い終わると、少しばかり咳をした。そして少し間をおいてから、また話し始めた。