
心配性は、大人になってからでも変えられるのか|心配事なんてなさそうと言われる医者が調べたこと
「心配事なんてなさそうでうらやましいわ。」とよく言われます。
でも意外と、僕も心配になって眠れなくなることがあるんです。
AIの進歩で人類が滅ぶんじゃないかとか、医者の仕事がなくなるんじゃないか、そしたらやっぱり筋肉しか残らないんじゃないか?怪我していて、このままトレーニングできなかったら筋肉が落ちちゃうんじゃないか?子供が独り立ちしたら中年の危機になって、鬱になるんじゃないか、などなど、色々と考えてしまいます。
不安を軽くする手っ取り早い方法は、いっぱい知っています。一人で銭湯に行ったり、深呼吸をする、散歩したり、誰かに話す。たしかに少し落ち着きます。でも、落ち着いても、また同じことで心配してしまうのです。そのたびに同じように胸がざわついて、「自分は心配性だから、しょうがないかぁ」と思ったりします。
性格は大人になったら変わらない、と思われがちです。この前提に一石を投じるような研究が、2026年9月に心理学の専門誌に出ました¹⁾。
この記事では、その研究で分かったことと、心配しやすい性格をどうやって変えるかを書いていきます。実際にこの研究をよんで、僕が割と使えそうだと思った、心配が出てきた時に実際に使える対処法についても、詳しく書きました。
性格を変えたい人に、スマホでできるトレーニングをしてもらった
性格を変えたいと望む人たちを、くじで2つのグループに分けました¹⁾。
説明を受けるだけのグループ:心配しやすさについての説明を受けるだけ
トレーニングのグループ:それに加えて、スマホに届くトレーニングを6週間こなす。トレーニングには、その場で気持ちを落ち着けるものと、考え方や行動の癖に取り組むものがあります。
心配しやすい性格は、変えられるのでしょうか。変えられるなら、その場で気持ちを落ち着けるトレーニングと、考え方や行動の癖に取り組むトレーニングの、どちらが効いたのでしょうか。
6週間で、心配しやすさは変わったのか
少しだけ、下がりました。
心配しやすさは、心理学で「神経症傾向」と言われます。この研究では、神経症傾向の点数を1〜5点の質問票で測っています。
トレーニングをこなした人の点数は、説明だけのグループより0.16点多く下がっていました¹⁾。そこまで大きな変化ではないですが、少し良くなりました。
そして大事なのは、トレーニングが終わって2か月たったあとでも、良くなったままでした。質問票の数値だけではなく、家族や友人など周りの人から見ても、心配性がマシになっています。
すぐ効くトレーニングと、あとから効くトレーニングがある
研究者は、性格は次の順で変わると考えています¹⁾²⁾。
その場の状態:いまの気分や考え、行動。これを何度もくり返すと
癖:特定の場面で、毎回くり返す反応になります。癖が積み重なると
性格:「自分はそういう人間だ」と感じるようになり、性格として定着する

言われてみると、確かにそうかもしれません。同じ場面で同じように心配するのをくり返すうちに、「自分は心配性だから」と思い込むようになる。そんな気がします。
そこで研究者は、トレーニングを、どこを狙うかで2種類に分けました。
その場のトレーニング:いまの気分を変える。リラックスの動画、短い瞑想、昼休みに15分歩く、など
癖のトレーニング:考え方や行動の癖を変える。考え方の書き直し、手本から学ぶ、など
その場のトレーニングだけの人と、癖のトレーニングだけの人では、心配しやすさの下がり方の経過が違いました。
その場のトレーニング:直後はぐっと下がった。ただし、その後の2か月で少しリバウンドしていきます。
癖のトレーニング:直後の下がり方は小さかった。ただし、その後の2か月でもさらにじわじわ下がっていきます

その場のトレーニングは早く効いて戻りやすく、癖のトレーニングはゆっくり効いて、終わったあとも下がり続けました。
トレーニングが終わって2か月後には、どちらもほぼ同じ所まで下がっていました。
実際にスマホに届いたトレーニング
このように効果があるトレーニングですが、中身は意外とシンプルです。嫌な考えを「6つの思考のくせ」に当てはめて書き直す、うまく対処している身近な人の行動をまねる、「もし〜なら、〜する」と先に決めておく。アプリで配られたトレーニングの文面から、このじわじわ効いてくる癖のトレーニングを中心に、スマホで見返せる早見表もつけて紹介します³⁾。