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Photo byuzn23777

仕事が速い人は、いきなり「どうやるか」を考えない

    「とりあえず資料を作りましょう」
    「まずAIを導入してみよう」
    「競合もやっているので、うちも始めよう」

    仕事をしていると、こうした場面によく遭遇します。しかし、ここには共通する問題があります。
    How(どうやるか)から考え始めていることです。私がコンサルタントとして問題解決する際に重視しているのは、Why → What → Howの順番で考えることです。

    • Why:なぜやるのか

    • What:何を実現するのか

    • How:どう実現するのか

    シンプルですが、この順番を守るだけで、会議、資料作成、新規事業、DX、AI導入など、かなり多くの仕事の質が変わります。重要なのは、「Whyが一番偉い」という話ではありません。

    Why・What・Howを混ぜずに考え、上流から順番に意思決定することです。

    なぜ、私たちはHowから考えてしまうのか

    ビジネスでは、Howは非常に扱いやすいテーマです。

    「どのツールを使うか」
    「誰をアサインするか」
    「何ページの資料を作るか」
    「生成AIをどう使うか」

    こうした議論は具体的なので、仕事をしている感覚も得やすい。

    一方で、「そもそも、なぜこれをやるのか?」という問いは面倒です。

    目的そのものを疑うため、場合によってはこのプロジェクトは必要ないという結論にすらなります。だからこそ、多くの組織ではWhyが曖昧なまま、Howの議論が進んでしまいます。

    しかし、目的が間違っていれば、実行力が高いほど間違った方向へ速く進むことになります。


    Whyは「目的」を決める

    最初に考えるべきはWhyです。

    たとえば、「生成AIを導入する」これはWhyではありません。Howです。

    Whyを考えるなら、「なぜ生成AIが必要なのか?」と問い直します。すると、「営業担当者が資料作成に使っている時間を減らし、顧客との対話時間を増やしたい」といった目的が見えてきます。

    ここまで明確になれば、生成AIの導入そのものが目的ではなくなります。業務プロセスの変更、テンプレート化、外注など、別の選択肢も比較できるようになります。

    Simon Sinekは「Golden Circle」という考え方で、Whyをpurpose、cause、beliefなどとして整理し、Whyから考え、伝えることの重要性を提唱しています。

    ただし実務では、壮大な企業理念まで毎回考える必要はありません。
    「この仕事によって、誰の、何を、なぜ変えるのか」これが説明できれば十分です。


    Whatは「成功状態」を決める

    Whyが決まったら、次はWhatです。ここで重要なのは、施策ではなく実現したい状態を定義することです。

    先ほどの例なら、
    Why:「営業担当者が顧客との対話に使える時間を増やす」
    What:「提案資料作成にかかる時間を30%削減する」という具合です。

    Whatが曖昧だと、プロジェクト終了後に「結局、成功したのか」が分かりません。
    そのためWhatでは、「何が、どうなれば成功なのか?」をできるだけ測定可能な形にします。

    売上、工数、CVR、継続率、顧客満足度など、目的に合った指標まで落とせれば、さらに強くなります。


    Howは最後に考える

    WhyとWhatが決まって、ようやくHowです。

    たとえば、
    Why:顧客との対話時間を増やしたい
    What:資料作成時間を30%削減する
    How:生成AIを使って提案資料のドラフトを自動生成する

    この順番なら、AIは「目的」ではなく「手段」になります。
    ここが重要です。

    優れた戦略とは、最新の手段を採用することではなく、目的に対して適切な手段を選択することです。

    Howから始めると「AIありき」になります。
    Whyから始めれば、「AIを使わない」という判断も合理的な選択肢になります。


    ただし、Whyにも落とし穴がある

    Why→What→Howは便利ですが、万能ではありません。
    特に注意したいのが、Whyを考えること自体が目的化することです。

    「社会を変える」
    「顧客を幸せにする」
    「イノベーションを起こす」

    これだけでは、意思決定には使えません。
    Whyは抽象度が高すぎても機能しないのです。もう一つのリスクは、Whyを決めた後に固定してしまうことです。新規事業では、顧客インタビューやPoCによって前提が崩れることがあります。

    その場合は、
    Why → What → How → 検証 → Whyの再確認
    と循環させる必要があります。

    Whyから始める。しかし、Whyも仮説として検証する。これが実務では重要です。


    まとめ

    仕事が複雑になるほど、私たちはHowに飛びつきたくなります。しかし、本当に先に考えるべきなのはWhyです。

    Why:なぜやるのか
    ↓
    What:何を実現するのか
    ↓
    How:どう実現するのか

    この順番を守ることで、「やる必要のない仕事を、ものすごく効率的にやる」という失敗を減らせます。そして、このフレームワークの価値は、単なる思考整理ではありません。

    意思決定の質を上げ、組織の認識を揃え、限られた経営資源を本当に重要な課題へ集中させることにあります。

    Whyは哲学ではなく、実務の起点です。


    明日から取るべき3つのアクション

    ① 会議の冒頭で「Why」を1文にする
    次の会議で、「今日この会議をする理由は何ですか?」を1文で書いてみてください。答えられなければ、議題より先に目的を整理する必要があります。

    ② タスクを受けたら「WhyとWhat」を確認する
    「資料を作って」と言われたら、すぐPowerPointを開かず、「このタスクの目的と何を達成したいか」を考え、自身で答えを出せないならタスクを渡した人に確認する。これだけでも手戻りは減ります。

    ③ Howを最低3案出す
    WhyとWhatを決めた後、Howを一つに決め打ちしない。
    「AIを導入する」「業務自体をなくす」「既存ツールを改善する」など、最低3つの選択肢を並べて比較します。

    Whyで目的を決め、Whatでゴールを定義し、Howを複数比較する。

    この習慣を持つだけで、仕事は「作業」から「意思決定」に変わります。


    参考・出典候補

    ・Simon Sinek, “The Golden Circle”, The Optimism Company
    ・Simon Sinek, “How great leaders inspire action”, TED
    ・Simon Sinek, “Start With WHY”, The Optimism Company

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