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ペヤングのあとに青汁を飲んでも、脳はチャラにしてくれない

    ペヤングを食べちゃったあと、なんとなく罪悪感がある。

    このまま終わるのはまずい気がして、コンビニで冷凍ブルーベリーを買う。ついでに無糖ヨーグルトも買う。家に帰って、「沼」みたいに濃い青汁を飲む。これでまあ、チャラかなと思う。

    自分も長いことこれをやっていた。悪いものを食べたあとに、健康そうなものを足す。すると、体の中で差し引きゼロになったような気がしてくる。

    自分の中では、これを「チャラ思考」と呼んでいる。ペヤングのあとに青汁。菓子パンのあとにプロテイン。ポテチのあとにカット野菜。エナジードリンクのあとにサプリ。

    何も考えないよりは、ずっといい。野菜を足すのも、ヨーグルトを足すのも、青汁を飲むのも悪い行動ではない。

    ただ、最近の論文を読んで、この考え方はダメな気がしている、というか逆に危険だとすら思っている。健康そうな食品をあとから足しても、超加工食品そのものの悪さがチャラになるとは限らない。

    もちろん、ペヤングだけが悪いわけではない。カップ麺、カップ焼きそば、菓子パン、スナック菓子、甘い飲み物など、毎日のように口に入ってくる超加工食品全体の話だ(ペヤングはおいしくてたまに食べると最高です)。

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    健康的に食べていても、超加工食品は別枠

    今回の研究は、オーストラリアの中高年2192人を対象にした横断研究だ。年齢は40〜70歳。認知症のない人たちの、過去12か月の食習慣と認知機能を調べている。研究チームはNOVA分類(食品を加工の度合いで4つに分ける国際的な分け方)に基づいて食品を分け、超加工食品がどれくらい入っているかを計算した。

    超加工食品というのは、単なる加工食品ではない。味噌、納豆、豆腐、冷凍野菜。これらも加工食品ではあるけれど、ここで問題になる超加工食品とは違う。

    問題になるのは、工場で原型がわからないほど手が加えられた食品のほうだ。カップ麺、カップ焼きそば、菓子パン、スナック菓子、加工肉、フライドポテト、甘いシリアル、一部のプロテインバーや栄養補助バー。原材料欄を見ると、家の台所にはない成分がずらっと並ぶ食品だ。

    この研究では、参加者の総エネルギーのうち、平均で約41%を超加工食品が占めていた。かなり多い。

    日本でも、まったく他人事ではないと思う。コンビニ、ドラッグストア、自販機。忙しい人ほど、食事の選択肢がこうした場所に並ぶものに寄っていく。

    そんな超加工食品の割合が高い人ほど、注意力のスコアが低かった。

    もう少し詳しく言うと、食べ物と飲み物の総重量に占める超加工食品の割合が10ポイント高いほど、注意力スコアは0.05ポイント低かった。差としては小さい。

    ここでいう10ポイントは、たとえば重量で見た割合が20%と30%の人を比べるような差だ。先ほどの約41%はカロリーで見た割合なので、分母が違う。「昨日より10%多く食べたら、翌日に注意力が落ちる」という意味でもない。論文では、オーストラリアの平均的な食事量をもとに、この差を1日約150g、ポテトチップス1袋ほどに例えている。

    見ているのは、ある一日の食べすぎではなく、普段の食事に超加工食品がどれくらい入っているかだ。

    関連がはっきりしたのは、注意力だった。正確には、反応の速さ(処理速度)と、目に入ったものを見分けて注意を向ける力(視覚的注意)を合わせた指標だ。この研究では、記憶力との直接の関連は確認されていない。

    そして、自分がもっとも重要だと思うのは、全体の食事の質を調整しても、超加工食品が多い人ほど注意力は低めだったことだ。

    わかりやすく言うと、超加工食品の害は、それ以外の食事で健康的な食品をとったとしてもチャラにはならないかもしれない、ということだ。

    別の食事で健康に良いとされるサラダを食べていても、魚を食べていても、オリーブオイルを使っていても、毎日カップ麺や菓子パンを口にしているなら、脳の注意力のほうは、それとは別に削られているのかもしれない。

    ただ、これは横断研究だ。ある一時点で食事と認知機能をまとめて確認しただけなので、超加工食品が注意力を下げたとまでは言い切れない。健康的な食品をあとから足して帳消しにできるかを、直接試した研究でもない。それでも、食事の質と切り離しても関連が残ったのは、やっぱり気になる。

    🚩ここから先はメンバーシップ限定です。毎日の超加工食品をどれから減らして何に替えるか、残していいものとの線引き、対策まで。

     
     
    東大医学部卒の総合内科・呼吸器専門医。医学博士。経営者のパーソナルドクター。NewsPicks公式の健康番組にレギュラー出演。HALEO最高科学・医療顧問。外来では話しきれない健康の話を、論文だけでなく自分でも試して、失敗まで書いています。深掘りはDr.もさりラボで。

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