
アメリカ向け販売をやめるまでに考えたこと
—— Etsyのフィードバックと数字から見えた現実
アメリカ向け販売をやめることになるとは、正直、少し前までは思っていませんでした。
Etsyに書かれた、ひとつのネガティブ・フィードバック
きっかけは、Etsyに書かれたひとつのネガティブ・フィードバックでした。
内容は、アメリカ宛ての送料や輸入時の費用が高すぎる、というものでした。
実際には、表示されている正規の送料と、輸入時に発生する関税や手数料を合算した金額ですが、購入者にとっては「想定より高かった」という印象だったのだと思います。
フィードバック自体は、特別に攻撃的な言葉が使われていたわけではありません。
ただ、その内容をあらためて読み返したとき、
このズレは、今後も繰り返されるだろうと感じました。
正直に言うと、その頃から、アメリカ向けの販売に少しずつ違和感を持つようになっていました。
昔は、アメリカが一番売れる国でした。
Etsyでも、自社サイトでも、アメリカのお客さんが中心で、海外に日本のものを届けているという実感も強かったと思います。
しかし、この1年ほどで状況は大きく変わりました。
試行錯誤の3か月と、続けることの限界
2025年9月にアメリカで新たな関税措置(いわゆるトランプ関税)が発動して以降、
私自身も、アメリカ向け販売を続けるために、さまざまな方法を試してきました。
送料設定を見直したり、表示の仕方を変えたり、
事前に説明を入れるなど、できることは一通り試したと思います。
それでもなお、購入者側の期待値とのズレは埋まりませんでした。
その結果として、三か月ほど試行錯誤を重ねたうえで、
最後に出した結論が、今回の判断でした。
Etsyのオーダー履歴から、数字を出してみた
とはいえ、感覚だけで決めてしまうのは違うとも思っていました。
自分自身をきちんと納得させるために、
Etsyのオーダー履歴をあらためて拾い直し、
国別・注文内容・送料を含めた数字を整理してみることにしました。
具体的には、Etsyの管理画面からオーダー履歴をCSVでダウンロードし、
国別に並べ替えて、いくつかの項目だけを確認しました。
見たのは、
・注文数
・平均注文額
・送料を含めた総額
・やり取りが発生した注文の割合
利益率を厳密に計算するというより、
どの国の注文に、どれくらい時間とコストを使っているかを把握することを目的にしました。
数字から見えた傾向
数字を並べてみると、
アメリカ向けの注文は件数こそ一定数あるものの、
送料や対応にかかるコストを考えると、手元に残るものは多くありませんでした。
また、事前・事後を含めたやり取りが発生する割合も高く、
1件あたりに使っている時間が、他の国と比べて長い傾向がありました。
売上だけを見ると続けられそうに見えても、
実際の負担を含めて考えると、
今の自分には合っていない、という結論に至りました。
直販をやめて、Buyeeという役割分担を選んだ理由
そこで私は、
自分がすべてを説明し、管理し続けるやり方そのものを見直すことにしました。
アメリカ向けの直販を無理に続けるのではなく、
代理購入という形で、役割を分ける。
その選択肢として選んだのが、Buyeeでした。
完全にアメリカを切る、というわけではありません。
アメリカのお客さんには、Buyee(日本の商品を代理購入するサービス)を使ってもらう形に切り替えます。
Buyeeは、日本の商品を海外から購入する際に使われる代理購入サービスで、
送料や関税の案内を含めた手続きを、一括して進めることができます。
私自身は、
商品を作り、日本から出荷するところに集中できる。
それが、いまの自分には一番合っていると判断しました。
おわりに
アメリカ向け販売をやめる、という判断は、
今のところの結論です。
制度や物流の条件が変われば、
いつかまた別の形を選ぶこともあるかもしれません。
ただ少なくとも今は、
ものづくりにきちんと向き合いながら、
自分が納得できる形で販売を続けられる選択をしました。
越境ECは、一度決めたら終わりではなく、
状況に合わせて何度でも組み替えていいものだと、
今回あらためて感じています。
※この判断は、今の私の販売スタイルや扱っている商品、置かれている環境を前提にしたものです。
同じ状況でも、選び方は人それぞれだと思っています。
追記|アメリカ向けを休止して、得られたもの
アメリカ向け販売を休止したことで、
それ以外の国のお客さんからの問い合わせに、以前よりも落ち着いて、丁寧に向き合えるようになりました。
送料や制度の説明に追われる時間が減った分、
素材や仕様についての質問、制作に関わる相談に、きちんと時間を使えるようになったと感じています。
売上の数字だけを見ると減った部分もありますが、
その分、ものづくりと販売のバランスは、以前より整いました。
今の自分にとっては、
この余裕そのものが、今回の判断で得られた一番大きなものかもしれません。
さらに追記|Google Analyticsから見えた変化
追記として、もう一つはっきり見えた変化があります。
実施から3日ほどで、ETSYアメリカからのアクセスはおおよそ4分の1程度になりました。
全体の露出が落ちたというより、
これまでアメリカ向けに出ていた広告や表示が整理された結果だと受け止めています。
その分、Google広告やEtsy Adsが、購入につながりにくいアクセスに使われていた可能性も見えてきて、
無駄打ちを減らせた点は今回の判断による分かりやすい変化でした。