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朝の血圧が下がらない人の、夜の犯人リスト

    自分の普段の血圧は、110/65くらいだ。低めで、筋トレも20年以上続けている。血圧で困ったことは、正直あまりない。

    でも先日、一晩で爆上がりした。

    ある料亭みたいなところに連れて行ってもらって、出てきたのは塩分がっつりのフレンチ。岩塩をたっぷり振ったフランスパンがうますぎて、気づいたら2メートルくらい食べていた。締めにエスプレッソをいただいて、その夜は目が冴えて、なかなか眠れなかった。

    翌朝、家で血圧を測ったら135/75。普段より、上が25、下が10も高い。

    たった一晩だ。一晩の「塩・締め・カフェイン・夜更かし」だけで、自分の血圧はここまで上がった。

    血圧は固定値じゃない。前の晩の過ごし方が、翌朝の数字にそのまま表れる。

    だから外来で「先生、朝だけ高いんです」と聞くと、自分はまず前の晩に原因があるのではないかと考える。昼や夜は落ち着いていて、健診でも130台。でも朝に測ると145、ときには150近くまで出る。本人は減塩の本を読み、サプリを調べ、血圧計まで買い替える。たいてい、血圧計のせいではない。

    前回の記事では、血圧130台を「ギリギリセーフ」で終わらせず、まず家庭血圧を測るところまで扱った。今回はその続き。

    ある経営者さんの、朝だけ高い血圧

    仮にAさんとする。40代後半、体格は大きめ。仕事量が多く、会食は週2〜3回。健診では毎年「血圧が少し高め」と言われていた。週末はジムにも行くし、塩分もそれなりに気にしている。

    それでも、朝の家庭血圧だけが下がらない。持ってきてもらった記録を見ると、夜の数字は悪くないのに、特定の日の朝だけ上がっていた。そこが気になった。

    • 会食なしの日:朝132〜138

    • 会食ありの日:朝145〜152

    • 飲酒なしで寝不足の日:朝140前後

    • 休日に長く寝た日:朝128〜134

    本人は「塩分ですかね」と言った。もちろん塩分は関係する。ただ、自分の頭に浮かんだのは塩分だけではなかった。

    会食の日は、終了が22時半を過ぎていることが多かった。飲酒量は本人の感覚では「普通」。ハイボール2〜3杯、ときどき日本酒。問題は、そのあとだった。

    帰宅して、仕事のチャットを確認する。返信が必要なものだけ返す。気づいたら0時半。風呂に入って、スマホを見ながら寝る。睡眠時間は6時間弱。

    この流れを聞くと、朝の血圧が高い理由を塩分だけで説明するのは難しい。夜更かし、飲酒、チャットのやり取りで交感神経が活性化したまま。そして朝、血圧が跳ねる。

    朝の血圧高値は、夜の習慣から逆算して考えたほうが早い人がいる。

    血圧の話になると、どうしても「塩分」「体重」「薬」に目が行く。どれも大事だ。でも、朝だけ高い人では、前夜から起床までのどこかに数字を上げている要因がある。そこを見ないままサプリや減塩食品を足しても、順番が違う。

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    「下がらない」には、型がある

    血圧が下がらない人を、一括りにしない。朝も夜も高いのか。夜は低いのに朝だけ高いのか。会食翌朝だけ跳ねるのか。平日だけ高いのか。型を分けないまま「生活習慣を改善しましょう」と言っても、たぶん動けない。

    もちろん、「生活を整えれば薬はいらない」と伝えたいわけではない。180/120mmHgを超える高値、胸痛や麻痺などの症状がある場合は、夜の犯人探しで粘らず急いで医療機関を受診してほしい。糖尿病・腎臓病・心血管疾患がある場合、すでに降圧薬を使っている場合は、自己判断で様子見せずに、まず医療機関で相談したほうがいい。

    ここから扱うのは、その手前の話。自分が確認したいのは、最後に食べた時刻、最後の一杯、締め、帰宅後の仕事、いびき、口渇、夜間尿、朝の頭痛、翌朝の体重。そこまでたどると、「血圧が下がらない」ではなく、「特定の夜のあとに下がらない」に変わる。

    先に、血圧の型を分ける

    同じ「血圧が下がらない」でも、いつ血圧が高いかで疑うものが変わる。

    「朝も夜も高い」に当てはまる人は、夜の工夫だけで完結させないでほしい。家庭血圧の平均が高い状態で続くなら、医療機関で相談したほうがいい¹⁾。生活の工夫は、その上に足す補助でいい。

    逆に、朝だけ高い、会食翌朝だけ跳ねる、平日と休日で差がある人は、夜のどこかに手がかりがある。

    朝だけ高い人は、無呼吸と酒から。
    会食翌朝だけ跳ねる人は、夕食の終了時刻と最後の一杯から。
    平日と休日で差がある人は、帰宅後の仕事と夕方以降のカフェインから。
    どの夜の習慣が犯人か。それを特定してから、削るものを選ぶ。

    🚩メンバーシップ限定パートです。無料記事の入口は「まず測る」でした。ここからは、夜の犯人を、外来で疑う順番のまま、ひとつずつ確かめます。

     
     
    東大医学部卒の総合内科・呼吸器専門医。医学博士。経営者のパーソナルドクター。NewsPicks公式の健康番組にレギュラー出演。HALEO最高科学・医療顧問。外来では話しきれない健康の話を、論文だけでなく自分でも試して、失敗まで書いています。深掘りはDr.もさりラボで。

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