
猫に会いに、世界を旅する 05|モルディブ(2018年〜2022年)—ここが私のアナザースカイ?!
ターコイズブルーの海に飛び込んだ瞬間、色とりどりの魚がサンゴの周りを舞い、まるで夢の世界に迷い込んだようでした。モルディブとの縁は、そんな驚きの体験から始まりました。
以来、私はこの海と、のびのびと暮らす猫たちの虜になりました。
島々の花輪
インド洋に浮かぶモルディブ共和国は、26の環礁と約1,200の島々か
らなる小さな島国です。
「Maldives(モルディブ)」という国名は、サンスクリット語で“島々の花輪”という意味。国を構成するサンゴ礁の島々が輪を描くように並ぶ様子を、花輪にたとえたのだとか。
島ひとつひとつは小さく、それぞれの島には決まった役割があります。空港の島、観光の島、ごみ処理の島、刑務所の島、学校の島、そして人が暮らす島。役割の異なる島々が、海の上に点在しています。
気候は一年を通して30℃前後と温暖で、5月頃から10月頃が雨季、11月頃から4月頃が乾季です。
観光業と漁業が主な産業で、魚市場にはマグロやカツオが山のように並んでいました。お土産の定番にツナ缶があります。
公用語はディベヒ語ですが、観光業の盛んな国なので英語もよく通じます。
イスラム教が国教であり、金曜土曜が週末です。アルコールや豚肉、そして犬の持ち込みは禁止されています。一方で、猫や鳥たちがのんびりと過ごす姿が見られます。

海で過ごし、猫に会う旅
旅の前半はダイビングクルーズに参加するのが私の定番です。
船に寝泊まりしながら、潜って、食べて、眠って、また潜る。地上とはまるで違うリズムで時間が流れていきます。
ジンベエザメの巨大な体、ふわりと旋回するマンタ、目の前を通り過ぎる魚の群れ、カラフルな魚たち…海の中で出会う光景はあまりに非日常で、夢か現実かわからなくなることもあります。

こんなにも素晴らしい海をリピートせずにはいられなくなり、「モルディブなんて一生に一度行けるかどうかの場所だろうな」と思っていたのに、気がついたら6回も訪れていました。
クルーズを終えると、ローカルアイランドに上陸します。海とは違う、もうひとつのモルディブの光景に出会いに行きます。

静かな昼、にぎやかな夕暮れ
日中は日差しがとても強く、道を歩いていても人の姿はあまり見かけません。猫たちも木陰で静かに眠っています。
けれど、夕方の日差しが和らぐ頃、それまでの静けさが嘘のように人がいっせいに現れ、それに合わせて猫の姿もぽつぽつと見かけるようになります。

モルディブの猫たちは、穏やかで人懐っこい子が多く、人々に大切にされていることがよくわかります。中でも心に残っているのは、子どもたちの猫への接し方です。追いかけたり、大声を出したりせず、猫が嫌がらない距離感で、優しく交流している姿に、こちらまで心温かくなりました。

猫のいる場所には、人の暮らしがある
猫に出会えるのは大抵人が暮らす場所です。
観光用に整えられたリゾート地ではなく、洗濯物が揺れていたり、ビーチで友人との会話を楽しむ人がいたり、一服する人がいたり、そんな日常の風景の中に猫たちは自然と溶け込んでいます。こうした“もうひとつのモルディブ”の光景にも自然と魅かれていくようになりました。

そして、突然激しい雨が降る南国らしいスコール。猫たちは雨が降り出す気配を察知できるのか、降り出す前に姿を消してしまいます。きっと、どこかいい場所で雨宿りしているのでしょう。

転換点
実はモルディブは、私がカメラを始めるきっかけになった場所でもあります。
たまたま参加した、水中写真家・鍵井靖章さんのフォトセミナークルーズ。カラフルで魚影の濃いモルディブの海だったからこそ、写真を撮る楽しさを知ることができました。ファインダーを覗くと、普段は見過ごしてしまうような小さな発見や物語があり、世界がより鮮やかに見えるような気がしました。そして、鍵井さんは褒めるのが上手で…つい調子に乗ってしまったような気もしています(笑)

それから私は、海の中だけでなく、旅先の風景や、そこで暮らす猫たちも撮影するようになりました。海も猫も、人の暮らしも、景色も、ワクワクした瞬間も、写真で残せることの素晴らしさをこの場所で教えてもらったのだと思います。
モルディブはきっとまた訪れることがあるでしょう。新しい出会いも、再会も、そのとき感じた気持ちごと、記録に残していけたらいいな。

ちなみに、私と猫が戯れている姿がSNSで初めてバズった写真はモルディブで撮影されたもの。それがきっかけで、週刊文春に取り上げていただいたり、たくさんの方に私の旅に興味を持っていただけるようになりました。

モルディブでの出会いや体験を思い返すと、やっぱり思うのです。
「ここが私のアナザースカイ!」