他愛ない話の あいづちの向こうで
ひとり決めてしまった 君を見つけた
それは僕には うれしくないことで
グラスの氷も 溶けてしまった
口を開かなくて いいからさ
もう 繕わなくてもいいんだよ
破れ目から透かして 横顔を見れば
僕が知らない ひとになっていた
ここで思い出を語るには
あまりにわざとらしい気がして
僕は 新しいグラスを頼んだ
運ばれた水割りの氷の角に
ろうそくの柔い光りが当たり
僕は黙って それを見ていた
君も黙って 遠くを見ていた
それでも二人 席を立たないのは
過ごした年月の 重さのせいだ
けれども いいよ
全部ここに置いていけばいい
僕はそれを 捨てないけどね