
人前で叱るなーーこれは中国だけの話ではない(立ち上げ男の経営論6)
中国ビジネスで最初に肝に銘じたことがある。
それは「面子」だ。
日本語に訳すと「メンツ」だが、意味は全く違う。
日本では「見栄」に近いニュアンスがあるが、
中国における面子は、その人の社会的な影響力そのものである。
「あのひとは難しい仕事をこなせる」
「あの人のコネクションに助けられた」
そういう場面からの評価の積み重ねが、面子をつくる。
だから、多くの同僚が見ている前でミスを指摘することは、
単に恥をかかせるだけではない。
「あのひとには能力がない」という烙印を、公開の場で押すことになる。
これは死活問題だ。
私はどうしたか。些細なミスでも、
注意したい時は必ず会議室で二人だけで話した。
これを徹底した。
実は、いま日本でも実践している習慣だ。
私には困ったことがあった。私はお酒が飲めない。
中国の酒宴では、乾杯を求めて30人が列をなすこともある。
どうするか。
答えは簡単であった。
「体が悪く、お酒が飲めないのです」と最初に伝える。
これで誰も怒らない。誰も面子が潰れていないからだ。
その人に能力の問題でなく、私の体の問題だからだ。
逆に、誰かと乾杯し、誰かとはしない、
というのは、「面子」の問題になる。
面子とは、見栄ではない。
その人の「社会的な命」だと思って接すると、
中国のビジネスは、全く違って見える。
これは、日本の社会でも、
実際には起こっていることではないか、と感じる。