
ずっとの天使【太宰になろう系企画】
なみさん主催の企画に参加させて頂きました。
いつもありがとうございます。
30分で書いた即興小説です。
以下本文(1495字)
=-==-=
「お兄さん、大丈夫ですか? お腹痛いですか?」
「…………天使?」
「はい。そうです」
ぼく、小川こうき。小学2年生。ランドセルは空色です。
学校の帰り道は寄り道しちゃいけないんですけど、土手にしゃがみこんでいる人を発見してしまいました。
近くの高校の制服です。ちょっとサイズ大きいみたいです。
鼻をすすっていたので、ティッシュいるかな? と思ったのです。
知らない人に近づいちゃいけません。
といつもママに言われていますが、知らない人じゃないので、平気です。
毎日新聞配達に来るお兄さんだったからです。いつもすごく朝早くに、新聞入れにガタンって新聞入れる人です。夏休みの宿題で朝顔の観察をしていた時、何回かお会いしました。
お庭に置いてた朝顔に水やりしながらぼくが、
「おはようございます」
って言ったら、一瞬変な顔をしてから、
「……おはよう」
って返してくれました。自分にあいさつされてるってわかってなかったみたいでした。ときどきいますよね、そうゆう人。
夏休みは終わって、朝顔の観察も終わりましたので、それからお兄さんには会ってないです。
でも「かおみしり」には違いないですよね?
枯れ葉がかさかさ飛んでくる土手は風が冷たいです。お鼻がずびずびになっても仕方ありません。ちゃんとかまないとお鼻の下がカピカピになっちゃいます。
とゆうことで、ぼくはお兄さんに近づきました。そしたらびっくりです。お兄さんは泣いていました。
それでこのお話のはじめに繋がります。
お鼻が出てるじゃなくて、お腹痛いのかなって思ったのです。
どうしてぼくが学芸会で天使の役だってわかったんでしょう? ぼくのクラスにお兄さんの弟か妹がいるのでしょうか。
「天使ならさ、ずっとの意味わかる?」
「ずっとですか?」
ぼくはうーんと考えました。ずっとはずっとです。
「いっぱい、うーんと、長く、ずうっとです。えいえんみたいな」
なんだか全然答えになっていません。学校のテストで書いたら先生にバッテンをつけられるでしょう。ぼく、国語は苦手なんです。
お兄さんは怒るでもなく、はっ、て笑いました。はっ、てバカにしたみたいに。
「だよね、おれもそう思ってた。でもあいつは違ったみたい」
お話がわかりません。
「ずっと一緒って言ったのに。他に好きな人ができたって。あっさりふられちゃった」
何ということでしょう。失恋です。ぼくにはよくわかりませんけど、かなしくて毎日泣いて眠れなかったり、川に飛びこんだりするあれです。ママが動画観ながら、「あー、せつないー」ってクッション叩くあれです。
大変なじたいです。お兄さんは川にざぶざぶ入っていくかもしれません。
「……死にそう」
「だめです! 死ぬのはだめです!」
「でも天使でしょ? おれを迎えに来たんじゃないの?」
「違います! ぼくはティッシュを配りに来ただけです!」
ぼくはお兄さんのお膝に、ぽいとポケットティッシュを置きました。
「お鼻をかんでください。あと、ええと」
失恋には何が効くってママは言っていたでしょうか?
たしか……あたらしい恋です。
「他に好きな人をみつけましょう! それまではええと」
ぼくはこぶしを握りました。
「お兄さんが泣いていたら、ぼくがティッシュを持ってきます! ずっとです!」
鼻水ずびずびのお兄さんが、赤い目でぼくを見ます。
「ずっと?」
「はい、ずっとです!」
ええと、これでいいんでしたっけ?
だんだんわからなくなりましたけど、多分いいんだと思います。
だってお兄さんの涙がひっこみました。ちょっと、笑っていますね?
とにかく早く、お鼻かんで下さい!
おしまい
=-=-=-
BLにするつもりなかったんだけど、BL? みたいな感じになりましたね。