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サウナにハマって、ジムをサボった医師の話

    Testosteroneさんとお話していたとき、サウナの話になった。

    「サウナも好きですけど、やっぱり筋トレですよね。サウナと筋トレで迷ったら、筋トレ。サウナのために筋トレを休むのは、本末転倒です。筋トレは全てを解決する!」

    「おっしゃる通りです!」と返事しつつ、内心ではぎくっとしていた。まさに昔、ジムに行かないでサウナへ行っていた時期があったからだ。

    しかも、ちゃんと言い訳も用意していた。

    「サウナも体にいいしぃ…フィンランドの人たちは毎日サウナに入っていて、みんな超健康だしぃ…」

    振り返って調べてみた。健康を目的にするなら、サウナを運動より優先する理由はあるのか?

    論文を調べ直して、やはり自分の方がおかしかった。 健康のために一つ選ぶなら、圧倒的に運動だった。

    では、サウナに意味はないのだろうか?「サウナで認知症66%低下」という研究を見たあとでは、そうも切り捨てられなかった。

    運動の効果は、どれくらい広いか

    サウナの長期的な健康効果は、実はまだ定まっていない。

    一方で、運動の健康効果は圧倒的だ。死亡や心血管疾患にとどまらず、がんや血圧、メンタルヘルスまでかなり広い範囲で調べられている。

    • 94の追跡集団、3,000万人を超えるデータを集めた研究がある。週75分ほどの中強度活動でも、ほとんど動かない人より早期死亡が23%少なかった。心血管疾患は17%、がん全体の発症は7%少ないことと関連していた¹⁾

    • 心臓の病気や糖尿病予備群のある人を対象に、運動と薬を比べた介入試験を集めた解析がある。運動を割り当てた群は、薬を使う群と同じくらい死亡が少なかった²⁾

    • 270件のランダム化比較試験、計15,827人をまとめた研究がある。有酸素運動や筋トレ、HIITのいずれでも安静時血圧が下がっていた³⁾

    • うつ病の成人を対象にした218件のランダム化比較試験、計14,170人の解析がある。ウォーキングやジョギング、ヨガ、筋トレで症状が軽くなっていた⁴⁾

    最初の研究は観察研究なので、運動だけが差を生んだとは証明できないけど、残りの3つは実際に運動を割り当てた介入試験だ。運動させた群とそうでない群を比べているので、運動自体の効果を確かめられる。調べられている人数と健康指標の広さは、サウナと比べものにならない。

    心肺機能。血圧。血糖。筋力。骨。メンタル。転倒リスク。認知機能。

    これが全て改善する。

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    健康のために一つだけ残すなら、運動は絶対に外せない。では、サウナの健康効果はどうか?

    認知症66%低下、突然心臓死63%低下はどこから生まれたか

    サウナ研究でほぼ毎回引用されるのが、東フィンランドの男性2,315人を追った観察研究だ⁵⁾。対象は42〜60歳。中央値20.7年の追跡だ。

    この研究では、サウナによく入る人ほど、認知症が少なかった。別の論文⁶⁾では、突然心臓死と全死亡も追っている。数字を並べると、こうなる。

    • 全死亡が40%低かった

    • 認知症が66%低かった

    • 突然心臓死が63%低かった

    とても魅力的な数字だ。ただ、これだけを根拠に、サウナに入れば全死亡リスクが下がるとはまだ言えない。そもそも運動の研究と比べたら少人数の研究だし、週4〜7回サウナに入ってる人は約200人しかいないので、数人の違いでも数字は動く。

    それと、論文は2本でも、じつは参加者は同じ2,315人だ。 別の集団で2回確かめたわけではない。

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    別のフィンランド人男女13,994人を最大39年追った研究でも、サウナの頻度と認知症には関連があった⁷⁾。月9〜12回の群は、月0〜4回の群より認知症のリスクが19%低かった。

    フィンランドの観察研究では、よく入る人ほど認知症も突然心臓死も少なかった。ただ、これらの観察研究からは、サウナが認知症や突然死を防いだとはまだ決められない。

    観察研究のワナ

    ここまでのサウナ研究は、サウナへ入る回数を研究者が割り振ったわけではない。よく入る人とそうでない人を、ただ見ていただけだ。運動の章で見た介入試験とは、ここが違う。サウナ自体がいいのかどうかは、この調べ方では確かめられない。

    たとえば、サウナにたくさん入れる人は、時間に余裕がある人だ(週7でサウナ行く人って、普段何してるんだろ)。施設に通える経済的な余裕もある。サウナに足繁く通うくらい健康意識が高い人なら、食事や運動、休み方も違うかもしれない。

    サウナへ行ったから健康だったのか。それとも、健康で活動的な人がサウナへ行っていたのか。

    長期追跡研究では、年齢や喫煙、運動量などを統計的に調整しているけれど、自由に使える時間まではそろえにくい。人とのつながりや休み方、健康への関心も同じで、全部をそろえることはできない。

    サウナへ行く人と行かない人を比べると、サウナ以外まで違う。観察研究の数字には、その差も混じる。

    だから、確かめる方法は一つしかない。実際にサウナへ通ってもらう、介入研究だ。

    🚩サウナだけで、健康効果は出るのか。ここから先は、現在の研究をまとめた答えと、唯一光った組み合わせ。そして、自分が実際にやっているサウナの入り方と、筋トレと両立させるために決めている5つのルールを書いています。メンバーシップ「Dr.もさりラボ」で読めます。過去記事も全て読み放題で、いつでも解約できます。

    実際に通ってもらったらどうなったか?

     
     
    東大医学部卒の総合内科・呼吸器専門医。医学博士。経営者のパーソナルドクター。NewsPicks公式の健康番組にレギュラー出演。HALEO最高科学・医療顧問。外来では話しきれない健康の話を、論文だけでなく自分でも試して、失敗まで書いています。深掘りはDr.もさりラボで。

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