
吉田修一原作・映画「逃げろお嬢さん」/文庫解説を担当しています/『逃亡小説集』(KADOKAWA)
吉田修一さんの小説「逃げろお嬢さん」の映画版が2026年10月2日に公開されます。この作品が収録された『逃亡小説集』の文庫解説は私が担当しています。映画の予習に、ぜひ原作をご一読頂ければ幸いです。

「逃げろお嬢さん」について、私は文庫解説で次のように記しています。
『逃亡小説集』に収録されている四つの作品の中で個人的に最も面白く、闇の深さを感じたのは、元人気アイドルの「マイマイ」が、夫が薬物使用で逮捕されたことをきっかけに「逃亡」する「逃げろお嬢さん」である。
<中略>
一見すると恋愛小説のような内容を、無機質的な視点=カメラを介して冷めた視点で描いた点が秀逸で、『国宝』の系譜に連なる吉田修一らしい「芸能小説」と言えるだろう。『犯罪小説集』収録の大王製紙事件をモデルにした「百家楽餓鬼」とあわせて、今後の映画化が期待される名短編である。
『逃亡小説集』の文庫解説は『吉田修一と『国宝』の世界』に加筆して収録しています。
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2026年1月7日に『吉田修一と『国宝』の世界』が朝日新聞出版より刊行されています。装丁は『国宝』と同じ町口覚さんで、版元も『国宝』と同じ朝日新聞出版です。
『国宝』を中心として、吉田修一さんの代表作を網羅したブックガイドとしてもお読み頂けます。よろしくお願いいたします。
過去に記した記事は下のリンクでお読み頂けます。
批評家の宇野常寛さんと映画評論家の森直人さんと映画「国宝」について批評座談会を行ないました。
映画「悪人」「怒り」と比較しながら、吉田修一原作・李相日監督の作品の特徴について深掘りした充実した内容でした。
映画『国宝』は歌舞伎を「殺した」のか? 吉田修一&李相日監督の到達点を語り尽くす
https://www.youtube.com/watch?v=Y_q0gmNy7vY&t=1504s

「ニューズウィーク日本版」に、『吉田修一と『国宝』の世界』(朝日新聞出版)の紹介記事をご掲載頂いています。タイトルは「吉田修一の『国宝』は「原点」から生まれた...<長崎南高校の校区><旧市街>の記憶と風景とは?」です。

ダイヤモンド・オンラインの「ニュースな本」に『吉田修一と『国宝』の世界』(朝日新聞出版)の紹介記事が3本掲載されています。
1本目の記事の表題は「映画『国宝』で、女形が「からっぽ」とネガティブな言葉で評されたワケ」です。
映画『国宝』で描かれた歌舞伎の世界。女形の立花喜久雄が「からっぽ」という言葉で評される映画のワンシーンや、女人禁制の掟などから、歌舞伎はもう時代にそぐわないとの批判も少なくない。だが、差別の名残りと片づけてしまうとその特異な深みは見えなくなる。『国宝』が、そして原作者の吉田修一が、女形を「からっぽ」と表現した真意とは?
映画『国宝』で、女形が「からっぽ」とネガティブな言葉で評されたワケ
酒井 信: 文芸評論家、明治大学准教授
2本目の記事の表題は「映画『国宝』のタイトルに込められたもう1つの裏テーマとは?【文芸評論家が解説】」です。各記事ともに目を引く写真をご掲載頂いています。
映画『国宝』は、単なる歌舞伎役者の成功譚ではない。本作が浮き彫りにするのは、生きた人間が「国宝」と呼ばれる苦悩や、個人の欲望を削ぎ落とし文化を背負わされる宿命だ。人間国宝の在り方について考えていくと、映画『国宝』のタイトルに込められた裏のテーマが見えてきた。
映画『国宝』のタイトルに込められたもう1つの裏テーマとは?【文芸評論家が解説】
酒井 信: 文芸評論家、明治大学准教授
3本目の表題は「映画『国宝』では描かれなかった、梨園という「小さな水槽」で生きる歌舞伎役者たちの悲惨な末路」です。編集はお任せしてますが、過激なタイトル(笑)
写真は、小説『国宝』で喜久雄が演じた「助六由縁江戸桜」の「三浦屋揚巻」で、歌舞伎ファン好みの良い選択だと思いました。ご一読を頂ければ幸いです。
「歌舞伎役者の家系に生まれれば一生安泰」。そう思われがちだが、現実はまったく逆だ。梨園という閉ざされた世界では、舞台に立ち続ける以外の生き方を選べず、生活に困窮した挙句、身を持ち崩していく役者も少なくない。華やかに見える梨園とは、一度入ったら抜け出せない「小さな水槽」なのだ。映画『国宝』で描かれなかった、歌舞伎役者たちの行く末を追う。
映画『国宝』では描かれなかった、梨園という「小さな水槽」で生きる歌舞伎役者たちの悲惨な末路
酒井 信: 文芸評論家、明治大学准教授
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
