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移住・実体験で初めて気づく?ローカル特有の「情報の空白」、その背景

    近年は、都会から地方への移住支援が盛んです。

    すぐに思いつく移住フレーズは、Uターン、Iターン、2拠点生活、リモートワーク、ワークライフバランス、子育て環境、など。
    自治体によっては移住者向けの補助金があるし、最近は経済的な事情も無視できなさそう。
    都市部から「引っ越し」感覚で、近くの県境を跨ぐ人も多いことでしょう。

    そして新しい町に暮らし始めたら、誰だって慣れない環境にストレスを覚えることが少なからず、あるはず。
    都会からローカルへの移住には、そのストレスの一つに「暮らし情報の不足」も入ってくると、私は考えています。

    これは、都会から身寄りのない田舎町に引っ越した人が切実に困るかもしれない、「情報の空白」の話。
    あるいは、地元に戻ってきたけれど、昔とは違う「今の暮らし情報」がなくて困っている人がいるかもしれない話です。

    人は必要にせまられて初めて「不足」を知る

    2012年、私は東京から佐賀県基山町に引っ越ししました。
    結婚相手が仕事の都合でたまたま住んでいたからで、私も夫も、近所に親戚はもちろん、地元出身の知人など一人もいませんでした。

    引越し当時は、正直、暮らしている町のことなんて、どうでも良かった。
    職場との往復だから、スーパーマーケットとコンビニ、最寄りの公的機関の場所くらいが分かれば、何不自由なく暮らしていけるものです。

    事情が変わったのは、私が妊娠してから。
    妊娠、出産、育児。どれも初めてのことばかりで、最初に困ったのがなんと「出産する場所」でした。
    必要に迫られて、調べて、初めて事実を知ったのです。

    私が住む町に、産婦人科はない!

    みんな、どこで健診を受けて、どこで産んでるの!?

    役所も具体的に答えられないことがある

    こういう時、まず頼るべきはお役所ですね。
    ところがここでも、衝撃を受けることに。
    行政は行政区外のことを、基本的に語れないのです。管轄外だから。

    職員さん「皆さん、里帰り出産したり、周辺自治体にある産婦人科に通われてます」

    ヒントはこれだけ。今は多少変わっているだろうけれど、少なくとも10年以上前の対応は、そうでした。
    びっくりしたけれど、そう話す職員さんの困った、申し訳なさそうな顔といったら!

    生活圏に必要不可欠な情報を、町役場が具体的に提供できないということ。でもこれは決して行政の怠慢ではなく、「情報の空白」を埋められない構造的理由があるのだと、当時の私は理解しました。

    なるほど、田舎の事情は分かった。
    必要な情報は、自分で探さねばならない。

    ローカル特有「情報の空白」の背景

    そこで現代人である我々は、困ったらまず「インターネット検索」です。
    その結果、田舎暮らしを始めたばかりの都会出身者は、第二の衝撃を受けることになるかもしれません。

    • 欲しい情報がない。少ない。

    • ホームページがない。古い。更新されていない。

    • 口コミが少ない。ネット掲示板の意味がない。

    得てしてローカルは、都会に比べてリアルな暮らし情報がインターネット空間に極端に少ないものです。
    その理由は至って簡単。

    人口が少ないから。
    人口密度が低いから。

    すなわち「インターネットユーザー数」の問題です。
    自治体の人口が少ないということは、インターネットを積極的に使う人が少ないということだし、口コミなどを書き込む積極的なユーザーがもっと少ないということでもあります。

    デジタル積極層は全体の4割という調査結果を見つけましたが、DX化が遅れがちとも言われるローカルではさらに少ない可能性も、ありそうです。

    クローズドな世界では「噂」で生きていける

    生まれてから大人になるまで、ずっと地元で暮らしている人は家族や友人らとのおしゃべりが、地域で暮らしていくために必要な情報源です。

    分からないことも聞けば教えてもらえる、狭い地域で顔見知りが多い環境で、わざわざ第三者に向けて発信する必要性を感じることがあるでしょうか?
    地元民にとっては「暮らし情報」なんて、発信するには当たり前すぎるのです。
    クローズドな世界では噂話で、十分暮らしていけるんだもの。

    移住者が戸惑うかもしれない「情報の空白」は、そもそも「地域の当たり前」なのです。

    地域に「当たり前」を知らない人が増えつつある?

    でも、その当たり前の外側に立たされた人は、どうすればいいのでしょうか。

    移住者だけではありません。
    核家族や共働きが一般的になり、「ヒト」と地域の交流は昔ほど活発ではありません。
    情報共有、交換の場所は失われつつあります。

    その後、電車で数駅離れた町で相性の良い産婦人科を見つけて、実家での里帰り出産を決めた私は、産後しばらくして、今度は子どもの保育園選びでも同様の問題に直面します。

    困った時に情報が見つからないストレスが多かった

    「地域の当たり前」を情報として正しくファイリングして、知らない人でも使える資料館のような役割がどこかにあったら、みんながラクになるのに。

    そしてそれは、情報空白を埋めるための、道路や水道と同じくらい身近な仕組み・インフラであってほしい。

    それを可能にするのが、誰もがアクセスできるインターネットであり、ウェブメディアという形なのではないか?


    こうして私は実体験をもとに、少しずつ妄想、いや構想を練り始めることになったのでした。

    次回予告、そもそも「情報の空白」を埋める動きは、なぜ生まれないのか!?
    誰も気づいていないの?それとも、見て見ないふりをしているの?


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    ライター・PR・編集業。「ローカル情報は暮らしのインフラ」を掲げ、人口1.7万人の町で浸透率95%のWebメディアを黒字運営中。年間PV35万(町の人口の約20倍)。補助金なしで自立自走するメディア運用術や、伝わる文脈設計のノウハウを公開しています。俳号:杢いう子

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