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女性用風俗で気づく、身体を「道具」として使ってきた年月

    女性用風俗でセラピストをしている、凪と申します。

    身体を「道具」として使ってきた年月は、責めるものではなく、ひとつずつ棚卸ししてねぎらっていいものだと思います。

    施術のあとに、こんな言葉を聞くことがあります。

    「身体って、感じるためにあるものだったんですね」

    冗談のような、でもどこか本気の声。

    この四年のあいだ、別々の方から別々の言い方で、同じ気づきを受け取ってきました。

    働くために起きて、動くために食べて、明日のために眠る。

    身体はずっとそこにあったのに、感じるためには使ってこなかった。

    身体が、成果を出す装置になっていく

    最初から道具だったわけではないと思います。

    子どもの頃、身体はただ感じるものでした。

    日なたのぬくもり。
    水の冷たさ。
    走ったあとの心臓の音。

    でも大人になるにつれて、身体には役割が増えていきます。

    通勤に耐える身体。
    締め切りに間に合わせる身体。
    家族を運び、荷物を持ち、家事をこなす身体。

    評価されるのは、身体が何を感じたかではなく、何を成し遂げたか。

    そうして少しずつ、身体は「私そのもの」から「私が使うもの」に変わっていきます。

    肩が凝れば湿布を貼り、熱が出れば薬を飲んで、また動かす。

    その扱いは、道具に対するものとよく似ています。

    誰かが決めたわけではありません。

    日々を回すうちに、いつの間にかそうなっていた。

    だからこそ気づきにくいのだと思います。

    手入れはしても、味わってはいない

    道具として身体を使ってきた方は、意外と身体を雑にはしていません。

    健康診断を受ける。
    ジムに通う。
    マッサージで凝りをほぐす。

    むしろきちんと手入れをしている方が多いです。

    でもそれは、メンテナンスです。

    明日も動けるようにするための整備であって、身体を味わう時間ではありません。

    マッサージを受けながら、頭では仕事のことを考えている。
    湯船に浸かりながら、スマホを見ている。

    身体に触れられているのに、心はそこにいない。

    手入れと味わうことは、似ているようで別のものだと思います。

    道具は大切に手入れされることはあっても、味わわれることはありません。

    年月をひとつずつ棚卸しする

    施術の時間に、自分の身体の来歴を話しはじめる方がいます。

    「この肩は、ずっと重い鞄を持つ側だったんです」
    「この腰は、子どもを抱き続けて痛めました」

    誰かに説明するためではない、独り言のような静かな声です。

    触れられているうちに、身体のひとつひとつの場所に年月の記憶が眠っていたことを思い出していく。

    私はその時間を、棚卸しに似ていると感じています。

    倉庫の棚をひとつずつ確かめるように、この肩は何を運んできたか、この足はどこまで歩いてきたかを数え直していく。

    棚卸しは、在庫を責めるための作業ではありません。

    そこに何があるのかを確かめて、きちんと帳簿に載せるための作業です。

    通勤に耐えた年月。
    誰かを支え続けた年月。
    自分のことを後回しにした年月。

    数えてみるとそこにあるのは、失われた時間ではなく、身体が黙って引き受けてきた仕事の記録です。

    棚卸しの先に、ねぎらいがある

    棚卸しが進むと、言葉が変わっていく方が多いです。

    「酷使してきてしまった」が、いつの間にか「よく持ちこたえてくれた」に変わっている。

    見ている年月は同じなのに、責める言葉がねぎらいの言葉になっていく。

    身体を道具として使ってきたこと自体は、悪いことではないと思います。

    働く身体があったから、生活が守られてきた。
    こなす身体があったから、大切な人を支えられた。

    道具として使ってきた年月は、なかったことにしたい過去ではなく、ひとつずつ数えられて認められるのを待っている記録なのだと思います。

    だから私は、施術の中で身体の話が出てきたとき、先を急ぎません。

    その肩の話を、その腰の話を、帳簿を繰るようにゆっくり聞きます。

    長く働いてくれた身体へ

    もしあなたに、自分の身体を道具として使ってきた自覚があるなら。

    その身体は、何年も文句を言わずに働いてきた身体です。

    責めるより先に、棚卸しをしてあげてほしいと思います。

    この肩は何を運んできたか。
    この手は誰の世話をしてきたか。

    ひとつ数えるたびに、ねぎらいの言葉をひとつ添えて。

    もし誰かの手を借りたくなった日には、その長い棚卸しに静かに付き合う人間もいます。

    今夜はまず、いちばん頑張ってきた場所から数えはじめてみませんか。

    凪

     
     
    女性用風俗セラピスト4年目。仕事の中心は「聴くこと」でした。パートナーにも友達にも話せない夜を過ごす女性たちへ、4年で受けとった言葉を少しずつ置いていきます。性描写なし・宣伝なし・個人特定に配慮。 https://nagi-66c.pages.dev/

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